数学月間の会SGKのURLは,https://sgk2005.org/
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2018年もあと数日になりました.今年も,いろいろなことがありました.
おつき合いいただき有難うございました.
皆様にとって,2019年は良い年になりますように.
数学と社会の架け橋=数学月間の会からのお知らせです.この会を,
数学好きの同好会ではなく,分野横断的な市民活動にしたいと思っております.
社会でどのような数学が使われているのか?
上滑りでも言葉遊びでもなく,基礎を踏まえ本質をとらえた,見通しの良い説明で,そこにある数学に気づくことを目指します.
特定非営利活動法人「数学月間の会」が,来年早々スタートし,会員募集をする予定です.多くの皆様のご参加を呼びかけます.
■球に近い正20面体は,5つの正多面体(プラトン立体)のうちで,
最も対称性が高い(面の数が多い)もので,正3角形の面が20個でできています.
正多面体とは,正多角形(正p角形)の面でできていて,どの頂点の周りも同数の面(q個の面)が会している立体です.この立体を,シュレーフリの記号で{p,q}と記述します.
正多面体(プラトン立体)は,正4面体{3,3},正8面体{3,4},正6面体{4,3},正12面体{5,3},正12面体{3,5}の5つしかないことは証明できますから,
面数20より多い正多面体が存在するはずはありません.
しかし,例えばゴルフ球のディンプルはいくらでもたくさん作れるように思えなす.
正多面体の面を分割し続けると,いくらでも球に近い正多面体が作れるように思うかもしれません.しかし,そのようなことが可能なはずがありません.
ここで作るいくらでも球に近い多面体は,面が正多角形からわずかに歪むので,正多面体ではないのです.
正20面体の1つの正3角形の面を4つの三角形に細分化します.このとき,中心の三角形は正3角形ですが,その周りの3つの3角形は正3角形から歪むのを確認ください.
以下,細分化の操作を繰り返すたびに,面の数は4倍ずつ増加します.そして,細分化された面で正3角形のものは,初めの正20面体の面の中心にあるものだけです.
だから,正20面体を細分化して,球に近い多面体を作っても,その対称性は正20面体と同一(細分化しても対称性は上昇しません).素性は隠せないのです.細分化された多面体の面は正3角形ではないので,細分化でできる多面体は正多面体ではありません.
(この細分化で用いたjavaプログラムは郡山彬氏が作成しました)
私はいくつかのゴルフ球のディンプルを調べましたが,
正多面体{4,3}の細分化の系列と,{5,3}の系列のものがありました.
「美しい図形と奇妙な空間」
東京ジャーミイ(代々木上原,東京)にある装飾です.左写真は祭壇の横にあります.
イスラム特有の美しい複雑な図形です.右の写真はステンドグラスです.
これらの図形の美しさの原因の一つは,これらの図形が黄金比だらけだからでしょう.
もう一つの原因は,折りたたまれた空間のような不思議感じがあるからでしょう.
図の一番左は辺の長さが黄金比の2等辺三角形です.
つまり底辺を1とすると,等しい2辺は1.618...
真ん中の図は,正5角形の中にできる星形で,
星の頂角は黄金比の三角形にでてくる頂角36°と同じです.
一番右の図は,この星型とこの星型を180°回転したものを重ね合わせたものです.
東京ジャーミイの美しい図形は,星形を2つ重ね合わせたものになっているのに
お気づきでしょうか.
星形を2つ重ねた図形の対称性はどのように記述しましょうか.
まず,星形の対称性は.点群5mです(5は5回回転対称軸,mは鏡映面).
重ねた図形には,2回回転対称軸2があるので部分群として点群2を含みます.
結局,2つの点群の直積として2⊗5m=10mmの点群になります.
あるいは,星形5mを「法」にすると,10回回転操作(36°の回転)は
{1,10(mod5m)}のような,位数2の点群としても理解できます.
この考え方は,奇妙なもので,36°回転を2回続けると元の星形に重なるから
振り出しに戻ったと見なすわけで,我々の3次元ユークリッド空間では
360°回転しないと元に戻らないのですが,この奇妙な空間があるとすると
2x36°=72°回転すると元に戻ることになります.