2017年6月の記事一覧

ミラー指数

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数学月間SGK通信 [2017.06.13] No.171
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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政治が国民のやる気をそいでいる今日この頃ですが,皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか.
ここでは,周期的空間=結晶空間について語ることが多いのですが,
まだミラー指数についてお話したことがなかったようです.
結晶を扱う固体物理では,必ず最初に学ぶことなのに,説明はとばしておりました.
ミラー指数は結晶面の記述に必要です.その原理(なぜ逆数をとるかなど)の理解に,
混乱する学生が多い所でもあります.疑問が解ける説明になるよう留意しつつ,今日ここで取り上げます.

結晶の内部構造(原子配列)の対称性は,結晶の外形にも現れるものです.
皆さんも,規則正しい面で囲まれた結晶の外形を見たことがあるでしょう.
水晶,蛍石,ザクロ石,黄鉄鉱,様々な結晶の写真をご覧ください.
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/82/18085782/img_2_m?1497280452

まず,結晶に座標軸(X-軸,Y-軸,Z-軸)を決めるのですが,
これは結晶の対称性を考慮して合理的に決めます.一般に,座標系は斜交座標軸です.
先の例で具体的に言うと,
水晶では,X-軸,Y-軸の交差角は120°,Z-軸は,X-Y平面に垂直.
蛍石,ザクロ石,黄鉄鉱,などでは,直交座標系です.

結晶は周期的な空間=格子です.格子点を乗せている面が結晶面です.
(格子点は周期の表現であり,しいて言えば単位胞を点で代表していると考えてください.
ここに原子があるというわけではありません)
結晶構造中には,さまざまな結晶面が存在します.結晶の外形に現れる面も結晶面の1つであります.

ある結晶面が,X-軸,Y-軸,Z-軸を過る切片を,a/h, b/k, c/l とすると,
この結晶面の平面の方程式は,hx/a+ky/b+lz/c=1 です.ここで,
a,b,cは,X-軸,Y-軸,Z-軸の周期(座標軸に沿って単位胞をとりますから,単位胞のサイズとも言えます),
h,k,lは整数です.結晶面が格子点を乗せているからには,h,k,lが無理数ではいけません.
これは,結晶空間が単位胞を並べてできているデジタル空間であることからの帰結で,
結晶面の有理指数の法則(アウイ,1778)と言います.
さて,この場合の結晶面のミラー指数は,(h,k,l)となります.
ミラー指数は,イギリスの鉱物(結晶)学者ミラーが,1839年に考案したものです.
2次元で,ミラー指数の実例を掲載してpきます.
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/82/18085782/img_1_m?1497280452

ミラー指数(h,k)は,切片を(a/h,b/k)と書いた時のh,kであるから,
切片は(a/1,b/2) と思っても良いし,(2a,1b)=(a/(1/2),b/(1/1))として,
h:k=1/2:1/1=1:2を求めても良い..

x軸に平行な面の切片は,(∞a,b)=(a/(1/∞),b/(1/1))として,
h:k=0:1とする.

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