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使用済核燃料は1億倍の放射能

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数学月間SGK通信 [2015.09.15] No.081
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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前号では,周期律表113番目の元素発見の話をしました.
今回は,原子番号96番のアメリシウムの話です.
原子番号92のU(ウラン)より大きい原子番号の元素(超ウラン元素)は天然には存在せず,
原子炉や原爆で人工的に生成された放射性の核種です.
これらの元素が我々の環境で検出されたなら,
原爆実験や原発事故や使用済核燃料の再処理などで排出されたものです.
これらの元素は大変不安定で,α線やβ線やγ線や中性子を放出して他の元素に姿を変えます.
超ウラン元素は,93番Np(ネプツニウム),94番Pu(プルトニウム),
95番Cm(キュリウム),96番Am(アメリシウム),の順で発見されました.
キュリウムやアメリシウムはマンハッタン計画(1944年)で発見されましたが,
発表されたのは1945年11月のことです.アメリシウムの中にも多くの核種がありますが,
質量数241のAm(アメリシウム)は,α線(5.4MeV),γ線(60keV)を放出して,
質量数237のNp(ネプツニウム)に変わります(半減期433年).
 241Am → 237Np +α +γ
さてアメリシウムはどのようにして生まれるのでしょうか.
稼働中の原子炉では,核燃料中の238Uは中性子を取り込み239Puに変わります.
生まれた239Puは,また中性子を取り込み241Puに変わり,これはβ線を出して241Amに変わります.
239Pu(2.41万年)+2n → 241Pu(14.4年)→ 241Am +β

電気出力100万kWの軽水炉を2年間運転すると,使用済核燃料には1トン当たり,
アメリシウムが5g(放射能強度0.65×10^12Bq)含まれます.
奇妙に思えるでしょうが,原子炉から取り出した使用済核燃料の中で,
時間の経過とともにアメリシウム量が増えます.10年後に40g(放射能強度5.2×10^12Bq),
100年後には93g(放射能強度12×10^12Bq)という具合です.
使用済核燃料中には,核分裂生成物としてプルトニウムやアメリシウムを始め,
数百種類の放射性核種が生まれています.
使用済核燃料は,未使用の核燃料の1億倍もの放射能強度になり手に負えません.
だから原発を再稼働させてはいけないのです.
http://www.cnic.jp/knowledge/2611

原子力発電によって生み出される放射性物質は,「死の灰」あるいは「高レベル放射性廃棄物」と呼ばれます.
未使用燃料(1トン) ーーーーー→ 使用済燃料(1トン)
U-235(45kg)            U-235(10kg)
U-238(955kg)           U-236(6kg)
                核分裂生成物(46kg)
                プルトニウム(10kg)
                その他超ウラン核種(1kg)
                U-234(0.2kg)
               U-238(926kg)
http://www5a.biglobe.ne.jp/~genkoku/kohza-002.htm

■アメリシウムの性質
Amは空気中で表面が酸化されAm2O3となり,また塩酸に容易に溶けます.
アメリシウムは,α線とγ線を放出するが,人体影響では,α線による内部被曝が怖い.
アメリシウムからのγ線のエネルギーは60keVでγ線としては低エネルギーの部類です.
ただし,人体影響では細胞に吸収されるエネルギーが細胞にダメージを与えるので,
低エネルギーの方が吸収されやすいということもあり,安全というわけではありません.

■核燃料中のアメリシウム-241
プルトニウムを核燃料として用いる立場からは,プルトニウム-241の核分裂に必要な遅い中性子を,
アメリシウム-241が無駄食いするので,核燃料中の阻害物です.
再処理によって分離したプルトニウムを核燃料として用いる場合には,
アメリシウム-241の量が増加しないうちに,核燃料として用いる必要があります.
http://www.cnic.jp/knowledge/2611

■川内原発
九州電力川内原発1号機が営業運転に移行し,川内2号機も炉心への燃料装荷が
11日から始まり13日朝に完了しました.10月中旬の再稼働を目指しています.
川内原発の1号機,2号機とも,軽水減速・加圧水型PWRで,出力89万kWで,
低濃縮(U-235が4~5%)二酸化ウラン(72トン/年)を使用します.
http://www.kyuden.co.jp/sendai_outline_index.html

ウラン燃料は,ペレットの型(直径8mm×10mm)で,ペレットを350個程度積み上げて棒状にした
燃料棒(長さ4m)を17×17あるいは15×15本まとめて燃料集合体(20cm角程度)を作る.
ただし,PWRの場合には制御棒クラスタや炉内計測用の案内管もあるので,集合体に燃料棒の入らない位置がある.
川内原発1号機,2号機ともにこのような燃料集合体が157体装荷された.
(注)沸騰水型BWRの原発の燃料は,燃料棒を9X9にまとめ燃料集合体として原子炉に装荷する.
制御棒の入る位置は燃料集合体の間になる.
http://www.nfi.co.jp/product/prod02.html

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