数学月間の会SGKのURLは,https://sgk2005.org/
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(注)ここで載せた参照リンク先は,現在なくなっています.マンデルブロ集合の描画は,例えば, http://e-mandelbrot.com/ などで試すことができます.
マンデルブロ(仏の数学者)は,「フラクタル」という概念の創始者(1975)です.私たちは,ニュートンの微積分の発明以来,至る所で接線の引ける曲線を扱っていました.フラクタル曲線というのは,これらと全く異なる曲線で,以下の性質があります.
・曲線のどんな小さな部分を拡大しても,自分全体と同じ形が現れる曲線.
・至る所ギザギザで接線が引けない曲線.
■マンデルブロ集合というのは,ちょっと変わったフラクタルです.
複素平面上で,次の漸化式で定義される数列を考えます.
Z(n+1)={Z(n)}^2+c, Z(0)=0
Z(n)やcは複素数で,cは定数,Z(0)は初期値といいます.
複素平面上の点cに対して,数列 Z(0),Z(1),Z(2),・・・・,Z(n),・・・ を計算していきます.n→∞ のとき,|Z(n)|→∞ にならない(発散しない)数列が作れる複素数cの全体が作る集合(図の黒い部分)が,マンデルブロ集合です.
面白い形をしていますが,拡大しても拡大しても(解像度を上げても)同じ構造が見えるフラクタル性があります.
(注)ある定数cに対して,数列が発散しない初期値Z(0)の集合を充填ジュリア集合といいます.
http://mandelbrot.ovh.org/image.php?antialias=on&func=1&a=4&x1=-2&point=on&y1=1&x2=1&y2=-1&repeats=100&xZ0=0&yZ0=0&r=2&gen=1
発散しないということは,有限な値に収束するか,有限な範囲に振動するかです.
例えば,c=-1とすると,Z(0)=0,Z(1)=-1,Z(2)=0,Z(3)=-1,・・・・と数列は振動します.c=-1+iとすると,Z(0)=0,Z(1)=-1+i,Z(2)=-1-i,Z(3)=-1+3i,Z(4)=-9-5i,・・・・,この数列は発散です.発散しなかったc=-1はマンデルブロ集合に入り,発散したc=-1+iはマンデルブロ集合に入りません.このようにして複素平面を塗り分けて,奇妙な形のマンデルブロ集合が出来上がります.
しかしながら,実際はこの判別が難しい.始めのうちは有限に見えたものが,nが大きくなると突然発散するかもしれません.現実には際限なく計算するわけにはいきませんので,判定は近似j的で,例えば,n=200まで計算して,ある閾値を越えなければ,発散しないと判定するわけです.
そして,マンデルブロ集合(黒い部分)の境界外は発散するのですが,発散のスピードにより着色しています.このような抽象芸術のような不思議なパターンをご覧になったことがあるでしょう.これは,c のわずかな差により,運命が劇的に変わるカオスと秩序が入り混じってフラクタルになっている世界です.
http://mandelbrot.ovh.org/image.php?antialias=1&func=1&a=4&x1=-1.15625&y1=0.25&x2=-0.40625&y2=-0.25&repeats=100&xZ0=0&yZ0=0&r=2&gen=1
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マンデルブロ集合をネット上でonlineで描かせるサイトが色々あります.
例えば,http://mandelbrot.ovh.org/ などを使ってみると面白いと思います.
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数学月間SGK通信 [2017.03.07] No.157
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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桜もずいぶん早く咲いているのを見かけますね.皆様のところでは如何でしょうか.
今回もダ・ビンチの星型を取り上げますが,「星型小12面体」とも呼ばれる形を見てみましょう.
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http://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/10/17940010/img_0_m?1488810835
シュレフリの記号で書くと{5/2,5}です.
(注)シュレフリの記号{p,q}というのは,
正p角形の面が,頂点でq個集まっているような正多面体を表す記号でした.
