数学月間の会SGKのURLは,https://sgk2005.org/
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2019.02月号より,文 Юрий Белецкий +図 Алексей Вайнер
■オデッサ州立フィルハーモニー協会(建築家-A.I.ベルナルダーツィ)
の窓は,円と弧のパターンで装飾されています.
この窓は,すばらしい幾何学問題を提供しています.
白板に描いたように,小さな3つの円の中心$$O_{1},O_{2},O_{3}$$は1つの直線上にのります.証明してください.
■この問題をみて思い浮かべるのは,以前掲載した以下の2つの記事です.
アポロニウスの窓,アルべロス(靴屋のナイフ)という形のなかに面白い幾何学世界があります.
反転の利用ーパップスの定理
https://note.com/sgk2005/n/n56056054e23c
インドラの網と反転円
https://note.com/sgk2005/n/nec1396b13bd4
アルべロス(下図のオレンジ色の形)の中で,パップスの定理が成立しています.しかし,円$$ω_{2}$$と円$$ω_{1}$$の中心を結ぶ線は,水平ではありません.
いま問題になっているオデッサの窓内の円では,$$O_{1},O_{2}$$を結ぶ直線は水平になるのですが,その原因は,外側の大きな円(半径$$r$$)内で重なり合う2つの円(半径$$ar$$)に接するように,半径$$xr$$の円を決定することによります.しかる後に,この半径$$xr$$の円に接するように,半径$$yr$$の円を描くと,この円の中心は半径$$ar$$の中心線上に存在するようです.
問題のオデッサの建物図では,$$a=2/3$$(大きな円の直径を3等分する位置に柱がある)のようですが,実は,同じ半径の円が重なっていれば(任意の$$1/2<a<1$$)成り立つようです.
接する4つの円の半径の間にはデカルトの定理という式が成り立ちますが,それを計算するのは容易ではありません.幾何で解くことにしました.
円の接する条件を図示すると,辺の長さが,$$1-x,1-a,a+y,x+y$$の4角形になります.4角形の対角線は,$$a+x,1-y$$です.この条件は関係する円が接するための条件です.$$1-x$$の辺が垂直なのは対称性から明らか,半径$$yr$$の円の中心と,半径$$ar$$の円の中心を結ぶ$$a+y$$も垂直として,$$x$$と$$y$$を解くと,
この$$x,y$$を用いて,互いに対向する辺の長さを求めると,互いに等しいことが証明でき,矛盾は出ません.
従って,この4角形は長方形になり,辺$$x+y$$は水平であることがわかります.