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数学月間SGK通信 [2016.06.07] No.118
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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早いものでもう6月です.私は,どれも進まないまま大変焦っています.
皆様は,順調な日々をお過ごしでしょうか?
これから,万華鏡と繰り返し模様の話を始めようと思います.
平面群P3m1とP31mの対称性はとてもよく似ています.
以下の2つはともにエッシャーの作品です.比較鑑賞しましょう.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/566714/93/17489893/img_0_m?1465078055
どちらも3回回転対称のある繰り返し模様ですが
鏡映面の入り方が違います.
P31mの方には,鏡映面が集まっていない3回対称軸がありますが
P3m1の方の3回対称軸の場所には,すべて鏡映面が集まっています.
両者の絵から受ける微妙な感覚の差は,
このような所にあるのではないでしょうか?
■正三角形の鏡室の万華鏡を作ると,P3m1の壁紙模様が観察できます.
しかしながら,P31mの壁紙模様は自然には得られません.
その理由は,P31mでは鏡室の内部の図柄が3回対称である必要があるからです.
鏡室の図柄は,ガラス屑が自然に分布して作る図柄なので,
それが3回対称であるなどという偶然はあり得ません.
(注)平面群の記号P31m,P3m1の記法について:
P:単純格子,3:紙面に垂直な3回回転軸,
単位胞の辺(並進方向)に垂直な鏡mの有無,その他の方向の鏡mの有無
鏡のないときは1と記す.