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2017年4月の記事一覧

格子の干渉

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数学月間SGK通信 [2016.04.25] No.164
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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今日は,まず図をご覧ください.
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/79/18011279/img_0_m?1492957285

正方形の網目(格子点)の網(格子)を2枚重ねただけですが,
両方の網目が重なった位置の網目に新しい格子が見えて美しい.
もとの格子の2つの並進ベクトルをa,bとすると,もとの格子は,格子点 na+mb,(n,mは任意の整数)の集合です.
格子を2枚重ねて,新しい周期の2つの並進ベクトル x, yが生じているこの図の状態は,
x=2a+b,y=a+2b です.この基底の変換を行列で書き,行列式を求めると3ですので,
新しくできた格子はもとの格子と比べて面積で3倍粗くなっていることがわかります.
格子というのは,並進ベクトルの作る群=並進群の”図的表現”ですが,
2枚の格子の干渉で生じた新しい格子の周期は,
もとの格子の粗いサンプリングになっていることがわかりますね.
だから,新しい格子はもとの格子の部分群になります.

格子が重なって,拡大された(粗い)格子が見える現象は,干渉(ビート)と同じことです.
実際に,2つの原子網面が重なって,このようなビートが見えることは,
電子顕微鏡で格子像の観察をするときにもよく起こります.
結晶は周期的な構造をしているので,周期的な空間は「結晶空間」とも呼ばれます.
エッシャーの繰り返し模様や,壁紙模様などで,周期的空間の実例をたくさん目にしていると思います.
次回は,周期的空間について,並進群を利用してもう少し詳しく調べていくことにします.

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ステレオ投影図の利用

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数学月間SGK通信 [2017.04.18] No.163
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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先週は,ステレオ投影の原理を説明しました.
ステレオ投影は,角度を保存する(交差する線の角度を変えない)性質がありました.
この球表面から平面への投影法は,
地図を作るのにも利用されていますが,
結晶や多面体の対称性を記述するのに用いますので
先週の続きで応用例まで掲載しておきます.

■点群の表示に使われるステレオ投影図
・多面体を球の中心に置いて,球の中心から多面体の各面に下した垂線が,
球表面を過る点が,多面体の面の球表面への投影点とします.
・球表面の投影点(南半球)を,球の北極と結び,南極での接平面上に投影します.
こうして,多面体の面のステレオ投影像が作れます.
イメージ 1
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/09/18002609/img_0_m?1492443598

このステレオ投影の例で用いた多面体の見取り図を示します,
この多面体は立方体で,稜のに沿って2種類の面があるものです.
この多面体の対称要素の配置も見取り図に記入しました.
イメージ 3
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/585160/76/17100276/img_4_m?1491828971

作成した対称要素のステレオ投影図は以下のものです.
イメージ 2
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/09/18002609/img_1_m?1492443598

この多面体には,各面に垂直にさまざまな回転対称軸があります.
ステレオ投影により,これらの点群の対称要素の配置図を,平面の円内に得ることができます.
各面の対称軸の位置(■,▲など),および,鏡映面(赤い円弧),対称心などが

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ステレオ投影

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数学月間SGK通信 [2017.04.11] No.162
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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桜が満開で,良い季節になりましたが,大変なことばかりがどんどん起きて,平気で過ぎ去っていきます.
今村復興大臣などあきれたもの.そんな大臣がぞろぞろ居ります.防衛大臣も,法務大臣も.
第一,首相自体が問題だらけで,展望のない状態だ.それなのに,NHKの世論調査(4/7~9に実施)によると,
内閣支持53%,不支持27%という.相変わらず信じられない数字だ.
今回の調査から,現状にあわせて固定電話だけでなく携帯も含めて,RDDを行ったそうで,
(私事ながら,固定電話を3月末で廃止しました)
2,219人に調査し,1,233人から回答を得た(回答率55.6%)という.
内閣支持の理由の選択肢が,相も変わらず,「ほかの内閣よりよさそう」,「実行力がある」,...云々.
これらは,死因は「心不全」というのと同じで,理由になっていない.
結局,調査項目間の因果関係を無視した矛盾した結論言いぱなしの調査になる.
答えようのない選択肢を並べられても回答に窮する.回答率が55.6%ということがそれを物語っているのではないか.
限定条件をつけなければ答えられないところだが,単純に反応した回答だけがサンプルに拾い上げられる.
これでは偏ったサンプルが集まっていると思える.
理由を明確にするには,具体的な施策・事実を列挙しておいて,その賛否を問うべきだと思う.
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■ステレオ投影
球面を平面に写像する方法の一つが,ステレオ投影です.球表面を平面に写像したとき,
面積,角度の両方を保存することは不可能です.ステレオ投影は,角度を保存するので,
”等角写像”です.ただし,投影円の中心付近の面積に比べて中心から離れた周囲では面積が小さくなります.
このような地図を,きっと見たことがあるでしょう.地図の他に,
多面体の面や,多面体の対称要素の配置の記述などに,ステレオ投影は欠くことができません.
さらに,双曲幾何のポアンカレの円盤モデルの理解のために,ステレオ投影は必要です.
今回は,ステレオ投影の作り方だけ,簡単に説明します.

https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/585160/76/17100276/img_6_m?1491828971

球の北極Nに視点をおき,球面上の点を南極Sでの接平面上に投影します.例えば,P→P'
赤道(青の大円)の投影像は基円.南半球の球面上の点は基円の内部に,
北半球の球面上の点は基円の外側に投影されます.

