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テーブル断面の模様

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数学月間SGK通信 [2016.02.16] No.102
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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写真は,なかなか洒落たテーブル断面の模様です.最近入ったレストランで発見しました.
調べて見るとこの断面の孔は向こう側まで貫通しています.どうやって貫通孔を穿けたのでしょうか?
菱形,長方形,わざわざ貫通孔を穿けるのはとても困難な作業です.
そこで,さらによく観察すると,上・下面は貼り合わせて作ったようで,鏡映対称になっています.
片面をこのような溝つきに仕上げて,溝つき側を内側に貼り合わせれば,
このような上・下鏡映対称で貫通孔のある断面を作れます.
面白い断面模様ができるし,これらの溝が貼り合わせのマーカーになるのかもしれない.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/71/17285171/img_0_m?1455501541

このように考察したところで,とても面白かったのでこれをfacebookの記事にしました.
すると,友人から以下のコメントがありました.
「丸太の外周部分を使って背中合わせにしているのですね。
切れ込みはおそらく反り止めではないかと思います」
なるほど,溝は反り止めの効果があったのです.実に巧妙な木取です.
木目を頼りに木取の図を描いてみました.
1本の丸太材から柱を切り出した残りの外側廃材から4枚とれます.
幾何学的にも見事で,経験と知恵に感心します.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/71/17285171/img_2_m?1455501541

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対称性が高いと言うこと

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数学月間SGK通信 [2016.02.09] No.101
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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対称性が高いとか低いとか言いますが,これはいったいどのようなことでしょうか.
正方形の対称性4mmに限定して話を進めます.その他の平面図形についてはブログをご覧ください,

正方形の対称性(点群)は,4mmと表記されます.この記号中の4は,図形の中心にある4回回転対称軸です.
4回回転対称とは,図形を90°回転しても初めの状態と全く変わらないという図形の状態です.
このような操作を4回繰り返すと1回転しますから4回回転軸という名称が付きました.
4回回転対称の対称操作の数は,90°,180°,270°,360°=0°の回転の4つがあります.
正方形の形に対する鏡映対称操作は,横辺の中点を結んだ鏡と,縦辺の中点を結んだ鏡の2枚(青色),
および対角線の方向に2分する2枚(赤色)の合計4枚があります.
前者の2枚の鏡は,4回軸の操作で互いに移り変われ,後者(対角線方向の2枚)の鏡同士も同様です.
しかしながら,前者の鏡と後者の鏡とは4回軸の操作で互いに移り変わることができませんから,
前者と後者は種類の異なる鏡です.そこで,正方形の対称性(点群)の記述では,
4mmというようにm[鏡(mirror)の意]を2つ並べて書きます(注).
(注)正五角形は5mですが,5枚の鏡は5回軸で互いに変換されますので,1種類の鏡(赤の鏡)しかないからです.

点群4mmの対称操作(要素)の数(群の位数と呼ばれる)は,全部で8個になります.
対称性が高いとは,群の位数が大きいことですが,対称要素が次々に減じていく系列のなかで考えます.
これから説明しようとしているのは,それぞれの群の下に含まれる部分群の系統図についてです.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/568615/22/17246222/img_4_m?1454724698

正方形の系列で最も対称性の高い4mmには,4回軸と2種類(赤色と青色)の鏡がありました.
回転対称軸の対称性が下がって(4→2→1)行ったり,鏡映面がなくなったりして,
対称性の高い点群から対称性の低い点群(部分群)が得られます.
赤や青の矢印で結ばれたものは,群と部分群の関係にあります.
図表には,それぞれの点群の対称性を一目でわかる図形で表現しました.

対称要素の数(群の位数)をrとすると,各図形の1/rの領域(緑に塗った)を
対称操作で広げて全体を作ることができます.
つまり,対称性の高い図形ほどこの領域は小さくて済みます.

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平面敷き詰めタイルについて

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数学月間SGK通信 [2016.02.02] No.100
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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おかげさまで100号発行になりました.今年は数学月間は11年目です.
7月の数学月間懇話会に向けての情報も,これから掲載していきますので
よろしくお願いします.日本の数学月間は7/22~8/22です.
さて,エッシャーのような繰り返し模様のモチーフをつくる平行6辺形タイルについては
085(2016/10/20)で言及したことがありましたが,再度ここにまとめてみます.

