数学月間の会SGKのURLは,https://sgk2005.org/
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◆映像が果てしなく繰り返す「インドラの網」
網の上に置かれた真珠は互いに反射し合って,他の真珠を映すだけでなく,他の真珠の映る自身の姿をも映します.世界全体が真珠一つ一つの上に写り,またその姿が別の真珠に映り,これが永遠に続くのです.
”インドラの真珠”
D.マンフォード, C.シリーズ, D.ライト, 小森洋平 (翻訳),日本評論社より
■仏教では,「宇宙の一切のものが,一切のものの原因になっていて,
無限の過去からの無数の原因が,どの一人にも
それぞれ反映されている」と考えます.
これはまさに単純な因果列ではなく複雑系の考え方ですね.
宮澤賢治に「インドラの網」という小品があります.
インドラの網目に縫い付けられた珠玉は,互いに映じ合うと同時に,
自分自身も輝いています.
◆「アポロニウスの窓」という美しい図形は,互いに 接し合う3つの円に接する
第4の円を描くのだが,これを次々と繰り返して生まれる円の中の世界だ.
4つの円の曲率をa,b,c,dとすると,
2(a^2+b^2+c^2+d^2)=(a+b+c+d)^2 というデカルトの発見した定理が
成り立ってい る.
⇒三角形の七不思議 (ブルーバックス) 細矢 治夫
◆美しいアポロニウスの窓を見ているといろいろ な思いが拡がる. それは,
2つの円が互いに接し かつそれらがアポロニウスの窓の外周円とも接し ているとき.これらの接点を通り外周円と直交する円を想像し,それを反転円とすれば,
この反転円で分断された2つのアポロニウスの窓の世界は互 いに鏡像となることだ.もし反転円がどんどん小 さくなれば,その小さな領域に大きな世界がどんどん繰り込まれていき,不思議なフラクタル世界 の美しさがある.
フラクタルの美しさがあり気に入ってます.
Cinderellaというソフトを用いて描きました.
写真: 緑色の円の外にあるピンクと黄色の円を,緑色の円で反転すると,緑色の円内のピンクと黄色の円に写せます.写されたこれらの大きさはその上のグレーの円と同じ大きさです.色々な反転円を考えれば,無限にある大小さまざまな大きさの円はみんな同じ大きさで,円盤内の世界は無限に広いと言い張るのも良いでしょう.
緑色の円の外にあるピンクと黄色の円を,緑色の円で反転すると,
緑色の円内のピンクと黄色の円に写せます.
写されたこれらの円の大きさは,その上のグレーの円と同じ大きさです.
色々な反転円を考えれば,無限にある大小さまざまな大きさの円は,
みんな同じ大きさで,円盤内の世界は無限に広いと言い張るのも良いでしょう.
英国MMPのplusマガジンの42号と31号から論文3編の翻訳です.
⇒ http://sgk2005.sakura.ne.jp/
色々な分野に数学が使われているのを見るのは大変興味深い.
これら3篇の全翻訳は最下行にあるpdfファイルを開いてご覧ください.
■movies
ジェラシックパーク,ロードオブザリングズなど本物そっくりの映画やゲームの世界をつくる3次元映像は数学を使って実現される.光線追跡,事前計算放射輝度伝搬,ラジオシティが,本物そっくりのライティングをリアルタイムで可能にする.3次元の物体回転のグラフィックスではHamiltonの4元数が活躍している.
■buildings
Foster+パートナーグループが,ロンドンシティホール,ガーキン(巨大なきゅうり形)などのランドマークを建設している.環境に影響を与える気流や,内部の反響や,エネルギー効率をシミュレーションする.形状を関数で表現するパラメータモデルが形状の探索に使われる.また曲面でできている外形を平面で作るために,表面の分割に幾何学が使われる.
■memory
πの記憶のギネス記録は,原口氏が2006年に達成した100000桁です.語呂合わせの記憶法では日本人は圧倒的に有利です.数の記憶のメカニズムを解説しています.
