数学月間の会SGKのURLは,https://sgk2005.org/
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ロマネスコの見事なフラクタル.フィボナッチでもある.これが入っている料理の写真はmossanのロール白菜でとても美味しい.
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円錐突起の数は数えてはいませんが,対数螺旋の形が見えます.各対数螺旋にそって配列する円錐突起の面積はフィボナッチ数列になっているようです.
さらに各円錐突起の中に,また,対数螺旋の構造が見えて,・・・・・・・というような入れ子構造です.このような入れ子が無限に繰り返されるとフラクタルと呼ばれます
▼対数螺旋の性質は,螺旋に沿って中心点へ進むとき,進行方向(接線)と中心を見込む角度が常に一定です.
▼1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,・・・のように続く2つの数を加えると,次に続く数になる数列がフィボナッチです
フラクタルでは,拡大しても拡大しても,いつも同じような形が見えるのです.
例えば,木の枝の伸び方とか,雲の輪郭とか,海岸線などの形です.
対数螺旋やフィボナッチ数列は,成長する形で見受けられます.
例えば,パイナップルや松ぼっくりの鱗の重なり方,向日葵の種の配列,
貝殻の成長した形などです.
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数学月間SGK通信 [2018.01.23] No.203
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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たいへん雪が積もりました.皆様のところは如何でしょうか.
私が顔見知りのシジュウカラさんたちも雪の明日は餌が食べられなくて大変です.
ヒマワリの種が見えるようにしてあげましょう.
今回は,出題ミスといわれて騒がれている物理の問題です.
問題
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/37/18386837/img_0_m?1516633230
問4を解いて見ましょう.
この設問では,議論の分かれる2つのポイントがあります.
(1)音叉から発せられる音波は,y軸の負方向(壁の報告)とy軸の正の方向では,同位相か逆位相か?
(2)壁での音波の反射は固定端か自由端か?
私の解答
(1)に関しては,A-Iの問いでは,音叉の振動が前後に対称である図があり,
音源を中心に前後で同位相の音波がでると解答させます.素直に解くならば,
問4でも音源からの音波は同位相と思うべきでしょう.
しかし,現実には,逆位相の音波も出ます(両者の音波の重ね合わせもでます).
ここで,逆位相を採用するのは,へそ曲がりだと思うのですが,間違いではありませんので,
逆位相の解答も正解としなければならず,想定した正解だけではなくなりました.
(2)音波は空気が疎密疎密・・・と繰り返される縦波です.
疎の部分は分子数は少ないが分子の運動速度は大きい.定在波ができているときは,固定端が節となり,
節と節の中央が腹です.結局,腹と腹の間隔(=節と節の間隔)が半波長λ/2です.
壁の所では分子の速度はゼロになるので,定在波の節.従って,壁は固定端です.
音源では分子の運動速度は大きいので定在波の腹です.
問4の答えは,2d=(n-1/2)λ となります.
この答えは,大学が当初想定したもので,素直な解答であると思います.
正解に加えざるを得なくなった解答は,2d=nλですが,
これは,音源の前後にでる音波を逆位相とした場合に可能です.
問5の答えは,2回の実験で測定された波長は,62cm,68cmで,平均値は65cm.
用いた音叉の周波数は500Hzと与えられているので,
音速325m/s(有効数字2桁にすると330m/s)が得られます.
■有効数字は,工学で数値計算するときとても重要です.
演算に使った数値のそれぞれの有効数字(信用できる桁数)の小さい方に合わせてきまります.
だから,普通は計算に用いるすべての数値の有効数字は揃えて計算します.
カラオケバトルで,98.716などの点か平気でつきますが,いったい有効数字はどうなんだ.
0.001の差がそんな精度の意味があるのかと思います.
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数学月間SGK通信 [2018.01.16] No.202
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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大変寒い日が続きます.風邪も流行っているようです.
皆さまにとって今日も良い日でありますように.
今日の話題の懸垂曲線にでて来るの石橋の写真は通潤橋です.
この写真を撮影したのは,12年以上前のことです.
石積の橋で,水を台地に持ち上げて運ぶために,サイフォンの原理を使うなど
優れた石工の技術に感心しました.
熊本地震でも残った堅牢さにも感心していますが
現在,石の配管の修理中と聞きます.