(1)平行4辺形とは下図の(A)のような形です.
これらは,向かい合った平行な辺どうしは同じ長さです.
向かい合った辺どうしを突き合わせて平面を敷き詰めることができます.
向かい合った辺に同じような変形を加えて図案のモチーフを作ります.
エッシャーの作品の2羽の鳥はこのようにして作られました.
    (A)
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/28/17260028/img_0_m?1454336049
(2)平行6辺形で平行な辺どうしが同じ長さの図形は下図の(B),(C)のような形です.
これらは,向かい合った平行な辺(同じ色に着色)どうしを突き合わせて平面を敷き詰めることができます.
向かい合った辺に同じような変形を加え,図案のモチーフを作るとエッシャーの様な繰り返す絵が作れます.
私は,ハロウイン魔女を作って見ました.
   (B)         (C)
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/28/17260028/img_1_m?1454336049
(3)平行8辺形以上になると平面を敷き詰められないのは何故でしょうか?
平面は2次元のために独立な平行移動の方向は2つで,3つ目の方向は決まってしまいます.
可能な方向は全部で3つで,4つ目の方向は存在できません.
従って,敷き詰め可能なのは平行6面体までということになります.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/28/17260028/img_2_m?1454336049

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大川組子

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数学月間SGK通信 [2016.01.26] No.099
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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皆さまご機嫌いかがですか.東京でもちょっと雪が降ったりしました.
今は寒いですが,晴天の日が続いています.日本海側はだいぶ雪が降っているようですが
被害などありませんように.

今回取り上げる伝統工芸の「大川組子」は,FBの友達からの情報と
ブログの友達からの情報で知りました.ウエブやSNSで得られた情報がことの起こりです.
写真は,見事な伝統工芸の格子です.寸分も違わない見事な細工です.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/64/17219564/img_3_m?1452480087
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/64/17219564/img_2_m?1452480087

この模様の対称性を鑑賞しましょう.
これらの組子は,正3角形2つでできている菱形の胞(セル)を単位としています.
そして,全体を一貫する格子があり,胞(セル)は格子の中に詰め込まれています.
第二の図の右側コラムに,そこに使われている胞(セル)の中身(5種類)を取り出しました.
これらはどの中身も周期的に繰り返すなら,どれもみんな6回対称(p6mm)になります.
違った中身へと移り変わる境界の状態は,対称性で記述するのは困難です.
その複雑さに,数学がまだ追着かない芸術の深さがあるようです.
胞の中身に変化があっても,格子が同じ一貫したものになっています.
これは,人工結晶などで見られる格子整合という状態を連想させます.

素晴らしい「大川組子」の写真をウエブで探してたくさん鑑賞しました.
「大川組子」の格子は,3角格子(正3角形2つの菱形),正方格子,
六角形格子の3タイプがありました.
多くの工芸作品は,みんなこのうちのどれかで,他の格子は使われないようです.
そこで思い当たったのですが,これは,正多角形のタイル張りが,
正3角形,正4角形,正6角形の3種であることと似ています.
そして,上で述べたように3角形の中に入る胞の中身の対称性は3mです.
正多角形の格子を用いることと,胞の中身も格子の対称性と同じにすることは
安定な釣り合いを考えれば当然のことで,
昔から職人は,寸分もたがわぬ組子を作るために
力のつり合いと対称性を直観的に理解していたことがわかります.

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鏡の世界

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数学月間SGK通信 [2016.01.19] No.098
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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鏡は左/右を逆転する(上/下は逆転しない)のが不思議だという人がいます.
そんなに不思議でしょうか?実物と鏡像とは,上は上に,下は下に,左は左に,右は右に映る
(対応する)のですから当たり前で,不思議でも何でもありません.
それでも,鏡像の世界はなんだか不思議な感じがするのは確かです.
この不思議さはどこに原因があるのでしょうか?実物と鏡像を考察してみましょう.
実物は我々の世界にあり,鏡像は鏡の中の世界にあります.
それなのに,鏡像を我々の世界の中にあるように思うことが,この混沌の原因なのです.