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plus42_movies.pdf
plus42_buildings.pdf
plus31_remember.pdf
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数学月間SGK通信 [2014.05.11] No.004
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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■数学まつり
多くの人々が数学に関心をもつようになるイベントを数学月間では応援しています.
講演会,講習会,数学カフェ,ワークショップ,様々な活動形態がありますが,
子供たちが楽しめて数学感覚が身に着く”数学まつり(フェスティバル)”というのが
あり,英国のMMPでも米国のMAMでも大変人気があります.
今年の米国MAMでも,最終日はMoMathの話題でした.
国立数学博物館MoMath(National Museum of Maths)は,米国唯一の数学博物館で,
ニューヨークのマディソン・スクエアに,2012年12月15日オープンしました.
ここには30以上の対話型の展示があります.
東京でもMomathのような常設の数学展示のあるものは,科学技術館,リスーピア,
東京理科大「数学体験館」などがあります.一度見学されると良いでしょう.
■とっとりサイエンスワールド
常設展示ではありませんが,毎年夏に開催される「とっとりサイエンスワールド」
--美しい数学・楽しい算数--はユニークな数学体験フェスティバルです.
小さい子供からお年寄りまで楽しみにしている市民イベントに成長しました.
鳥取県と鳥取県数学教育会の主催で,
鳥取大学と地元の先生方や生徒がボランティアで運営しています.
今年も,米子(8月2日),鳥取(8月31日),倉吉(9月21日)で実施予定です.
私も万華鏡ワークショップで参加しています.
万華鏡は美しいばかりでなく,対称性の数学と関係があります.
■米国MAMでMoMathが紹介されました.
MoMathとは,冒頭で紹介したように,2012年12月15日にニューヨークに
オープンした数学に特化した国立博物館です.
ホールの展示で目立つのは,正方形の車輪の3輪車が滑らかに走る光景です.
たいへん興味深いので,床面の曲線がどのような形であるかを計算してみました.
ここに掲載する結果(Fig.1)は,2013年7月22日の数学月間懇話会(第9回)で
谷が発表したものです.
ついでに応用問題として計算した3角形の車輪の結果を(Fig.2)に掲載します.
注)2013年10月2日に開設された東京理科大学「数学体験館」にも
同じような4角い車輪の車の展示があります.
Fig.1 四角形の車輪
http://sgk2005.saloon.jp/blogs/blog_entries/view/46/d4ca3f8ca64cfd0e784cf3f249e2461e?frame_id=54
Fig.2 三角形の車輪
http://sgk2005.saloon.jp/blogs/blog_entries/view/46/c81205d7276bfb68cd5bfe06f79bec97?frame_id=54
■編集後記
メルマガ1号はtxt形式,2号はhtml形式,3号はtxt形式でお送りしました.
みなさん見え方は如何でしょうか?まだ不慣れなので苦労しています.
html形式の場合は,メール配信されると下添え字などが不自然に見えますね.
良い方法をご存知の方はお教えください.
まぐまぐにすべてのバックナンバーを公開していますから
http://archive.mag2.com/0001633088/index.html で
htmlメルマガを見るを選択すると正常に見えます.
メルマガはメールで軽快に見たいものです.
そこで,基本的にtxt形式で発行して行こうと思っています.しかし
どうしてもtxtではわかりにくい添え字のある数式,図が必要な場合は
html形式を使うことがあります.その時はまぐまぐのバックナンバーの公開で見るか,
私のブログのメルマガ倉庫の中にあるにあるイメージ形式のものを見てください.
このメルマガは,公式HPの記事(煩雑で読みにくい)から面白いものを選択し,
完結した読み物になるように編集・書き下ろしています.ブログも同様です.
メルマガは内容重視で,できるだけ言葉txtでわかるようにしたいと思います.
メルマガにない美しい図などは私のブログの方でご覧ください.
イベント情報などもご紹介します.皆様からの情報やご意見ご感想をお寄せください.
002号はHTML形式で発行したため,txtメールでは,下添え字などに乱れがあります.
