数学月間の会SGKのURLは,https://sgk2005.org/
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数学月間SGK通信 [2017.10.03] No.187
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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9月26日,14:30から,数学月間勉強会(第2回)を開催しました.様子をご報告します.
第1回は,空間の周期でしたが,今回,第2回のテーマは,有限図形の対称性(点群)でした.
次回,第3回は,周期的な空間に点群を配置して,繰り返し模様の対称性(結晶空間群)を構築することになります.
鏡映面だけから生まれる対称性の例として色々な万華鏡と,
その万華鏡の映像が群を生成する場合としない場合の説明をしました.
参加者の三野さんは,ゾムツールで作った格子を展示しました.
■さて,今回考察する有限の対称図形の例は,皆さまの馴染み深いプラトンの正多面体5種類から始めました.
すなわち,正4面体{3,3},正6面体{4,3},正8面体{3,4},正12面体{5,3},正20面体です{3,5}.
ここで用いた{p,q}の記号は,シュレーフリの記号といい「正p角形が頂点でq個集まっている正多面体」を記述しています.
p,qを入れ替えた{q,p}の図形は,{p,q}と互いに双対と言います.p,qを入れ替えるというのは図形で言うと,
頂点を面に/面を頂点に替えた図形ということです.すなわち,{4,3}と{3,4}は双対,{5,3}と{3,5}は双対です.
互いに双対な図形の対称性(点群)はもちろん同一です.
ある正多面体や,互いに双対な正多面体を組み合わせて(混合して),
頂点を切る(切頂)操作で色々な半正多面体が得られますが,
生まれた半正多面体は,もとになった始めのプラトンの正多面体と対称性(点群)は変わりません.素性は隠せないのです.
周期的空間=結晶空間で,可能な点群の回転対称には制限があります.
許される回転対称は,2回軸,3回軸,4回軸,6回軸だけです.
何故かというと,正5角形や正7角形のタイルでは隙間なく平面が張れないからです.
従って,正12面体(正20面体)の点群は結晶点群ではありません.3次元の結晶点群は32種類あります.
■今回の主題は,点群を2つの群の積に分解して,その群の構成を見る群論手法を説明です.
群Gの中に正規部分群Hを見つけると,「商群G/Hが作れて,G/Hはより小さい群(Gの部分群)G’に同型である」
という準同型定理を応用しています.群Gの要素で注目したある性質が同じとする基準で要素を束ねたものを考えると,
群Gはより小さな群G’に写像できるというわけです.記号で書くと,G/H=G’
これは,群Gの正規部分群をH,部分群をG'として,これらの積で群Gが作れるということです.正確に言うと,
G=H(x)G',G=H(s)G',G=H(・)G'(modH)のどれかのタイプの積で作られます.
(x)は直積,(s)は半直積,(・)は条件積と言います.[数学記号(環境依存文字)は,〇の中にxやsや・が入ったもの]
条件積が現れる最後の群では,G'(modH)は,Hの要素だけ異なるものは同値と思えという条件で群が成り立つという意味.
modは法としてと読みます(時計で13時と1時が同じなのは,mod12で数えるから).
文章での説明は,ここまでにしますが,詳しくは私のブログをご覧ください.
勉強会では,ここで必要になる:正規部分群,準同型定理,直積,半直積の説明をしました.
条件積の具体的な例として,4回対称群4の分解結果を掲載しておきます;4=2(・)4(mod2)
■次回第3回は,11月末あたりを予定していますが,まだ確定していません.
決まりましたらお知らせをします.