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2015年の数学月間懇話会

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数学月間SGK通信 [2015.12.29] No.095
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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いろいろあった2015年もあと数日で終わります.忙しい日々ですがどうぞ
お変わりなくお過ごしになりますよう.皆さまにとって良い2016年になりますように.
毎年7月22日に,数学月間懇話会を実施していますので,ご参加をお誘いします.
来年の計画が決まりましたらご案内いたします.

数学月間を日本数学協会が提唱して今年(2015年)で丸10年になりました.
今年の7月22日の数学月間懇話会(第11回)テーマは,十年目の数学月間(片瀬豊),
フランス数学週間(高窪正明),サッカーボールの対称性を解くトポロジカルシンメトリー(細矢治夫),
繰り返し模様の観賞法(谷克彦),テーラー展開の話(鈴木啓一)でした.
今年も例年のように大変暑い日で,教室付近の構内は自動販売機はないし熱中症も心配されましたが,
高校生5人を含む30人を超す参加があり熱心に質疑もなされました.参加者の過半数が懇親会にも参加されました.
今回のメルマガでは(1)の講演の概要を報告します.
(1)フランス数学週間(高窪正明)
2012年から始まったフランスの数学啓発活動-数学週間(La semaine des Mathématiques)-に付いて,
主にネットで得られた情報を中心に紹介がありました.
数学週間は,国民教育省の企画の下,“現在の生き生きとした魅力ある数学の提示”,
“数学が日常生活で果たしている重要性の提示”,などの五つの目的を掲げ,
パートナーと呼ばれる20数団体が参加して,毎年3月中旬に行われます.
加えて,毎回一つのテーマが決められています.2012年の第一回から2015年の第四回まで順にテーマを記すと,
”女子と数学”,”惑星である地球”,”様々な文化の交差点にある数学”,そして,”数学は,私たちを運ぶ”です.
この数学週間の特徴は,“数学カンガルー”テスト(後述)・暗算大会と国内数学オリンピック大会とが
同時開催されている点でしょう.前者二つは,遊び・身近なものを通じて,数学への関心を高める目的.
後者は,数学を専門として使う人材を養成する目的でしょう.
さて,数学カンガルーとは,1978年,オーストラリアの数学教授が考案した多項目選択式数学(算数)学力テストを,
フランスの二人の数学教授が更に発展させたもの(1991年)で,
現在は,“国境なきカンガルー協会”が,毎年3月の第3木曜日に実施し,
EUを中心に,世界50か国(600万人)以上が参加しています.
テスト問題は,学年・専攻別に12水準で用意され,代数,幾何学,および,
論理の三分野から出題される24問/50分から成り,参加国各国語に翻訳されます.
テスト結果は参加国それぞれで集計され,成績優秀者が表彰されます.
フランスでは,約4,000の学校・約3,000,000の小中高生が参加します.
これら三つの催しの他に,数学週間の期間中,その年のテーマに沿って多くの講演,
多彩な見学会(実習付),そして,教育映画上映会が,
フランス全土の30大学区(教育行政区)・パートナーによって執り行われます.
特に,第一回以来Cédric Villani 教授(2011年 Fields賞)が,活発な講演・啓発活動を行っている事も注目されます.

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