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教育数学研究集会の感想★

2月13-16日にRIMS研究集会「教育数学」に参加しました.4日間にわたり討論が行われ,種々の側面から考えるべきことがらが提起されました.今日の数学の暗い状況や明るい側面などさまざまです.これからよく考えてみなければなりません.
■以下は私の感想の一部ですーーー
数学教育については,エリート教育よりも底辺全体の学力アップが重要です.
ともかく,数学を勉強することは,将来何をやるにしても無駄ではない.習った数学がそのまま役に立つというのではなく,習ってから使う時が来るまでに長期間経過していることが多く,数学は役に立たないと言う人を増やしてしまう.
国語教育とは異なる日本語教育が最重要である.クリティカル・リーディングというのは,国語教育のように記述から感情を問うのではなく,内容を問うもので,そのような日本語教育が必要とされる状況である.国会まで論理が噛み合わない(故意に,はぐらかすのもある)社会になってしまった.
共通一次試験のように多数の問いに答を当てはめるスピード対応のテストではなく,考えるテストをしたいものだ.解けることと理解する(わかる)こととは違う.わかったときの大きな喜びは,誰しも経験したことがあるだろう.子供たちにその喜びを味合わせたいものて,真の学力になる.
さて,現代はsociety5.0といわれるビッグデータ・データサイエンスの時代です.対応できる新しい数学が必要です.旧来の統計数学は役にたたず,統計の背景分野の理解やセンスの養成が必要です.

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第4回数学月間勉強会予告

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数学月間SGK通信 [2018.02.13] No.206
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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大雪にならなければよいですね.日本海側の地域にお住いの方お大事に.
私は,今日から京都大学数理解析研究所の研究集会に参加します.
雪にならずに帰れるとよいですが,ちょっと心配です.
さて,数学月間勉強会の第4回を3月末実施の計画を進めています.確定しましたらアナウンスします.
4回目の内容は,群論の応用に関係のある群の表現の話です.
今日は,その入り口をちょと覗いて見ましょう(入口だけですので後日続編を載せます).
色々な電子デバイスは,結晶という舞台で起こる電子や光子のパフォーマンスを利用しています.
結晶という舞台で観測される色々な現象の対称性には,それが起こった舞台「結晶」の対称性が反映されているはずです.
この因果律は,Pierre Curieの原理(19894)と呼ばれます.
特性の対称性(点群)Gproperty ,結晶の対称性(点群)Gcrystal とすると,
 Gproperty⊃Gcrystal
因果律の心は,原因となる場(結晶)の対称性は,すべて結果(特性)に反映されなければならないが,
原因以上の対称性が結果に生じることは妨げないということです.実際に場(舞台)である結晶の対称性より,
その結晶で観測される特性の対称性か高いことは,色々な現象で観測されています.
例えば,結晶で起こるX線回折像の点群は,結晶構造の点群と対称心の直積になることはFriedel則として知られます.
さらに,このFriedel則以上にX線回折像の対称性が上昇する特殊な結晶構造があることも知られています.

■群の表現
有限群G={a,b,c,・・・・,z}の各元aに,複素数を成分とするn次正則行列D(a)を対応させ,
群Gの演算構造を行列の集合D={D(a),D(b),・・・,D(z)}の中で再現することを,群の表現と言います.
つまり,群Gの任意の2元a, bに対し,集合Dでも,D(ab)=D(a)D(b)が成立すれば,集合Dは群Gと準同型な群をなします.
異なるa,b∈Gに対して,D(a),D(b)∈Dも異なれば,GとDは(1:1対応)同型な群です.
異なるa,bも同じD(a)に対応させる(例えば,すべて1に対応させる)ような対応(準同型)でも,
D(ab)=D(a)D(b)が成立しますので群Gの表現です.
◆表現の基底
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/87/18415987/img_0_m?1518439242

ψ_iはf次元の列ベクトルの成分です.ψ_iに対称操作G_aが作用すると,
ψ_iの1次結合に変換されます.ここに現れるf×f次元行列Dを対称操作G_aの
行列表現と言い,列ベクトルψを表現の基底と言います.
このようにすると,群Gを行列の集合Dに対応させることができ,群Gは
行列を元とする群Dを扱う問題に変えることができます.
行列表現を,どの様にして何に使うかは,第4回勉強会のテーマですが,近いうちに続編掲載します.