■ちょっと脱線ーーーーー
「太古の時代は,我々の世界と鏡の中の世界の行き来ができたそうだ.
(このようなことは4次元の世界なら実際に可能である.)
鏡の中の生き物とこちらの世界の生き物は仲良く一緒にいたのだそうです.
ある夜,突然,鏡の世界の住人達が我々の世界で好き勝手を始めるようになった.
そして人々は,鏡の中の住人の正体が「混沌」であることに気付いたという.
そこで,黄帝が魔力によって「混沌」を鏡の世界に閉じ込め,
姿や動きも我々の世界の模倣しかできないようにした.」*1)
混沌の中から湧き出るように次々と生まれてきたさまざまなものが宇宙を形作った.
そしてこれを神の技として語り伝えられた.

呪文の効果が切れて,鏡の世界の住人達が勝手に動き出すことが将来起こるかも知れない.
私は幻想怪奇小説が大好きです.そのようなテーマの小説*2,3)
のうちで私が好きなものは「パイプをすう男」です:
一人の男が寂しい一軒家に住んでいます.
毎夜,ランプを卓に置き食事をとる.正面の張出し窓の五枚の窓ガラスに,五つの人影が映る.
彼が食事をとれば人影も同じように食事をとって,
彼が食後の煙草に火をつければ,同じように火をつける.
ガラス窓が五稜形をしてるから当たり前だが,毎夜のことだった.
ところが,ある夜,恐ろしいことが起こった.彼は,煙草に火をつけて
いつものように正面の窓ガラスに映る自分の姿に眼をやった.
すると,その一番左の端の窓ガラスで,五番目の彼の姿が同じように火をつけた.
が,つけたのは,彼のように紙巻ではなくてパイプだった.....」*2)

*1)Turbulent mirror, J Briggs & F. D. Peat, 訳:高安秀樹,高安美佐子
*2)パイプをすう男,M・アームストロング,幻想と怪奇 1(ハヤカワ)
*3)わな,H・S・ホワイトヘッド,怪奇幻想の文学(新人物往来社)
ーーーーーーー閑話休題

■鏡映像の左右反転
x軸に垂直な鏡面があるとします.鏡面内に原点(0,0,0)があり,上方向がy軸です.
この鏡面により,(x,y,z)の点は(-x,y,z)の点に映ります.
つまり,y,zは変わりません(上は上に,左は左に対応)が,xは-xに変わります(前向きが後向きに対応).
この鏡面は,xの符号だけ反転します.だから,右手は鏡に映ると左手に変わります.

鏡像は鏡の世界にあるのですが,我々は,鏡の世界を我々の世界の延長のように認識しようとします.
つまり,鏡の世界の天井と地面を,我々の世界の天井と地面と共通のものと直観してしまいます.
そして,鏡像を我々の世界に連れ込んで,前後の向き(鏡像はx方向が反転している)を,揃えようとします.
上下方向(y軸)は,鏡の世界と我々の世界は共通,前後方向(x軸)は鏡像では反転しているので,
我々の世界に鏡像を連れてくるなら,反転したx軸をそろえるため,y軸(左右方向)が反転してしまいます.

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モアレの実験

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数学月間SGK通信 [2016.01.12] No.097
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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先週に引き続き,モアレの美しさを鑑賞ください.
(A)2枚の格子を全く傾けずに(交差角0°)重ねたもの
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/68/17214068/img_0_m?1452512081
(B)2枚の格子を交差角10°で重ねたもの
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/68/17214068/img_1_m?1452512081
(C)2枚の格子を交差角15°で重ねたもの
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/68/17214068/img_2_m?1452512081
(D)2枚の格子を交差角20°で重ねたもの
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/68/17214068/img_3_m?1452512081
(E)2枚の格子を交差角30°で重ねたもの
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/68/17214068/img_4_m?1452512081

