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数学月間SGK通信 [2016.03.01] No.104
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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平面の非周期なタイル張りの一つが,
ロジャー・ペンローズが考案した(1966)ペンローズ・タイリングです.これは
2種類のタイルによる規則的ではあるが,周期的ではないタイル張りです.
2通りの方法でペンローズ・タイリングを作る.
(1)正10角形から出発して,分割・拡大を繰り返して作る
ペンローズ・タイリングに出てくる2つの2等辺3角形 A型とB型は,
正5角形の中にあります.この図形には黄金比1:φがたくさん出てきます.
A型やB型の2等辺3角形の等辺と底辺の比はφ:1(A型)や1:φ(B型).
ただし,φ=1.618・・・
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/568616/95/17313295/img_0_m?1456754314
黄金比の3角形は,分割すると同じ型の3角形が含まれている性質があります.
A型およびB型の2等辺3角形は,それぞれ図示したように分割できます.
この性質を利用して,正10角形から出発して,分割とφ倍の拡大を繰り返すと
平面全体をA型とB型の2等辺3角形で埋め尽くすことができます.
こうしてペンローズのタイル張りを得ることができます.
タイルの分割が十分進んだときの,AのタイルとBのタイルの個数の比は,
φ(=1.618・・・):1の黄金比になります.
図は3回の分割と拡大を繰り返して得た図形です.
この図形で見られる形は,凧(2A)と矢(2B)です.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/568616/95/17313295/img_1_m?1456754314
(2)正5角形のフラクタル配置を繰り返して作る
正5角形を一回り大きな正5角形の内に並べます.
これをさらに一回り大きな正5角形の内に並べます.
これを次々繰り返すと,全平面を埋め尽くすフラクタル図形ができます.
図上段は,この操作を3回繰り返したところです.
ギャップができますが,気にしないで配列を進めます.
実は,後でギャップの中も正五角形(白色)で埋めます.
すると最終的には,王冠型や星型のギャップが残されることがわかります.
この図をよく見ると,図中段のような2種類のタイル(黄色と青色の菱形)で
置換えると,図下段のようにペンローズ・タイリングであることがわかります.
図下段右の大きなペンローズ・タイリングはこのようにして得たものです.
このペンローズ・タイリングには,中心に5回回転対称が残っていますが,
中心の回転対称を消す配置も可能です.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/568616/07/17050507/img_3_m?1456754576