数学月間の会SGKのURLは,https://sgk2005.org/
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数学月間SGK通信 [2017.08.15] No.180
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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お盆の最中です.皆様お元気でお過ごしでしょうか.
夏日ではないが天気が悪いこの頃です.今日はどうでしょうか.
私も墓参に行きますので,今回は予約発行です.
■星型正5角形の頂点Aから始めて,A→C→E→B→D→Aと辺をたどり元に戻ると,
1つの頂点で2×360°/5だけ辺が回転することがわかります.
この星型5角形を5/2と書くのは,2x360°/5=360°/(5/2)だからです.
この星型5角形が頂点で5つづつ集まる{5/2,5}は,星型小12面体になります.
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/585014/02/17957102/img_0?1491137213
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/585014/02/17957102/img_1?1491137213
■さて,この星型小12面体{5/2,5}は,プラトンの正多面体(正12面体)を芯にして,
その正5角形の面に正5角錐を貼りつけた形です.
同様に,プラトンの正多面体(正20面体:正12面体に双対)を芯にして,
その正3角形の面に正3角錘(正4面体)を貼り付けてできる形は,
星型大12面体{5/2,3}と呼ばれます.これら2つの星型は,ケプラーの星型多面体とも呼ばれます.
序に,この2つの星型に双対な,{5,5/2},{3,5/2}はポアソンの星型と呼ばれます.
■星型小12面体は,五芒星の面Fが12枚,稜の数Eが30,頂点の数Vが12ですので,
F-E+V=-6(我々の知っているオイラーの多面体定理では2)となります.
これは星型小12面体の空間が,球の位相と異なり,穴が4つ空いた浮輪と同じ位相であるためです.
■正多面体とは,多面体のすべての面が同じ正p多角形で,かつ,
すべての頂点の周りの状態は同じで,正p多角形がq個集まっているものです.
このような正多面体をシュレーフリの記号で{p,q}と書きます.
凸の正多面体には,正4面体{4,4},正6面体{4,3},正8面体{3,4},
正12面体{5,3},正20面体{3,5}の5種類があり,プラトンの正多面体といわれます.
多面体の面を頂点に,頂点を面に換えた新しい多面体は,元の多面体と互いに双対とよばれます.
すなわち,{p,q}と{q,p}は互いに双対です.
凸の条件を外して正多面体を考えると,次の4つの星型正多面体があります.
{5/2,5},{5,5/2},{5/2,3},{3,5/2}です.
前者2つは互いに双対,後者2つは互いに双対です.
正5/2角形の面とは,正5角形の頂点を1つ飛びに結んでできるいわゆる五芒星です
(五芒星の辺をたどると,辺の向きが2回転して五芒星が閉じる).
頂点の周りに5/2個の正多角形が集まるとは,頂点に集まる5個が,
五芒星の辺のように2回転して初めの正多角形に戻るわけで,
入り組んだ凹部ができます.以下に4つの星型をリストアップします:
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星型正多面体,星型の芯になる正多面体,星型の頂点を結んだ枠が作る正多面体
{5/2,5} 正12面体 正20面体
{5,5/2} 正12面体 正20面体
{5/2,3} 正12面体 正12面体
{3,5/2} 正20面体 正20面体
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■ブラックホールからは光は出て来ません.しかし,ブラックホールに荷電粒子が引き込まれるときに電波やX線が放出されているそうです(これらも光と同じ電磁波の仲間です).ブラックホール穴の形は,そこから放出される電波を観測(電波干渉計という電波望遠鏡を用いるので,電波強度と位相がわかります)して,それらのデータをFourier変換すると見えてきます.Fourier変換に用いる観測値はブラックホールの周囲の大きな立体角内のものが必要なはずですが,電波望遠鏡のある地球上での観測なので,地球が宇宙空間で動いてはおりますが,非常に限られた観測点での観測データしかありません.
ブラックホールの穴画像(物体)をX,観測されたデータセットy とすると
y=Ax です.行列Aが正則ならば,x=A^-1 .y と簡単に解くことができるのですが,
yの次元Nは非常に小さく,xの次元Mは非常に大きい.行列AはNxM行列です.
(行列Aや,形式的な逆行列A^-1は線形演算子で,内容はFourier変換やその逆変換です)
多数(M個)の未知数のあるxを解くのに,式の数(N個)は少ないので,不定解(解に任意性が残る)です.そこで,解Xは,なるべくたくさんの0要素があるもの(スパース)にすると条件付きにして解を求めます.
この方法は,LASSO(Least Absolute Shrinkage and Selection Operator)と言います.何故,このようなスパースな解が,合理的なのかは難しいのですが,結果は現実によく合うようです.
■このような手法は,医学画像(MRIなど)解析で用いられており,高速で高解像度の画像が測定できる圧縮センシングとして役立っています.
この方法の心は,得られる画像の解像度を上げるには,観測空間でも細かくたくさんのデータを収集し,それらを用いてFourier変換を行うのが正攻法でしょう.しかし,実際には画像内で急峻な変化がある場所は少ない.大体がだらだら変わっている.だから観測空間で細かい分解能で測定するのは時間がかかり過ぎてもったいない.観測空間の少数の点だけのデータで十分である.求める画像で急峻な変化のある場所は少なく,だいたいは変化がだらだら変わっている(この考え方はjpgの圧縮と同じ)ので,得られる画像は至る所0(スパース)という仮定は,大胆であるが良い結果になるのだと思われます.