2枚の全く同じ格子(3角格子)を重ねます.
3角格子(6mmの対称性)の非対称の領域は0°~30°です.
そこで交差角(回転角)を0°~30°の範囲を実験しました.
言及したい注目点は3つ:
(1)元の3角格子の格子点の集合(並進群A)と,重ね合わせで生じた共通格子点の集合(並進群B)の関係は,
BはAの部分群であることです.
例えば,交差角30°の時の2つの格子に共通な格子点(スーパーラティスという人もいる)は,
coincident-site-latticeで,Fig(E)に示します.
あたかも,結晶の表面構造や高分解能電顕による格子像観察の映像のようです.
(2)連続的に交差角度をかえると,生じた拡大された格子像がズーム・アップして面白いです.
交差角が小さいと拡大率は大きくなります.Fig(B~D)
(3)モアレ現象は,薄膜の干渉で生じる現象にも似ています.
例えば,複写機ドラムの感光体塗膜の厚さにより,界面と表面からの反射光の干渉があります.
望まない干渉縞を除去するそんな特許を昔書いたことがあります.

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モアレMoire

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数学月間SGK通信 [2016.01.05] No.096
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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新しい2016年がスタートしました.皆様のご健康とご成功を祈ります.
やる素振り,やった振りで国民を期待させ欺くのはもう化けの皮がはがれてきました.
日本にとって2016年は大事な年です.良い年になりますように.

■モアレMoire
2枚の同じグレーチング(格子模様)を重ねたとき,もとのグレーチングの拡大像のようなものが
新たに生じるのを見たことがありますか.これはモアレ現象の一種です.
The superposition of two regular nets produces a secondary enlarged net of the same shape.
2枚の全く同じグレーチング(格子模様)を重ねると,たいてい相互にわずか傾いていますから,モアレ(モワレ)縞を生じます.
これは,2枚のグレーチング模様の重なった場所はよく光を通し明るく見えるためです.
重なる場所の出現は周期的ですから,重ね合わせ像のコントラストに周期的な分布ができます
(ビート,うなりのようなものです).そしてあたかも,グレーチングの拡大像を得たように見えます.
グレーチング相互の傾きがわずかなら生じる像の拡大率は大きく,傾きが大きくなると拡大率は小さくなります.
下の3つの写真は,最近ある店の中で撮影したもので,今回モアレのテーマを思い出したのもこのせいです.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/63/17194663/img_2_m?1451706758
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/63/17194663/img_0_m?1451706758
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/63/17194663/img_1_m?1451706758

3枚の写真は,それぞれ全く同じ2枚のグレーチングが平行移動(傾きはなく)して重なっている状況です.
これらの写真を見ると,2次元的なビート・パターンが生じているのですが,
全く同じグレーチングが平行にずれても,新しいビート・パターンは生じないはずです.
ではなぜこのようなビート・パターンが生じたのでしょうか?
それは,2枚のグレーチングの間にスペース D があるために,観測者から視差(パララックス)があり,
前方のグレーチングよりも後方のグレーチングを小さく見込むためです.
これは,わずかに寸法の違うグレーチングを重ねたのと同じ現象なので,
このためにビート・パターンが生じているのです.
とても美しいので,よくわかるように以下の写真を追加します.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/63/17194663/img_7_m?1451706758
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/63/17194663/img_8_m?1451706758
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/63/17194663/img_9_m?1451706758

■詳細考察
では,計算してみましょう:ノギスの副尺の原理を思い出すと良いかもしれません.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/63/17194663/img_6_m?1451706758
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/63/17194663/img_5_m?1451706758

本当のグレーチングの格子のサイズ a
2枚のグレーチングの間隔 D
視点から表面のグレーチングまでの距離 L
後ろのグレーチングの縮小割合 δ/a≡q<1
として,生じるビートの周期 T を求めて見ましょう.
a/(D+L)=(a-δ)/L より δ/a=D/(D+L)
T≡n・a=(n+1)(a-δ)より δ/a=a/(T+a) ⇒ T=a(1/q-1) ← D, L を消去した
  あるいは, T=a(L/D) ← q を消去した
さて,この例で生じた新しいビートの周期は, T=5a のように観測されます.
従って,L/D=5 が得られます.あるいは,1/q=6,つまり δ/a=1/6 です.

2枚の同一なグレーチングの間隔Dで重ねたとき生じるビートが,もとのグレーチングのn倍に見えたら,
観測点から表面のグレーチングまでの距離はL=n・D です.これは,距離Lを測定する道具に応用できるでしょう.
ただし,n=1(T=a)はモアレとは言いません.a/2周期の均一なコントラスト分布です.