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数学月間流数学1

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数学月間SGK通信 [2018.02.06] No.205
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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私は,来週2月13~16日の京大,数理科学研究所の研究集会に参加します.4年前の研究集会のときは大雪でした.
京都でも大雪でしたが,こちらに帰ってきた夜は東京も大雪でした.今年も雪にならなければよいのですが,
なんだか悪い予感がします.この研究集会は公開ですからどなも聴講できます.
そのとき発表する内容からの抜粋を以下に転載します(省いた部分も機会があれば披露しましょう).
抜粋はしたものの,今回は長文が続きます.お読みいただけたら幸いです.
気分転換に,今年,子供たちが作る万華鏡の映像動画をリンクしておきます https://youtu.be/v9xVnCQ64Po

■数学月間流数学から教育数学への提言
私たちの数学月間は,社会が数学を知ると同時に,数学が社会を知る双方向活動であるべきだと思います.
数学研究会や同好会であれば,数学だけを論じればよいが,数学月間では数学が働きかける場に立ち数学を見ます.
抽象数学であってもそれが使われる場(対象)と連携した数学の話ならば,数学周辺の人々の共感を得ることでしょう.
数学周辺から数学をとらえる必要があるのだが,数学者はその必要性を感じていないし,
数学周辺に付随したものに気を散らすことは好まない.しかし,歴史的にも数学の発生起源は,
科学技術や社会課題にあり,その数学概念の発見にも現場の科学者たちが寄与しています.
現在でも種々分野の実験結果や法則の中に新しい数学の萌芽があるに違いありません.
教育数学においても,数学の作用する場(対象)からの数学概念の導入が望ましいと考えます.
■今年から始めた数学月間勉強会の目指すもの
(1)米国MAMは,今年から,「数学及び統計学月間」MSAM(Maths and Statistics Awareness Month)となりました.
統計学が強調されたのです.複雑系,画像識別,ビッグデータ解析,レイティングやランキングの予測などが
主要テーマとして登場するようになった背景には,圧倒的なコンピュータ利用と人工知能AIの発展があります.
現代は,衛星からスマートフォンまで大小のソースから,データがリアルタイムで集められます.
予測解析法の革新が期待でき,数学,コンピュータ・サイエンス,データ科学,統計学には実り多い時期です.
Google, Yahoo, Amazon, Facebook, Twitter等々で,私たちのさまざまな情報が蓄積され,
携帯電話も私たちの位置情報を送信しています.嫌なことですが,スノーデンの告発で明らかになったように,
個人情報,個人メールを含むあらゆる通信情報が,米国NSAにより収集(collect it all)され,
進歩したAI技術で検索や解析ができる監視社会になりました.それはともあれ,検索,解析,予測での数学の役割は重要です.
データ解析の基本は評価関数に対する最小二乗法にあり,例えば,材料中の化学状態分布図を得るには,
単成分のスペクトルを基底に1次結合を作り,最小二乗法で混合状態のスペクトルを決定(特異値分解を使う)します.
大規模行列であるがランク落ちのため不定解となる画像の推定は,至る所スパースな解という条件下で最小二乗法に持ち込み,
少ない観測点数でサンプリング定理を超越する驚くほど高解像の解が得られています.
天文学や医用画像などで適用され,MRI撮影の高速化にも寄与しています.実際,画像は大部分の領域でだらだら変化し,
急峻な変化する箇所は少ない(スパース)ので,このような圧縮センシングや画像圧縮jpgが成功しています.
離散数学はコンピュータと相性が良いわけですが,教育数学においても重要性が高いと思います.

