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世論調査は正しいか

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数学月間SGK通信 [2016.06.21] No.120
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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世論調査に関する記事は,日刊ベリタ(6/18)に掲載していただきました
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201606181029266
今週号は,これをもとに書き足したものです.
以前にも,英国世論調査(5/24号),ビデオリサーチ(5/31号)は,すでに取り上げています.
こういったものがどれほど正しいのか,疑問に思いませんか?
自分は聞かれたことがないのにどうして意見が反映されるのか?
わずかなサンプル集合で行った統計的推論が母集団の性質になるのか?素朴な疑問ですが,
これらは根拠のない不安ではありません.
明後日は参院選の公示で,それから選挙戦に突入します.
世論調査は週末に行われ,調査の方法はだいたいRDDという
「コンピューターでランダムに発生させた番号に調査員が電話をかける」方式です.
母集団は全国の全有権者で,調査に選ばれた回答数「サンプル集合」は,2,000から700程度です.
サンプル集合はこの程度のサイズだから,私は選ばれたことは一度もありません.
各地域からできるだけ均一なランダムサンプリングになるように,色々工夫をしているようですが,
誰もランダムサンプリングがなされたことを保証できません.
実際に偏ったサンプリングが行われて(意図的ではなかったが)予測が外れた例が昨年の英国総選挙でも起きました.
意図的に偏ったサンプル集合や小さなサンプル集合を採用することも可能で,世論操作は可能です.
出された数値は独り歩きします.
メディアのコメンテータは,世論調査で出た政党支持のわずかな変化を過剰に解釈する傾向があり,
証拠が推論をサポートしていない(統計的に有意でない)のに,公衆に党の運命が変わってきたと印象づけたりする.
何ポイント支持率上昇とかいうが,そのような変化を起こす因果関係を説明できる事実はあるのか私は問いたい.
アンケートの作り方(問の文章,およびそれらの配列順,回答用選択肢)は,回答結果に影響を与えます.
複数ある設問は,互いに独立に見えるが,実際はある種のパラメータで関連し合っている.
設問の配列順で,そして,回答を誘導していくことも可能です.
問題を良く理解している人しか答えにくいようにすることも可能です.
「○○のために,▲▲するのはどう思いますか」というような問いかけは巧みです.
条件付きで答えが決まるなら,条件がない問いには答えようがありませんから.
このような論理と因果関係は明瞭にして欲しいものです.
とにかく色々な原因で,サンプル集合には偏りが生じます.そのようなサンプル集合で解析した結果は,
サンプリング理論の予想外の誤差が起こります.
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最後に,先週末(6/17~19)時点の各社の世論調査から内閣支持率だけ掲載します:
日本テレビ:世帯数1487,回答数725,回答率48.76%,
内閣支持43.3%,内閣不支持39.5%
NHK:世帯数3035, 回答率66%,
内閣支持47%, 内閣不支持34%
朝日新聞:世帯数2371,有効回答1163,回答率49%,
内閣支持45%,内閣不支持36%
読売新聞:
内閣支持49%,内閣不支持38%

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