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2015年の数学月間懇話会

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数学月間SGK通信 [2015.12.29] No.095
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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いろいろあった2015年もあと数日で終わります.忙しい日々ですがどうぞ
お変わりなくお過ごしになりますよう.皆さまにとって良い2016年になりますように.
毎年7月22日に,数学月間懇話会を実施していますので,ご参加をお誘いします.
来年の計画が決まりましたらご案内いたします.

数学月間を日本数学協会が提唱して今年(2015年)で丸10年になりました.
今年の7月22日の数学月間懇話会(第11回)テーマは,十年目の数学月間(片瀬豊),
フランス数学週間(高窪正明),サッカーボールの対称性を解くトポロジカルシンメトリー(細矢治夫),
繰り返し模様の観賞法(谷克彦),テーラー展開の話(鈴木啓一)でした.
今年も例年のように大変暑い日で,教室付近の構内は自動販売機はないし熱中症も心配されましたが,
高校生5人を含む30人を超す参加があり熱心に質疑もなされました.参加者の過半数が懇親会にも参加されました.
今回のメルマガでは(1)の講演の概要を報告します.
(1)フランス数学週間(高窪正明)
2012年から始まったフランスの数学啓発活動-数学週間(La semaine des Mathématiques)-に付いて,
主にネットで得られた情報を中心に紹介がありました.
数学週間は,国民教育省の企画の下,“現在の生き生きとした魅力ある数学の提示”,
“数学が日常生活で果たしている重要性の提示”,などの五つの目的を掲げ,
パートナーと呼ばれる20数団体が参加して,毎年3月中旬に行われます.
加えて,毎回一つのテーマが決められています.2012年の第一回から2015年の第四回まで順にテーマを記すと,
”女子と数学”,”惑星である地球”,”様々な文化の交差点にある数学”,そして,”数学は,私たちを運ぶ”です.
この数学週間の特徴は,“数学カンガルー”テスト(後述)・暗算大会と国内数学オリンピック大会とが
同時開催されている点でしょう.前者二つは,遊び・身近なものを通じて,数学への関心を高める目的.
後者は,数学を専門として使う人材を養成する目的でしょう.
さて,数学カンガルーとは,1978年,オーストラリアの数学教授が考案した多項目選択式数学(算数)学力テストを,
フランスの二人の数学教授が更に発展させたもの(1991年)で,
現在は,“国境なきカンガルー協会”が,毎年3月の第3木曜日に実施し,
EUを中心に,世界50か国(600万人)以上が参加しています.
テスト問題は,学年・専攻別に12水準で用意され,代数,幾何学,および,
論理の三分野から出題される24問/50分から成り,参加国各国語に翻訳されます.
テスト結果は参加国それぞれで集計され,成績優秀者が表彰されます.
フランスでは,約4,000の学校・約3,000,000の小中高生が参加します.
これら三つの催しの他に,数学週間の期間中,その年のテーマに沿って多くの講演,
多彩な見学会(実習付),そして,教育映画上映会が,
フランス全土の30大学区(教育行政区)・パートナーによって執り行われます.
特に,第一回以来Cédric Villani 教授(2011年 Fields賞)が,活発な講演・啓発活動を行っている事も注目されます.

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折り紙箱の対称性

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数学月間SGK通信 [2015.12.22] No.094
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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本年もあと1週間です.本年お付き合いいただきありがとうございました.
今回は,前回のユニット折り紙の箱の考察の続きです.
■正6角形箱
2つの箱をユニット折り紙で作りました
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/29/17175629/img_0_m?1450707610

