数学月間の会SGKのURLは,https://sgk2005.org/
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■正5角形の性質
正5角形の中に相似な2等辺3角形(頂角36°)が次々に組み込まれていく様子を見てください.
赤い2等辺3角形→緑の2等辺3角形→青い2等辺3角形
辺の比率は,いつもΦ:1です.Φは正5角形の対角線(星形の辺)で,1は正5角形の1辺です.
このとき成立する方程式,Φ2-Φー1=0を解いて(Φ>1をとる),Φ=(1+√5)/2=1.6180・・が得られます.Φは黄金比の値です.
■正5角形の実用作図法で以下のものがあります.
この作図はつぎの式が成り立ちます.AH=HB=1/2,MH=√3/2 であるので,
PH=(√3ー1)/2,従ってPB=(√[(√3-1)2+1])/2=(√[5-2√3])/2
AB/PB=2√(65-26√3)/13=1.6138・・・
この作図法は,イスラームのタイル作図で便利ですが,厳密な正5角形ではありません.
しかし,誤差は0.26%なので実用上問題ない恐るべき精度です.
■厳密な正5角形の作図
AB=1,AH=1/2,PH=1 ですので,AP=(√[1+22])/2=√5/2
従って,QP=(1+√5)/2=Φ
この作図で得られるのは厳密に正5角形であることが証明されました.
■折り紙で作る正5角形(1)の精度
この図は折り紙で正5角形を作る原理を示しました.y=3xの直線とx軸のなす角θを求めると
θ=arctan3=71.5651・・° となりますが,正5角形では72°になるべきです.
この誤差は.0.6%ですのでかなり良い精度と言えましょう.
他の角度は,72.1087(0.2%),
72.6524(0.9%)程度です.(カッコ内は誤差)
■折り紙で作る正5角形(2)の精度
折り紙の一太刀切で大変作り易い星型です.この原理は以下の図を見てください.
正5角形(星型)の一辺の中心角は360°/5=72°ですから,一太刀切りに対応する中心角は36°です.
以下の図を見ると,一太刀切りの中心角は,35.783°(36°からのハズレは-0.6%)to,36.870°(+2.4%)に収まっています.
対称性10mmのタイルを周期的に配置するならば,10mm(あるいは5m)の対称性が全域で残ることはあり得ません.これらの対称性はタイルの内部だけ(局所的)に作用できます.
周期的なイスラームのデザインでタイル(10mm)はどのように配置されているのでしょうか.
大変興味深いことです.このようなタイルはどのように配置されているでしょうか.
(1)まず,一つの例を示します.並進周期をあらわす単位胞は内角が54°と126°の平行4辺形です.正3角形格子(菱形)のようにも見えますが,そうではありませんので注意しましょう.
オレンジの6角形ベース型は正10角形の内部にある花弁の6角形ベース型とまったく同じ型です.
10回対称軸の作用はそれぞれの正10角形内部でのみ有効で,オレンジの6角形ベースには作用できません.従って,それぞれの正10角形はそれぞれの独立した宇宙であるという解釈ができます.
(2)もう一つの配置例を示しましょう.MirzaAkbar
この例では並進を表す単位胞は長方形です.
(3)このほかにも,正10角形タイルを周期的につなぐ美しい配置の実例を発見することができるでしょう.探してみましょう.