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ミステリー・サークル

今年の米国MAMの話題からです:
ミステリーサークルを,宇宙人の仕業だと思っている人はいませんね.
美しく正確な幾何学的な造形を見て,「とても人間には作れない」と思うとしたら,
幾何の勉強不足です.直線定規とコンパスだけで誰でも簡単に作れます.
ここでは,以下の3つの動画を紹介します.
(1)

(2)

(3)


なるほどこうやって作るのかご苦労なことです.8人位いますね楽しそうだ.
数学月間の会SGK通信

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2014年の数学月間懇話のご案内

ご無沙汰しました.
数学月間のHPができましたのでご訪問ください
⇒ http://sgk2005.sakura.ne.jp/
7月22日--8月22日は数学月間です.
日本数学協会は,2005年に,7月22日ー8月22日を数学月間と定めました.
この期間は,数学の基礎定数 π(22/7=3.142..) とe(22/8=2.7..) に因んでいます.
この期間に,数学への関心を高めるイベントが各地で開催されるよう応援しています.
月間初日に今年も懇話会を開催します.
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数学月間懇話会(第10回)
日時●7月22日,14:00-17:10
1.人口の集合関数としての「民力指数」
松原望(東京大学名誉教授,聖学院大学)
2.スパゲッテイを巡る旅,
中西達夫(株・モーション)
3.数学月間の狙と効用,今年の米国MAM
片瀬豊,谷克彦(日本数学協会)
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会場●東京大学(駒場)数理科学研究科棟,002号室
最寄り駅●京王井の頭線「駒場東大前」
参加費●無料
問合せ先●日本数学協会,数学月間の会(SGK)
sgktani@gmail.com,谷克彦(SGK世話人)
直接会場においでください.ご参加お待ちしています.
17:30より構内で各自払いの懇親会も予定しています.
詳細は⇒ 数学月間の会

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ささいな事故が雪崩をつくる--複雑系(大規模停電,原発事故)の特性

「複雑系とは何か」は,別項で取り上げるとして,大規模送電網や原発は複雑系です.
2011年7月の数学月間懇話会(第7回)では,これも取り上げました.2011年4月の米国MAMのテーマも「複雑系」でした.
何らかのささいな原因(多分,樹木が送電線に触れスパーク)により,局所的停電が起きた.→送電網の残りの部分に過剰負荷がかかり,健全だった部分の電線が切れる.→あっという間に,次々と送電網全体に停電が拡がる.
日本の原発事故も、引き金は地震・津波だったかも知れませんが,小さな事故が雪崩となり大きな事故を生むという複雑系の特性があります.引き金は,地震・津波だけではありません.組織やエージェントを含め、何処に発端があるか予測できません.
複雑系は,<バタフライ・エフェクト>が起こり得る世界です.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

送電網ネットワーク中にある節点の次数(=その節点に集まる経路の数)の頻度分布図を作ったとき,節点の次数の高いものも残っているような(べき乗則分布)ネットワークですと,次数の高い節点が攻撃されると故障の雪崩につながります.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●べき乗則
大規模停電,巨大地震,所得の分布,.... いろいろな頻度分布に<べき乗則分布>が見られます.正規分布,ポアソン分布,ワイブル分布など,中心値のまわりに釣鐘型の分布を作りますが,べき乗則分布では,規模の大きい事象が起こる確率もいつまでも残っています.
被害コストの期待値は,被害コストと確率の積であり,巨大地震は巨大な被害コストをもたらすので,巨大地震の確率が小さいと言って無視することは間違いです.原発事故も同様です.

(引用文献)ーーーーー
1.2011MAM、http://www.mathaware.org/mam/2011/essays/
Cascading Failures: Extreme Properties of Large Blackouts in the Electric Grid
2.数学文化(2011),16,p113-127
今年の米国MAMの話題と日本の原発事故
3.SGK通信(2011-06)数学月間懇話会報告
http://www.sugaku-bunka.org/modules/journal/journal_main.php?block_id=514&journal_id=22&page_no=2#514

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不確かさ(グレーゾーン)に満ちた世界


●正しく統計を理解しよう!
私達は,yes/noのデジタル思考に毒されています.
そして,数学や科学は,yes/noの答えを出せるはずと思い込んでいます.
しかし,真実はyesでもnoでもない.それを,「yes/noで答えろ」と無理な要求をします.
このようなグレーゾーンの扱いを,都合の良いように報道する大手メディアの数学リテラシーの欠如を憂います.
私達は,不確かなものを正しく判断しなければなりません.
「わずか0.5%の発癌率の上昇」といいますが,それは,何人のがん患者を生み出すと思いますか?
そして,安全/危険のデジタルの区分は何処にありますか?
これらは数学や科学が答えを出してくれません.
国民がどのような生活を選択するか,科学を超えて判断する<トランス・サイエンス>の課題です.
数学月間が今ほど必要な時代はありません.
●大規模データの解析困難さ!
今年の米国MAMのテーマは,<数学,統計学とデータの洪水>でした.
統計学は,品質管理,医療・創薬・臨床,経済金融,統計調査,データマイニングなどの分野に係わり,現在ますます必要性が増しています.
大規模データ(データの洪水)といっても,被験者1人から大量(p個)の特正データを採集できるが,被験者の数(n個)がはるかに少ないn<<pという状態で,推論を行わなければならぬ困難さ-「新NP 問題」が生じている.
つまり,大規模データがあっても,データがむしろ不足している状況で,適用できる統計的推論の新手法が必要とされています.
●不確かさで満ち溢れた世界!
私達は,観測データからモデル(現象を起こす仕組み)を推定する.
このモデルが,全ての観測データをよく説明したとしても,このモデル(サイバー世界)が真実であるがどうか誰にもわからない.将来,このモデルで説明できないデータが観測される可能性は消せないのだから.
かように私達の世界は,不確かなことで満ち溢れています.

SGK通信(2012-03)をご覧ください.

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