■インボリュート曲線
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/556225/47/16380447/img_2_m?1516025270
右図をご覧ください.青い円が糸巻きで,この糸巻きに巻いてある糸を(黒い線)
ほどいているときに糸の先端が描く曲線(赤色)をインボリュートといいます.
ほどく糸の巻き始めは,青い糸巻き表面のインボリュート曲線の出発点です.
糸が引っ張られる方向は,いつもインボリュート曲線に垂直であることに注目してください.
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/556225/47/16380447/img_1_m?1516025270
インボリュート曲線は歯車の歯の形に利用されます.
左図のように,青い歯車と黄色い歯車がかみ合っている状態を考えて見て下さい.
歯車の形がインボリュートならば,
これらの歯は回転中いつも互いに垂直に押し合っていて理想的な歯車になります.
インボリュート曲線の方程式の作り方を,下の図に示しました.
■懸垂曲線
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/556225/63/16380663/img_0?1516024764
両端で固定された密度一定のひもが垂れ下がった時の形です(下左図).
石積の橋が描くアーチもこれ(懸垂曲線の上下を逆にしたもの)
右図は円柱を5つ積んでつり合いを保っている状態.
テーブル上の左右のブロックは,一番下の円柱を両側から押しています.
円柱間は点での接触ですのでバランスをとって積むのは非常に難しいが落ち着いてやればできます.
この形は石橋と同じ懸垂曲線です
■ダイヤモンドの価値は,4C[Carat重量,Color色,Cralityキズ,Cutカット]で評価されます.ここでは,数学的に興味のあるカットのプロポーションについて述べました.ラウンド・ブリリアン・カットのダイヤモンドが最も輝くようにしたプロポーションを理想カットといいます.理想カットは1919年にベルギーのMarcel Tolkowsky(数学者でダイヤモンドのカッター)が計算しました.今なら,コンピュータもあるし,光線追跡のソフトウエアもある時代で,理想カットの形(プロポーション)を見つけることは容易でしょうが.1919年にどのように計算したのか,興味深いことです.多分,閉じ込められた光線が全反射を繰り返す光路に注目したのでしょう.
(左図)ダイヤモンドのブリリアン・カットの各部の名称を図に記載してあります.正面の平らな面をテーブル面,上半分をクラウン,下半分をパビリオンと呼びます.真ん中のガードル面に対してクラウン斜面のなす角度をβ,パビリオン斜面のなす角度をαとしました.
(右図)テーブル面の左隅Aに入った光線(赤色)が,ダイヤモンド内部を進み,後方の左パビリオン斜面で全反射され,次に,右パビリオン斜面で全反射され,テーブル面右隅Bに戻り,前方に出て行く光線もありますが,テーブル面右隅Bで一部は反射され内部に戻る光線(青色)になります.この光線は全反射を繰り返し内部に閉じ込められることになります(青色).
この図で追跡した光線は,テーブル面の左隅Aから出て,テーブル面の右隅Bに達する左右対称の光路です.ダイヤモンドの屈折率n≒2.417を用いて,この光路のテーブル面での入射角φ,屈折角γに対する屈折の式,sinφ=n・sinγ から,左右対称になる入射角φ(テーブル面の垂線と入射光線のなす角)を求めると,21°になります.というのは,左右のパビリオン間でテーブル面と平行になる光路ですから,左のパビリオン斜面での反射の法則(反射角αはパビリオン角αに等しい)から,γ=90°ー2α=8.5°となることが決まるからです.ここで,パビリオン角α=40.75°を用いました.
■屈折率の高い媒質中に光が閉じ込められるのは,全反射を起こし易いからで,ダイヤモンドの全反射の臨界角θ(入射角でいうと)は,sinθ=1/nだから,θ=24.4°(反射面から測った反射角で言うと,65.6°)です.
テーブル面の出口で反射されて内部に戻った一部の光線は,パビリオン面とクラウン面で全反射を繰り返し内部に閉じ込められます.パビリオン角α=40.75°,クラウン角β=34.50°というのは実によくできた設計です.
全反射によりブリリアン・カット内に閉じ込められた光線の経路は,一周すると,これに平行な経路に戻ることを証明するために,次の作図をしてみました.BC(赤色)の直線はダイヤモンド内部で全反射を繰り返す光線(青色)を外に引き伸ばしたものです.その代わりに,ダイヤモンドも反射面を共通にしてつないで並べました.結局,全反射を4回繰り返すと光線が平行になるということは,このように配置したダイヤモンドが4つで回転角が0に戻る(初めの向きと同じ)ことからわかります.