まぐまぐサイトでhtmlメルマガを見るを選んで見てください.
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数学月間SGK通信 [2014.05.09] No.002
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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■■無限大の脅威(2014年米国MAMの話題より)
今回は,奇妙な数学の話です.数式はうまく表示できているでしょうか?
■発散する級数
S=1+2+3+4+....+n+....=-1/12
正の整数すべての総和が無限大でなく-1/12であるという.正気の沙汰なのか?
このとんでもない結果は,1748年に偉大なオイラーにより導かれた.
発散する数列は悪魔の発明であり,無限級数を用いると,どんな結論でも導くことができる.
発散する級数の研究は,アーベル(1802-1829)に端を発する.
数学者がこの悪魔の細部を解決するのに続く百年を要したのだ.
すなわち,リーマンの解析接続の理論(1859)を待ち理論的解決した.
現代では,物理学(超弦理論,量子計算)や数学(ζゼータ関数)で利用している.
リーマンは素数の分布を調べるためにζ関数に解析接続をした関数の0点を研究し,
リーマン予想を提示した(1856).これはまだ解かれていない.
■オイラーの発見が現実に
オイラー+リーマンの ζ関数は無限級数の形で定義される.
ζ(s)=1+2-s+3-s+4-s+5-s+....
この関数は,実部が1より大きいRe(s)>1複素平面で収束するが,
実部が1あるいは1より小さいRe(s)=<1複素平面では発散する.
そこで,全複素平面(ただし1は極)に,ζ 関数の定義域を拡張
するのに解析接続という手段が役立つ.
S=ζ(-1)=1+2+3+4+5+....
S1=1-1+1-1+1-1+....=1 奇数項までの和
0 偶数項までの和
この和は,偶数項で止めれば0,奇数項まで止めれば1になる.
しかし,解析接続という理論を使うと1/2になることを以下に示す.
f(x)=1+x+x2+x3+x4+x5+....=1/(1-x)
この多項式は公比xの等比級数だから,|x|<1なら収束し1/(1-x)になる.
もとの多項式は|x|<1の外では発散するので定義できないが,
級数を解析接続した関数1/(1-x)に繋ぎ,形式的だが
x=-1を入れると 1/2 が得られる.
S1=f(-1)=1-1+1-1+1-1+....=1/2
級数S1, S2 などを等式と見立て加減演算をし,Sを求めてみよう.
o+oなどの無限大を数値のように演算しているのが気持ち悪いが
解析接続で収束した級数を用いているので実は正しい結果になる.
S2=1-2+3-4+5-6+.... とすると,
2S2=1-2+3-4+5-6+....+[1-2+3-4+5-6+....]=1-1+1-1+1-1+.... =1/2
ゆえに,S2=1/4が得られる.
S-S2=1+2+3+4+5+6+....-[1-2+3-4+5-6+....]=
=4(1+2+3+....)=4S
ゆえに,S=-S2/3=-1/12
■参考
http://www.mathaware.org/mam/2014/calendar/infinity.html
超弦理論入門,大栗博司,ブルーバックス
リーマン予想を解こう,黒川信重,技術評論社
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数学月間SGK通信 [2014.05.10] No.003
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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☆7月22日--8月22日は数学月間(since2005)☆
日本数学協会は,2005年に,7月22日-8月22日を数学月間と定めました.
この期間は,数学の基礎定数 π(22/7=3.142..) とe(22/8=2.7..) に因みます.
この期間に,数学への関心を高めるイベントが各地で開催されるよう応援しています.
イベント情報を,日本数学協会,数学月間の会にお寄せください.
毎年,月間の初日7/22に,数学月間懇話会を開催しています.
お気軽においでください. 詳細は⇒ http://sgk2005.sakura.ne.jp/
■■必要とされる大量データ解析新手法
■大規模データ解析の困難さ!
2011年の数学月間懇話会(第7回)のテーマの一つは,”サイバー世界のモデリング”
北川源四郎氏(統計数理研究所)であった.今日,我々の周囲で莫大なデータが
収集されるようになったが,解析すべきパラメータ数も多くなったので,
データ量がやはり不足している(「新NP問題」).溢れるデータから必要な解析を
行うには,新手法が必要とされる.
