数学月間の会SGKのURLは,https://sgk2005.org/
数学月間の会SGKのURLは,https://sgk2005.org/
■NPO法人「数学月間の会(SGK)」(理事長岡本和夫)が設立されました.
詳細は新ウエブサイト http://sgk2005.saloon.jp/ をご覧ください.
数学月間の会の会員募集中です.ご支援のほどよろしくお願いします.
問い合わせや会員登録は sgktani@gmail.com
■数学月間の会とは
数学はあらゆる文化・学術の基盤で,科学,工学,産業,芸術,医学,経済など,社会のあらゆる分野を数学が支えています.しかしながら,一般市民,特に,生徒・学生とその両親は,数学学習を敬遠する風潮にあり,これが数学力の低下をもたらしています.
米国では,1986年4月17日のレーガン宣言により国家的な行事として「数学月間」MAMが開始され,今日に至ります.米国MAMは,数学系の学協会が参加するJPBM(Joint Policy Boad for Maths)が,毎年,社会を反映した数学テーマを選定し,毎年4月に種々の数学イベントを展開し,国民からの事後評価も受けます.皆が知りたい時局の数学を,種々のレベルで学習できるウエブサイトができ,そこにエッセイや論文が集積され,そのテーマの数学を基礎から最先端まで,学生が独習できる優れたガイドになります.MAM期間には,一般から専門家まで,小学生から大学生まで,いろいろなレベルのイベントが全国で展開されます.米国が国家的行事のMAMを決断した背景には,国民の数学力が低下し,米国の産業力も低下するとの焦りがありました.日本も同様な状況にあるものの,国家的行事の数学月間は実施されておりません.
近年,日本でもSTEM(科学・技術芸術・工学・数学)教育が叫ばれていますが,これも2003年に始まった米国のSTEM教育に源を発します.これらの科目の中で統合的に数学を教える試みは良いことですがまだ成功していません.数学月間の視点はSTEM教育へも貢献できるものと思います.
数学を学ぶ同好会,塾,講習会,講演会などは種々あります.これらも重要であるのは言うまでもありませんが,我々の目指す「数学月間」活動は,このような数学同好者の内部にとどまる活動ではありません.数学がかかわるあらゆる分野を横断して数学を紹介する数学外の一般市民に向けた活動です.
一般市民,学生,生徒に対し,数学が社会を支えている事例を,わかり易く啓蒙する事業を行い,数学への社会的共感を獲得し,社会に数学文化を普及させ,社会の発展に寄与することを目的とする市民の活動です.どうぞ活動にご協力ください.
日本の数学月間は,2005年に日本数学協会が7/22-8/22を数学月間と定めたことに始まります.任意団体「数学月間の会(代表;故片瀬豊)」は,2005年の発足以来,ボランティア・ベースながら,毎年,数学月間の初日7/22に,数学月間懇話会を開催し,計37件の啓蒙的な講演を一般市民に対し実施することで,数学啓蒙活動をこの時期に集中し,数学の重要性を社会にアピールしてきました.このような数学月間活動は,米国MAMのように国家的行事として行うべき性質のもので,個人寄付金とボランティア・ベースで行う現状には限界があります.数学同好会ではなく,活動を社会に波及させるためには,NPO法人格を得た「数学月間の会」が,数学の内部にとどまらず社会の諸分野に横断的に呼びかけ活動し,「社会と数学の架け橋」になることが必要でした.
4月から新しい「数学月間の会」の会員になり,一緒に活動しませんか.
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
数学月間SGK通信 [2019.03.26] No.260
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
周期的な2次元平面の互いに独立な並進ベクトルは2方向とれます.
これら2本の並進ベクトルが挟む平行4辺形を単位胞といいます.
並進ベクトルの組み(単位胞の形)を対称性で分類したものがブラベー格子です.
2次元のブラベー格子には,図に示す5種類があります.
そして,それぞれに対応する格子の図も掲載しておきました.
さて,以下に伝統文様を10種挙げました
図の中に赤色ベクトルで,並進の周期を書き込んだ図もあります.
1.書き込んでない図にも赤色ベクトルを書き込んでみましょう.