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ロマネスコ★

ロマネスコの見事なフラクタル.フィボナッチでもある.これが入っている料理の写真はmossanのロール白菜でとても美味しい.
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円錐突起の数は数えてはいませんが,対数螺旋の形が見えます.各対数螺旋にそって配列する円錐突起の面積はフィボナッチ数列になっているようです.
さらに各円錐突起の中に,また,対数螺旋の構造が見えて,・・・・・・・というような入れ子構造です.このような入れ子が無限に繰り返されるとフラクタルと呼ばれます

▼対数螺旋の性質は,螺旋に沿って中心点へ進むとき,進行方向(接線)と中心を見込む角度が常に一定です.
▼1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,・・・のように続く2つの数を加えると,次に続く数になる数列がフィボナッチです

フラクタルでは,拡大しても拡大しても,いつも同じような形が見えるのです.
例えば,木の枝の伸び方とか,雲の輪郭とか,海岸線などの形です.
対数螺旋やフィボナッチ数列は,成長する形で見受けられます.
例えば,パイナップルや松ぼっくりの鱗の重なり方,向日葵の種の配列,
貝殻の成長した形などです.

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阪大入試の物理の問題

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数学月間SGK通信 [2018.01.23] No.203
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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たいへん雪が積もりました.皆様のところは如何でしょうか.
私が顔見知りのシジュウカラさんたちも雪の明日は餌が食べられなくて大変です.
ヒマワリの種が見えるようにしてあげましょう.
今回は,出題ミスといわれて騒がれている物理の問題です.
問題
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/37/18386837/img_0_m?1516633230

問4を解いて見ましょう.
この設問では,議論の分かれる2つのポイントがあります.
(1)音叉から発せられる音波は,y軸の負方向(壁の報告)とy軸の正の方向では,同位相か逆位相か?
(2)壁での音波の反射は固定端か自由端か?
私の解答
(1)に関しては,A-Iの問いでは,音叉の振動が前後に対称である図があり,
音源を中心に前後で同位相の音波がでると解答させます.素直に解くならば,
問4でも音源からの音波は同位相と思うべきでしょう.
しかし,現実には,逆位相の音波も出ます(両者の音波の重ね合わせもでます).
ここで,逆位相を採用するのは,へそ曲がりだと思うのですが,間違いではありませんので,
逆位相の解答も正解としなければならず,想定した正解だけではなくなりました.

(2)音波は空気が疎密疎密・・・と繰り返される縦波です.
疎の部分は分子数は少ないが分子の運動速度は大きい.定在波ができているときは,固定端が節となり,
節と節の中央が腹です.結局,腹と腹の間隔(=節と節の間隔)が半波長λ/2です.
壁の所では分子の速度はゼロになるので,定在波の節.従って,壁は固定端です.
音源では分子の運動速度は大きいので定在波の腹です.

問4の答えは,2d=(n-1/2)λ となります.
この答えは,大学が当初想定したもので,素直な解答であると思います.
正解に加えざるを得なくなった解答は,2d=nλですが,
これは,音源の前後にでる音波を逆位相とした場合に可能です.
問5の答えは,2回の実験で測定された波長は,62cm,68cmで,平均値は65cm.
用いた音叉の周波数は500Hzと与えられているので,
音速325m/s(有効数字2桁にすると330m/s)が得られます.

■有効数字は,工学で数値計算するときとても重要です.
演算に使った数値のそれぞれの有効数字(信用できる桁数)の小さい方に合わせてきまります.
だから,普通は計算に用いるすべての数値の有効数字は揃えて計算します.
カラオケバトルで,98.716などの点か平気でつきますが,いったい有効数字はどうなんだ.
0.001の差がそんな精度の意味があるのかと思います.

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