数学月間懇話会(第9回)の記録⇒
http://sgk2005.sakura.ne.jp/htdocs/index.php?key=jox165hdn-11#_11
2012年の米国MAMのテーマも,<数学,統計学とデータの洪水>だった.
統計学は,品質管理,医療・創薬・臨床,経済金融,統計調査,データマイニング
などの分野に係わり,現在ますます必要性が増している.
大規模データ(データの洪水)といっても,被験者1人から大量(P種類)の特性データ
を採集できるのだが,解析する特性数より被験者の数(N個)がはるかに少ない
(N<<P)という状態であり,この状態で推論を行うのはとても難しい.
これが「新NP 問題」と呼ばれている.
つまり,大規模データがあるといっても,データはむしろ不足している.
このような状態に適用できる統計的推論の新手法が必要とさる.
■不確かさで満ち溢れた世界!
私達は,観測データからモデル(現象を起こす仕組み)を推定します.
このモデルが,全ての観測データをよく説明したとしても,このモデル(サイバー世界)
が真実であるがどうかは誰にもわからない.将来,このモデルで説明できないデータ
が観測される可能性は消せないのですから.
かように私達の世界は,不確かなことで満ち溢れています.
■■編集後記
私達は,yes/noのデジタル思考に毒されているので,数学や科学は,yes/noの
答えを出せるはずと思い込んでいます.あるいは,判断できないと知りつつ
「専門家の判断」と言って責任転嫁に利用するのは政治の常套手段です.
真実はあるのだが,yesでもnoでもないのが真実.それを,「yes/noに2値化」
するのは科学ではない.まことに理不尽な要求です.
科学が出したグレーゾーンの結論を,自分に都合の良いように2値化するのは,
似非科学で結果だけを報道する大手メディアの数学リテラシーの欠如を憂います.
安全/危険の2値化区分を何処に置きますか?数学や科学で答えを出せません.
その判断は,国民がどのような価値を選択するかの問題です.
これは,科学を超えて判断する<トランス・サイエンス>の課題になります.
数学科学の結果を恣意的に利用され,数学科学の信用を落としてはなりません.
数学月間が今ほど必要な時代はありません.
正3角形の車輪では如何でしょうか?
(2013.10.6のFacebookより)
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数学月間SGK通信 [2014.05.07] No.001
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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■■数学月間を知っていますか
7月22日~8月22日は数学月間です.
日本数学協会は,2005年に,7月22日~8月22日を数学月間と定めました.
この期間は,数学の基礎定数 π(22/7=3.142..) とe(22/8=2.7..) に因みます.
「数学が社会を支えていることを知り,逆に,社会の課題を数学が知る」機会
です.この期間に,数学への関心を高めるイベントが各地で開催されるよう
応援しています.SGK通信に情報をお寄せください.
毎年,月間初日の7月22日には,数学月間懇話会を開催しています.
■■お知らせ
数学月間懇話会(第10回)
日時●7月22日,14:00-17:10
プログラム●
1.人口の集合関数としての「民力指数」
松原望(東京大学名誉教授,聖学院大学)
2.スパゲッテイを巡る旅,
中西達夫(株・モーション)
3.数学月間の狙と効用,今年の米国MAM
片瀬豊,谷克彦(日本数学協会)
会場●東京大学(駒場)数理科学研究科棟,002号室
最寄り駅●京王井の頭線「駒場東大前」
参加費●無料
問合せ先●日本数学協会,数学月間の会(SGK)
sgktani@gmail.com,谷克彦(SGK世話人)
一般の方が対象ですご参加お待ちしています.直接会場においでください.
17:30からは,構内で各自払いの懇親会も予定しています.
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■■数学に関心を(第1回)
■米国MAMはレーガン宣言から始まった
連載第1回目は,米国MAMのスタートとなったレーガン宣言です.
全文を掲載します.