■カットの形を評価するには,そのカットの形を磨き直して理想カットにするとしたら,重量がどれだけ減るか(カット減点%)で表します.カット減点5%までは理想カットと見做されます.さて最後になりましたが,トルコフスキーの理想カットのプロポーションを表紙の図に示しました.トルコフスキーはガードル厚には言及せず,ナイフ・エッヂだったそうですが,現実にはナイフ・エッヂは作れず,ガードル厚は必要です.
■(注)ラウンド・ブリリアン・カットとは,58のファセット面を磨き上げた形(キューレットも1面と数えます)です.ダイヤモンドは立方晶系の結晶ですから,複屈折はありません.また,光の分散もそれほど強くなく上品です.虹色にぎらぎらするようならキュービック・ジルコニアなどの疑いがあります.
クラウン面の高さや,パビリオンの深さが最適でないと,テーブル面の中が暗くなります.
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数学月間SGK通信 [2018.01.02] No.200
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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新年おめでとうございます.良い年でありますように.
皆様は良い新年をお迎えでしょうか.
お陰様でこのメルマガも本号で200号になりました.
本年も宜しくお願い致します.
数学月間懇話会(通常は毎年7月22日に実施)は今年が第14回になりますが,
今年に限り,7月は私の都合が悪いので,8月22日に変更したいと思っています.
決まりましたらご案内を致しますのでご参加ください.
その他,いくつか私の参加するイベント予定があります,興味おありの方はご参加ください.
2月13-16日,京都大学数理解析研究所,RIMS教育数学研究集会
3月上旬,東大出版会,数学月間勉強会,第4回
さて,前号「数学月間とは何か1」の続きです.
2.数学と社会の架け橋=数学月間
数学月間活動がボランティア・ベースである以上,本意ではありませんが活動のメニューを絞らざるを得ません.
数学月間の核心を考察してみましょう.数学月間活動は,数学者のための活動(数学界を応援する)ではありますが,
数学者のための活動(数学内輪の同好会)ではありません.つまり,数学を取り巻く周辺への働きかけです.
国民の数学への関心を高めれば,畢竟,数学者のためになるのだが,現実は,
数学者たちの偏狭さと自由思考のため,献身的な協力は得られていません.
2012年から始まったフランスの数学啓蒙活動(数学週間)を見てみましょう.
数学週間は,国民教育省の企画の下,“現在の活き活きとした魅力ある数学の提示”,
“数学が日常生活で果たしている重要性の提示”などの5つの目的を掲げ,
パートナーと呼ばれる20数団体が参加して,毎年3月中旬に行われます.
毎年,統一テーマが決められます.また,“数学カンガルー”,
“国内数学オリンピック大会”なども同時開催されます.
他分野の例も比較してみましょう.日本化学会など化学4団体が,10月23日を「化学の日」,
この日を含む月曜から日曜までを「化学週間」と2013年に制定しました.
10月23日としたのは何故か? 高校の化学を思い出すと,なるほどと思い当たることでしょう.
化学週間には,全国一斉のオープンキャンパスなどがあり,意匠登録されたロゴマークを,
すべての化学啓発活動に付してビジビリティの向上を目指しています.
提案4団体だけではなく,経産省や文科省,マスコミ,企業など,
産官学一体となった本格的な活動が立ち上がっています.
化学の日イベントは,各地の高校や大学,研究所などで実施され,
月刊誌「ニュートン」,「化学」,「現代化学」,「子供の科学」などへのPR記事の掲載があります.
数学研究は孤高で周辺分野との架け橋は必要ないとの見方もありますが,
数学の影響は社会のあらゆる分野に広がり,化学の比ではありません.
数学月間活動の呼びかけは数学の外周へ向けた広い視野の横断的な活動でなければなりません.
それにもかかわらず,数学者は,抽象化されたものを洗練することに熱中し,
自ら手を染め現実から数学を抽出しようとしたがりません.物理,化学,工学,医学,社会科学,..
のどの分野であろうと形而下には関心がないようです,抽出された数学は美しいに決まっているが,
数学者はその美しさに自己陶酔し,その源泉である周辺分野への配慮がほとんどないので,
国民レベルから数学への共感を得るに至っていません.