2017年5月の記事一覧

周期と平面のデジタル化

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
数学月間SGK通信 [2017.05.02] No.165
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■モワレ縞
次の図をご覧ください.λ1の正方形目の格子と,λ2の正方形目の格子が,互いに平行のままで重なったときに生じるモアレ縞です,
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/61/18015761/img_0_m?1493248332

生じるモワレ縞の周期 Lは,1/L=1/λ2-1/λ1 の関係で決まります.
子供の頃,織物検査器というのを玩具にしていました.布地の上に硝子板を乗せると,モワレ縞がはっきり表れ面白い.
この原理で1インチの中に何本糸があるか,織物の出来が均一かなどが,調べられる訳で,
ものさしの様なガラス板の中に,既知の間隔の線がたくさん引かれていました.

■周期的な平面(平面のタイル張り)
周期的な平面は,1種類のタイルでタイル張りされています.つまり,デジタル化された平面と言えましょう.
どんな形のタイルが,平行移動のみで平面をすきまなく埋め尽くすことができるかといえば,
(1)平行4辺形,あるいは,(2)平行6辺形のタイルです.
(1)平行4辺形とは下図の(A)のような形です.
これらは,向かい合った平行な辺どうしは同じ長さ.向かい合った辺どうしを突き合わせて平面を敷き詰めることができます.
向かい合った辺に同じような変形を加えて図案のモチーフを作ります.エッシャーの作品の2羽の鳥はこのようにして作られました.
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/568616/27/17239427/img_4_m?1493646655

(2)平行6辺形は平行な辺どうしが同じ長さの図形で,下図の(B),(C)のような形です.
これらは,向かい合った平行な辺(同じ色に着色)どうしを突き合わせて,平面を敷き詰めることができます.
向かい合った辺に同じような変形を加え,図案のモチーフを作るとエッシャーの様な繰り返す絵が作れます.
私は, ハロウイン魔女を作って見ました.
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/568616/27/17239427/img_5_m?1493646655

(3)平行8辺形以上は平面を敷き詰められないのは何故でしょうか
平面は2次元のために独立な平行移動の方向は2つだけで,3つ目の方向は決まってしまいます.
可能な並進方向は全部で3つで,4つ目の方向は存在できません.
従って,敷き詰め可能なのは平行6辺形までということになります.
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/568616/27/17239427/img_6_m?1493646655

■お知らせ
●数学月間勉強会
「結晶空間群で,物理と数学を学ぼう」,
谷 克彦(日本数学協会幹事)
●数学月間の会,日本数学協会

日本数学協会は,7/22~8/22を数学月間と定めました.
数学と社会の架け橋=数学月間は今年で13回になります.
このたび,「数学月間勉強会」シリーズを始めます.
数学月間流勉強会の特徴は,テーマを,数学と社会(今回は,物理/芸術)の両面からとらえることです.
それは,完成した数学の学習ではなく,数学が生まれる現場に立ち会うようでもあります.
”通俗解説書は何冊読んでもピント来ない(私もそうです),一方,補題・定理の証明に終始する抽象数学は味気ない”
と思っている皆さん,とくに若い方々にお勧めします.初心から専門の方まで広くご参加を歓迎します。

●日時:6月28日,15:00~17:00
●場所:東京大学出版会,会議室
最寄り駅は,駒場東大前
●無料
●問い合せ・申し込み: sgktani@gmail.com
●第1回のテーマ:
「周期と空間のデジタル化」,繰り返し模様を鑑賞する     
第2回は,「結晶点群」と部分群を理解する
第3回は,並進群の結晶点群による拡大「結晶空間群」を作る
第4回は,因果律の対称性
の予定です.

0