どなたの草稿か知りませんが,格調高く今日でも心を打ちます.
米国MAMのスタート時は月間行事ではなく,週間行事MAWでした.
⇒http://sgk2005.sakura.ne.jp/
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アメリカ合衆国大統領による宣言5461
「国家的数学週間」1986年4月17日
宣言(National Mathematics Awareness Week)
およそ5000年前,エジプトやメソポタミアで始まった数学的英知は,
科学・通商・芸術発展の重要な要素である.
ピタゴラスの定理からゲオルグ・カントールの集合論に至る迄,
目覚ましい進歩を遂げ,さらに,コンピュータ時代の到来で,
我々の発展するハイテク社会にとって,数学的知識と理論は
益々本質的になった.
社会と経済の進歩にとって,数学が益々重要であるにも拘わらず,
数学に関する学課が米国教育システムのすべての段階で低下する傾向にある.
しかし依然として,数学の応用が医薬,コンビュータ・サイエンス,宇宙探究,
ハイテク商業,ビジネス,防衛や行政などの様々な分野で不可欠である.
数学の研究と応用を奨励するために,すべてのアメリカ人が日常生活において,
この科学の基礎分野の重要性を想起する事が肝要である.
上院の共同決議261で,国会が1986年4月14日から4月20日の週を,
国家的な数学週間に制定し,この行事に注目する宣言を出す事を
大統領に要請した.
今日,アメリカ大統領,私ロナルド・レーガンは,
1986年4月14日から4月20日の週を国家的数学週間とする事を,ここに宣言する.
私はすべてのアメリカ人に対し,合衆国における数学と数学的教育の重要性を
実証する適切な行事や活動に参加する事を勧告する.
その証拠として,アメリカ合衆国の独立から210年の西暦1986年の4月17日,
ここに署名する.ロナルド・レーガン(Ronald Reagan)
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■米国MAM活動の様子(2006年当時の記事)
各地の大学を中心に,講演会,講習会,展示会等が展開される.
婦人向け数学講習会,女性数学者の伝記奨励,数学に関する優れた記事を
書いたジャーナリストの表彰,教え方の優秀な高校の数学教師と大統領が
食事を共にする等々の行事が報告されています.[いかにも米国らしい]
毎年,国家的に統一テーマが選定され,開発されたテーマ用素材は,
電気自動車[2006年当時は先端だった]を使って配られる.
活動の総括と結果集計は、毎年,春に行い,次年度への企画の検討に入る.
力を結集し参加を奨励するために,AMS,MAA,SIAMのリーダー,部門長,
選ばれた高校の先生,公共政策の代表者,関係する団体のリーダー達へ,
その年のMAMの小包が送付される.これには,カラーポスター,はがき,
現地の活動に役立つ素材のリスト,特別なMAM行事を行うにあたりメディア
報道等を含んでいる.
MAMの活動は,学部,先生,諸学年の生徒,両親,他の公共社会のメンバー,
公的政策リーダーやビジネスマンなど幾千人もの意見で評価される.
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■MAMの年度別テーマ
1986数学----基礎的訓練
1987美と数学の挑戦
1988米国数学の100年
1989発見のパターン
1990通信数学
1991数学----それが基本
1992数学と環境
1993数学と製造業
1994数学と医学
1995数学と対称性
1996数学と意思決定
1997数学とインターネット
1998数学と画像処理
--MAWからMAMへ------
1999数学と生物学
2000数学は全次元に
2001数学と海洋
2002数学と遺伝子
2003数学と芸術
2004ネットワークの数学
2005数学と宇宙
2006数学とインターネット保全
2007数学と脳
2008数学と投票
2009数学と気候2013持続可能性の数学
2010数学とスポーツ
2011解明進む複雑系
2012統計学とデータの洪水
注)略語表
MAM:Mathematics Awareness Week
MAM: Mathematics Awareness Month(4月)
AMS:American Mathematical Society米国数学会
MAA: Mathematical Association of America米国数学協会
SIAM: Society for Industrial and Applied Mathematics工業応用数学会
ASA: American Statistical Association米国統計学協会
JPMB: Joint Policy Board for Mathematics米国連結政策協議会
*)2006年から、ASAが加盟することになった.