(注)投影面を赤道を含む面として,北半球の球面上の点は南極と結び,
南半球の球面上の点は北極と結び投影する流儀もあります.

■写像の性質
この写像は等角写像なので,円は円に写像されます.
(球面)⇔(平面)
 大円 ⇔ 基円上の直径両端を通る円弧
 小円 ⇔ 小円
等角写像なので角度は保存され,例えば,赤道に直交する小円(南半球球面上の部分,赤点線)は,
基円に直交する円(赤の円弧)に写像されます.

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美術・図工 反転の利用ーパップスの定理★★

■反転の利用

反転の性質を使うと,パップスの定理の様な難しいものを簡単に証明できます.

このような図形はアルベロス
(靴屋のナイフ)といいます.
この中に面白い幾何学があります.

 

 

 

 

円弧αと円弧βに挟まれたア
ルベロスの領域に,互いに接す
るように円のチェーンω0, ω1,
ω2, … があるとき, 円ωnの
中心と直径ABとの距離は円ωn
の直径のn倍である.
(パップスの定理)

 

 

 

 

 

[以下の証明ができます]
円ω2の中心は,線分ABから円ω2の直径の2倍だけ離れていること.
① 点Aから円ω2へ接線を引く.両接点を通りAを中心とする円γは,円ω2
と直交します.(なぜなら,円の接線は接点での半径と直交するから)
② γを反転円にして,色々なものを反転してみましょう.
円ω2 は自分自身に.円α,β は,それぞれ 直線α’,β’に,
円ω1,ω0 は,それぞれ円ω1’,ω0’に,なります.
③ 円ω2,ω1’, ω0’の直径はすべて同じだから,パップスの定理が証明
された. (なぜなら,平行な直線α‘とβ’に挟まれているから)

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美術・図工 円による反転の性質★★

■円による反転鏡映の性質
①反転円の円周上の点は,反転しても元の点と同じ位置.
②反転では,円は円に変換される(直線も半径∞の円の仲間)
下図に反転円(赤い円)による,反転鏡映の例を示します.
●図1・反転円Oと交差する円Cは,交差の2点を共有する円cに変換される.
●図2・反転円Oと直交する円Cは,自分の上に変換される.
円周に直交するような反転円で分断された円の2つの部分は,反転円によるそれ
ぞれの鏡像になる.
●図3・反転円Oの中心を通る円Aは,直線aに変換される.
特に,円Bが反転円Oと交差する場合は,交差する2点をよぎる直線bに変換される.
③反転円が直線なら,普通の鏡映像になります.
直線鏡の組み合わせで作られる映像は,良く知られた万華鏡です.
反転円を用いたアポロニウスの窓も拡張された万華鏡の映像と言えるでしょう.

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イスラムの皿★

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数学月間SGK通信 [2017.04.03] No.161
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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東京ジャーミイの玄関ホールの陳列棚に飾ってある美しい皿です.直径30cm程度です.
https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/585013/91/17866691/img_0_m?1491141557

中心の花の周りに小さい花が6個配置され,中心に6回回転対称があります.
中心(花弁12枚)の大きな花の内部は12回対称[中心にある6回対称の絵は無視します]ですが,全域的には6回対称,周囲の6個の小さな花(花弁9枚)の内部は9回対称[中心にある5回対称の絵は無視します]ですが,全域的には3回対称です.
6回対称軸と6回対称軸の間,3回対称軸と3回対称軸の間には2回対称軸が生じます.
その他,図に実線で描いたように鏡映面があります.

https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/585013/91/17866691/img_2_m?1491141557


右側の図で水色に塗った部分が単位胞です.
この繰り返し模様は平面群P6mmの対称性で,この皿はこの繰り返し模様から,オレンジ色の円の内部だけを切り取ったものと解釈できます.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■それぞれの花の内部の局所的な対称性に言及しましょう.
中心の花の内部は,12回対称(その部分群としての6回対称は全域で通用),
周りの6個の花の内部は,それぞれ9回対称(その部分群としての3回対称は全域で通用)です.
繰り返し模様全域を支配する対称性で,12回対称や9回対称はあり得ませんので,
このような高い対称性が通用するのはそれぞれの花の内部だけですので,
あたかも,高次元宇宙からいろいろな宇宙の断面が2次元の皿の表面に投影されているようで,
不思議な魅力を感じます.

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