この形は,東京都庭園美術館,朝香宮邸,姫宮の部屋の照明器具にも使われている美しい形です.
芯になるのは正5角12面体で,その12個の正5角形の面の上に,それぞれ正5角錘を取り付けた形をしています.
正5角錐の頂点は,それぞれ,正12面体の面に対応していますから,
頂点を結んでできる図形(赤の多面体)は,正12面体に双対な正20面体です.
2次元の断面を見ると,以下の左図の様な星型正多角形(ダビデの星)が見えます.
イメージ 2
http://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/10/17940010/img_1_m?1488810835
上図の図形は,星型5角形(ダビデの星)と星型8角形(ダ・ビンチの星型)です.
それぞれの図にある赤い輪郭線(それぞれ正5角形と正8角形)は,
凸多角形(凹所のない多角形)で,赤い輪郭線の多角形内部に,黒い線分で描いた図形が星型です.
左のダビデの星を見て下さい.
星型正5角形の辺をA→B→C→・・・→Aと1周りたどると,
辺の向き(→)が2回転することがわかります.(あるいは,
「5角形の頂点を1つ飛ばしで辿って,2周して始めの頂点に戻る」
ということもできます)
このような星形を{5/2}と表記します.
(もし,1点の周りが2x360°という世界があれば,この星型は凸多角形になります)
星型8角形でも同様で,この図形は{8/3}です.
■さて,星型正多面体を見て下さい,正5角錐の頂点の周りに,星型正多角形{5/2}が,
5個集まっていることがわかるでしょう.
従って,この星型正多面体をシュレフリの記号で書くと{5/2,5}となります.
このダ・ビンチの星型は,「星型小12面体」とも呼ばれます.
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シュレーフリの記号で書くと{5/2,5}です.
(注)シュレフリの記号{p,q}というのは,正p角形の面が,頂点でq個集まっているような正多面体を表す記号でした.
この形は,東京都庭園美術館,朝香宮邸,姫宮の部屋の照明器具にも使われている美しい形です.芯になるのは正12面体で,その12個の正5角形の面の上に,それぞれ正5角錘を取り付けた形をしています.正5角錐の頂点は,それぞれ,芯となる正12面体の面に対応していますから,頂点を結んでできる図形(赤の多面体)は,正12面体に双対な正20面体です.
この星型多面体の面は,以下の左図の様な星型正多角形(五芒星)です.
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Fig. 星型5角形(五芒星)と星型8角形(ダ・ビンチの星型)
それぞれの図の赤い輪郭線(それぞれ正5角形と正8角形)は,
凸多角形(凹所のない多角形)で,赤い凸多角形内部に星型が作図されています.
■五芒星(図左)
星型正5角形の辺をA→C→E→B→D→Aと1周りたどると,
辺の向き(→)が2回転することがわかります.あるいは,
「5角形の頂点を1つ飛ばしで辿って,2周りすると始めの頂点に戻る」
ということもできます.
このような星形を{5/2}と表記します.
(もし,1点の周りが2x360°という世界があれば,この星型は凸多角形になります)
凸多角形では,1周すると辺の向きは360°回転し,正n角形では,頂点で360°/nずつ回ります.従って,正n角形の頂角(内角)は180°-360°/nです.五芒星の頂角は36°で,正n角形の頂角が36になるのはn=5/2ですから,五芒星を{5/2}と表記するのは妥当でしょう.
星型8角形でも同様で,この図形は{8/3}です.
■さて,星型正多面体に戻りましょう.正5角錐の頂点の周りに,星型正多角形{5/2}が,5個集まっていることがわかるでしょう(例えば,頂点Aの周りに右図のような五芒星の板を5枚集める).芯に正5角形の穴の開いた五芒星の板を,各頂点で5枚ずつ組み合わせると,この立体を作ることができます.
従って,この星型正多面体をシュレーフリの記号で書くと{5/2,5}となります.
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