■■編集後記
数学月間は数学者のものではなく,一般人が対象です.数学は,
ものごとの本質を追求し,装飾を剥ぎとり,その本質をあぶりだします.
出来上がった抽象化された概念体系(定理)を,数学者は美しいと感じます.
数学とは,そのような理論体系であるべきことは確かです.
しかし,このようにして出来上がった抽象的な数学を見せられても,
一般人は興味が湧かない.そこで,数学月間は<数学と社会の架け橋>として,
数学が実際の課題に使われていることを示して行こうと考えています.
大学の数学では,完成され抽象化された数学を,数学科の先生が教えます.
これは,数学科の学生に対する教程としてはオーソドックスなものですが,
数学科でない学生には不親切であります.工学,薬学,経済学など,
それぞれの専門に適した内容の数学が必要であると考えられ始めました.
このような議論は,英国のMMPや日本の「教育数学の構築」などで見られます.
SGK通信にご意見などをお寄せください.
国立数学博物館MoMath(National Museum of Maths)は,米国唯一の数学博物館で,ニューヨークのマディソン・スクエアに,2012年12月15日オープンした.
ここには30以上の対話型展示がある.
ホールの展示で目立つのは,正方形の車輪の3輪車が滑らかに走る光景である.
たいへん興味深いので,床面の曲線がどのような形であるかを計算してみた.
ここに掲載する結果は,2013年7月22日の数学月間懇話会(第9回)で
谷が発表したスライドである.
注)2013年10月2日に開設された東京理科大学「数学体験館」にも
同じような4角い車輪の車の展示がある.
数学月間懇話会(第9回)スライド
◆27枚のカード・トリック
米国の数学月間MAMは毎年4月です.今年は,マーティン・ガードナーの生誕百年にあたります.
それを記念して,MAMのテーマは,”Maths, Magic and Mystery”でした.
4月は,毎日一つの面白い話題が発表されました.
27日に発表されたのは「27枚のカード・トリック」でした.
27の枚カード・トリックは,マーティン・ガードナーが1956年に発表したものですが,
それをマット・パーカーが発展した新バージョンです.
詳しくは⇒ 数学月間の会
◆Matt Parker
エジンバラ・フェスティバルでは大人気のコメディ・ショーを持つ数学コミュニケータ.楽しいです.⇒ http://www.standupmaths.com/
◆27枚カードのトリックは次のように演技される:
観客に任意のカード1枚(例えば,スペードA)と,27以下の数字(例えば18)を選ばせる.
演技者は,選んだカードが何んであるか知らない.選ばれたカードを含む27枚のカードは十分に混ぜられ,裏向きの束に積み上げられている.演技の最後には,27枚のカード束の上から18番目の位置に,選ばれたカードを移動して見せる必要がある.つまり,スペードAの上に17枚のカードがあるようにしたい.
この演技のプロセスに,3進法が利用されている.
3進法で17を表すと17=2x30+2x31+1x32で,221と表記される.
(ここでは,1の位から先に表記しているので,慣れている表記と逆順になるのに注意)
演技者は,27枚のカードを,3つの山に,1枚づつ配り分けていく.
選ばれたカードがどの山に入っているか聞いてから,3つの山を,さりげなく重ね合わせる.
再度同じ操作を繰り返す.結局全部で,この操作が3セット繰り返され,1つの束ができるが,不思議なことに求めるカードは,上から18番目に置かれている.
このトリックのミソは,3つの山を重ねる順番にある.重ねる機会は3回あるのだが,
各回の束を作る時,どの山を上(Top=0),中(Middle=1),下(Bottom=2)の
何処に置いたら良いだろうか?
さりげなく手際が良いので見分け難いが,ビデオの後半で,マットがその仕組みを説明する.
日本語の解説は⇒ 数学月間の会
ビデオをよく見て練習しましょう!⇒