■数学的には,xがスパースであるという条件を,Σ|xi|が最小という条件にして,最小2乗法||y-Ax||^2を解くことである.これにはラグランジュの未定乗数法という手法が適用できます.
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数学月間SGK通信 [2017.08.01] No.178
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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皆様,お元気ですか.夏季は数学月間の季節.いよいよ8月で数学月間もたけなわです.
7月22日に実施した数学月間懇話会の報告が,あと2つ残っているのですが,
先ほど,私はとっとりサイエンスワールドin米子から帰ったばかりです.ですから,
ホットなうちに,今日は鳥取サイエンスワールドの話をしましょう.
7月30日(日)は,米子コンベンション・センターで,2017年とっとりサイエンスワールドが開催されました.
とっとりサイエンスワールドは,鳥取大学副学長の矢部先生が会長で始められ,
子ども達の科学や数学への関心育成を狙い,地域振興予算のうちの430万円(今年度)で,
鳥取県数学教育会に委嘱した事業です.
とっとりサイエンスワールドは9年目になり,毎年,米子,鳥取,倉吉の3か所で開催し,
3,000人の市民が参加する,市民に愛されるイベントに定着しました.
今年のサイエンスワールドは.7/30in米子,8/20in鳥取,8/27in倉吉の順で開催されます.
■7月30ーーこれは昨日のことです.私は,今(31日,夕)帰って来たばかりでこれを書いていますーー
米子で実施されたサイエンスワールドは,904人の来館者がありました.
私の担当した万華鏡は,30人のクラスを午前2回,午後2回,計4回の予定で120人用意しましたが,
多くの方が来られ予備の材料も提供し対応努力しましたが,
座席数が最大33人でしたので,座れず諦めた方も多く申し訳ない気持ちです.
私も立ちっぱなしで座れず,腰痛が酷くなり歩いて帰るのが大変でした.
鳥取では,30人クラスを5回やります.
さて,どんな万華鏡を作ったかといえば,これはすでにブログに載せています.
写真を再度引用しておきます.
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/81/18134981/img_0_m?1500360266
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/81/18134981/img_1_m?1500360266
これら2つの万華鏡画像を見て,鏡の組み合わせの違いが判りますか?
そうです.15°交差の2枚鏡に加えて,右の万華鏡には水平な鏡かあります.
■前日の7月29日(土)は,米子がいな祭りと重なりました.昼間は,がいな太鼓や踊りの練り歩きがありました.
夜の万燈のパレードは圧巻でした.ロウソクの灯ったたくさんの提灯を乗せた万燈を扱う曲芸が見世場です.
商都米子のメインの通りがパレードとお祭り屋台や人で埋め尽くされました.
これらの写真は,別途ブログに掲載しましょう.
がいなという方言は,ジャイアントやギガンティックのような巨大という雰囲気を感じますね.
30日(日)の夜は,大花火大会があったのですが,私は昼間のワークショップの立ち仕事で,
脊椎間狭窄の痛みが酷くなり歩けずホテルで寝ており,見物できませんでした.
■とっとりサイエンスワールド(7/30)
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■がいな祭り(7/29)
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7月30日(日)は,米子コンベンション・センターで,2017年とっとりサイエンスワールドが開催されました.金曜日夜から月曜日夜まで米子に出かけていてこちらを留守にしました.とっとりサイエンスワールドは,矢部先生(現・鳥取大学副学長)が会長で始まり今年で9年目です.子ども達の科学や数学への関心育成を狙い,地域振興予算のうちの430万円(今年度)で,鳥取県数学教育会に委嘱された事業です.毎年,米子,鳥取,倉吉の3か所で開催し,3,000人の県民が参加する,県民に愛されるイベントに定着しました.今年のサイエンスワールドは.7/30in米子,8/20in鳥取,8/27in倉吉の順で開催されます.
■7月30に米子で実施[私は今(31日,夕)帰って来たばかりで,このホットな報告を書いております]されたサイエンスワールドは,904人の来館者がありました.私の実施した万華鏡は,30人のクラスを午前に2回,午後に2回の計4回の実施を想定し,120人分用意しましたが,多くの方が来られ予備の材料も提供し対応しましたが,座席数が最大33人でしたので,座れず諦めた方も多数おられ,申し訳ない気持ちです.先生方や高校生ボランティアの協力を得て実施しましたが,私たちの場所も提供したので立ちっぱなしです.
さて,どんな万華鏡を作ったかといえば,これはすでにブログで予告済みです.
以下に写真を再度掲載しておきましょう.
これら2つの万華鏡画像を見て,鏡の組み合わせの違いが判りますか?
そうです.15°で交差する2枚鏡に加えて,右の万華鏡では水平な鏡かあります.
■前日の7月29日(土)は,米子がいな祭りと重なりました.昼間は,がいな太鼓や踊りの練り歩きがありました.夜の万燈のパレードは圧巻でした.ロウソクの灯ったたくさんの提灯を乗せた万燈を扱う曲芸が見世場です.商都米子のメインの通りがパレードとお祭り屋台や人で埋め尽くされました.がいなという方言は,ジャイアントやギガンティックのような巨大というイメージを感じますね.30日(日)の夜は,大花火大会があったのですが,私は昼間のワークショップの立ち仕事がたたり,脊椎間狭窄の痛みが酷くなり歩けずホテルで寝ており,見物できませんでした.