赤色ベクトルの選び方はいろいろ可能ですが,
単位胞の形(赤色ベクトルで囲まれた平行4辺形)が
A正方形,B長方形,C120°の菱形,D任意角度の菱形,
の4種類のどれかにあてはめるようにとれます.
2次元のブラベー格子の5種類のうち,一般形の平行4辺形に属する伝統文様は,
ここの例には挙げていません.
2.それぞれの伝統文様は,A,B,C,Dのどのタイプに属するでしょうか.
3.伝統文様のいくつかを,どこかで見たことがあるでしょうか.
私は立涌を壁紙で見かけます.
■ 円に点Bを通る2直線が交差しているときに,方冪の定理が成り立ちます.
■2つの長さの加法,減法は簡単です.以下の図をご覧ください:
■結局,直線定規とコンパスだけを有限回繰り返し用いて作図できる長さは
加法,減法,乗法,除法,開平です.
開平を繰り返せは,2のべき乗根(4乗根,8乗根,...)は作図できますが,
例えば,立方根は作図できません(この証明は難かしいのでスキップ).
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
数学月間SGK通信 [2018.11.06] No.240
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
私は色々な万華鏡を作っています.
今日は万華鏡のクイズを2つ載せますので,お考え下さい.
(1)2枚鏡(ブリュースタ)の万華鏡
Q:
下の2つの映像は,2枚鏡のある万華鏡を観察したものです.
ワンドの中のガラスくずの流れとともに,映像はいろいろに変化しますが,映像の対称性はいつも同じです.
そのわけは,生じる映像にはいつも万華鏡の鏡室の対称性が反映されるからです.
それでは,この万華鏡の2枚鏡の交差角度は何度でしょうか?
(2)正多面体の見える万華鏡
Q:
次の写真は万華鏡の映像です.正8面体(緑)と正6面体(青),正4面体(赤)が同時に見えています.
これは,3枚鏡の万華鏡ですが,どのような鏡の組合せでしょうか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
A
(1)
(2)
正8面体(緑)と正6面体(青)の対称性は同じなので,空間中の非対称領域(3枚の鏡が囲む空間=鏡室)は同じですが,
正4面体(赤)の非対称領域はこの2倍の大きさです.
したって,これらの3つの正多面体が同時に生じているということは,
正4面体の非対称領域がこの万華鏡の鏡室であることが必要です.
万華鏡の3枚の鏡は,それぞれ,青,黄緑,赤紫で示した平面で,この3平面はO点で交わっています.
左図は正4面体の鏡室,右図は正8面体と正6面体の鏡室です.
この万華鏡は,正4面体の鏡室の場に,一番右の図に示すように物体(緑)を置いたり,
光の線分(赤,青)ができるようにしてあります.
この透明な立方体の箱(単位胞)が周期的に並ぶと,ページ65の空間の充填ができます.結晶はこのように単位胞が並んだ周期的構造です.
小梁(OSA工房)のパズルは,単位胞だけ取り出して充填させるパズルです.
図1 図2 図3
図1は,透明な単位胞の底面中央に正8面体の上半分が見える様子です.この正8面体の残りの下半分は,見えませんが立方体の底面を突き抜けて存在します.
周期的な空間ですから,透明な箱(単位胞)の天井と床は同じもので,天井から箱内に向かって存在とイメージすると良いです.
単位胞内の底面の4隅には正8面体の1/8が見えます.この正8面体の残りの部分は,周期的な空間なので,図2のように立方体の壁を突き抜けて存在します.
図1のように並んだ正8面体の間隙には正4面体が4つ入ります(図3).
図4 図5 図6
透明な単位胞の6つの面に,半割の正8面体を図4のように貼りつけました.単位胞内に6つの半割正8面体が入っています.単位胞の中心で,これら6つの半割正8面体の頂点が出会い,正8面体は稜を共有してつながります.
単位胞の中に含まれる正8面体の数は,半割正8面体6個と単位胞の8つの隅に1/8の正8面体がある(6×1/2+8×1/8)ので4個です.
図4をよく見ると,単位胞の内部にあるこの多面体(注)には8個の正4面体の間隙があることがわかります.従って,このような単位胞が繰り返される空間は,充填される正8面体と正4面体の個数比は1:2です.
注)半割の正8面体6つと,正4面体8つでできる多面体は,半正多面体{3,4,3,4}です.