数学月間の会SGKのURLは,https://sgk2005.org/
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数理資本主義の時代だそうだ.この経産省の調査報告の表題には違和感はあるが,
GAFA(Google,Amazon,Facebook,Apple)と言われるIT企業の繁栄を見れば,
ビッグデータを解析する数学が国富の源泉である(気に入らない表現だが)という主張にも一理ある.
米国では,ビッグデータの時代を迎えて,市民への数学啓発の「数学月間」も「数学統計学月間」に衣替えしている.
日本は米国に20年は遅れているといわざるを得ない.
経産省はあせっているようだが,ことさらに利用できる数学をそのように強調し,
強者になるための道具にすることには違和感がある.
高い年収が得られるとのキャンペーンに動かされて数学を職業とするのでは本末転倒,底が浅いと言わざるを得ない.
これまで,電気電子,計測などの工学部が応用数学の研究と教育を担っていたが,
コンピュータの発展により,数学能力が低下したのは事実と思う.
例えば,理論を何も知らずとも優れたコンピュータ・ソフトを操り,
良い結果を得る状況はしばしば目撃してきた.
しかし,これからのAI(ディープラーニングなど)は,コンピュータ・ソフトを使いこなしてもダメで,
データ・サイエンスの基礎となる数学(確率,統計,情報理論,グラフなどの離散数学,
線形代数,離散Fourier,トポロジーなど)は何でも総動員する.
近年,日本でも工学部にデータ・サイエンス部門が新設され始めている.
データ・サイエンスの基礎となる数学を扱うカリキュラムを作り出す工夫が最も重要であろう.
私は「数学では物は作れない」という意見も正しいと思う.
データ・サイエンスもデジタル制御も強力なコンピュータがあって初めて出来る.
そして,コンピュータが扱うのは数値(解析や予測)のみである.
工学は具体的に物や反応に働きかけねばならない.コンピュータ全盛前には
アナログ制御も工学が応用数学を発展させすばらしい成果を出しているではないか.
これまでの応用数学に敬意を払おう.
「コンピュータは役に立つが数学は役に立たない」とは誰も思ってはいないはずだ.