どちらの箱も正6角形です.色の見分けのできない(すべて灰色の見える)眼鏡をかけて見れば,
どちらもおなじで6回回転対称です.
左の箱は,6回回転軸の60°回転ごとに,色がオレンジ⇔青と入れ替わります.
このような色の交代と結び付いた6回軸を6’と書きます.
右の箱は,6回回転軸の60°回転ごと(左まわり)に,色は,青→ピンク→オレンジと置換します.
このような3色の置換と結び付いた6回回転軸を6^(3)と書きます[(3)は上付文字です]
左のような,2色交代と空間対称操作との結合はシュブニコフ,
右のような色置換と空間対称操作との結合はベーロフによって研究されました.
空間対称操作(空間群)はフェドロフにより研究されましたのでフェドロフ群と呼ばれるように,
これらの拡張された空間群は,シュブニコフ群,ベーロフ群と呼ばれます.
■シュブニコフ群
左の点群を6’={6',6'^2,6'^3,6'^4,6'^5,6'^6=1}とします.
図形を見てわかるように,色の変化を起こさない点群3={3, 3^2,3^3=1},
[ただし,6’^2=3,6'^4=3^2に注意]が,部分群[実は正規部分群]として含まれています.
したがって,対称操作の集合は2つの集合の和(剰余類展開)になります:
 6'=6’・3+1・3
これは,点群6'を色を変えない正規部分群 3を法として6’/3={1,6'(mod3)}に単純化されるということです.
[注)群3を法としてとは,点群3で動くものはすべて同じものと思えということです.
時計は12を法としています.1時と13時は同じ位置に来ます]
■ベーロフ群
右の点群は6^(3),色を変えない正規部分群は 2={(6^(3))^3=2, 1}ですから,
6^(3)/2={6^(3)(mod2),(6^(3)(mod2))^2, 1}
つまり,mod2というのは,2回軸で移るものは同じと思えということで,考察は図形の半分に帰着できます.
例えば図形の右側だけ見ると,青→ピンク→オレンジの置換が起きることがわかるでしょう.

■正8角形の箱
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/29/17175629/img_1_m?1450707610

左の箱は前回登場した正8角形のものです.点群は 8'
この中に含まれる色を変えない部分群は,4
8'/4={8'mod(4), 1} です.
ただし,正8角形のタイルで平面のタイル張りはできませんから,
有限図形の点群としての8はありますが,8回軸が周期的に並ぶと矛盾が起きます.
つまり,結晶点群として8は存在できません.
例えば,正8角形の分子(オクタテトラエン)が,周期的に配列して結晶を作ったとしても,
並進周期はせいぜい4回対称か2回対称でしょう.

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ユニット折り紙

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数学月間SGK通信 [2015.12.15] No.093
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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ネットでこのような美しい正八角形の箱を見つけました.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/99/17162399/img_0_m?1450074719

このなかに以下のような図形が見られます.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/99/17162399/img_1_m?1450074719

一番外側の大きな正8角形の内に一回り小さな正8角形が
含まれています.そしてその正8角形の内に,さらに一回り小さい
正8角形が見えます.
この調子で,内部に作図を続けていくなら,どんどん小さな正8角形が
含まれて行きます.そのようなどんどん繰り込まれていく図形は
フラクタル図形です.
一回り小さくなる度に,その相似比はどのくらいでしょうか?
外側周は直角2等辺3角形でできていますからすぐわかると思います.
1:√2-1 が答えの相似比ですね.

外側を以下のように星形にすると
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/99/17162399/img_2_m?1450074719

レオナルドの星形8角形が得られます.
外側の星形と内部の星形の相似比は,やはり
1:√2-1 です.
老婆心ながら,この比率を√2+1倍して
√2+1:1
が相似比だと答えても正解です.

■私も折り紙でこの箱を作製してみました.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/99/17162399/img_3_m?1450104156

以下のサイトに作り方が出ていますのでご参考まで.
同じ部品を作っておいて組み立てるこのような作り方を
ユニット折り紙というそうです.
正方形の千代紙が8枚必要です(フタ側の半身で).
ただし,中心の白く見える部分は千代紙の裏側ですから
これが嫌な方は両面印刷の千代紙か,贅沢ですが
背中合わせで2枚重ねの千代紙を使うと良いでしょう.
折り紙では,45度や45度の半分の角度は簡単に作れます.
今回の箱作りでもそのような折り方(下写真)を使います.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/99/17162399/img_4_m?1450104156

■作り方は以下のサイトを参考にしました
https://www.youtube.com/attribution_link?a=CJItUT4Igow&u=/watch?v=RbSiETOOac4&feature=share
八角形の折り紙箱 1/2
http://origamisho.com/archives/1412
セツの折り紙処

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