数学月間の会SGKのURLは,https://sgk2005.org/
数学月間の会SGKのURLは,https://sgk2005.org/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
数学月間SGK通信 [2015.08.25] No.078
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■8月22日にとっとりサイエンスワールドim鳥取が開催されました.今年で9年目です.
市民の参加者は700人ほどで,万華鏡のワークショップ参加者は110人弱,
先生方および高校生2名のボランテアを得て無事実施できました.
全体で高校生ボランティア50名,特に今回は中学生のボランティア10名が加わりました.
写真などは
http://blogs.yahoo.co.jp/tanidr/16933900.html をご覧ください.
このブログには,鳥取城址,久松山,仁風閣 の記事も掲載しました.
鳥取市歴史博物館,やまびこ館で,70年目の夏「昭和の戦争と鳥取」特別展がありました.
このテーマに関しての私の印象は,以下のブログにあります.どうぞお読みください.
http://blogs.yahoo.co.jp/tanidr/16935089.html
■さて,サイエンスワールドのワークショップの一つに
立体模型,小梁修(OSA工房)があります.
その中の問題の一つ「黄金三角形」の紹介をします.
正五角形の中を図のように分割して作った3種類の三角形
(これらはどれも2等辺三角形ですが何故でしょう)
の面積に関して,以下の関係があります.
(水色の三角形)+(黄緑の三角形)=(オレンジの三角形)
これを証明してください.図は以下にあります.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/82/16936782/img_0_m?1440421136
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
数学月間SGK通信 [2015.08.18] No.077
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
皆様,厳しい暑さの日が続きました.お元気でしょうか.私も関東で連日39℃を更新している日に
関東で一番熱い地域に黒服を着て行っていました.暑い暑い.
■地球温暖化のウソ
伊藤公紀(横国大教授)のIWJインタビューが以下のサイトにあります.
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/256431
詳しくは,同氏らの「地球温暖化論のウソとワナ」KKベストセラーズ(2008)などをお読み下さい.
複雑系である気候決定の仕組みには,多くの要因が関与しており,現状の気候モデルではまだ説明できていない.
これらの要因には,人為的なものと自然的なものがあるが,人為的なもののうち温室効果ガスのCO2の増加
によるものだけが強調されている.
現実に起こっている現象は,グローバルな(地球全体としての)温暖化ではなく,
温暖化の地域と寒冷化の地域の両方が生じており,温室効果ガスCO2の増加で説明できるような単調なものではない.
種々の自然的な要因が気候の大勢を決めていることが近年の研究により明らかになってきた.
それは太陽風が影響を与えている北極海水温の振動や,海洋での熱移動などである.
海洋のコンベアベルトモデルも単純なものではなく,海洋での垂直熱移動は大きな関与をしているし,
大気の大循環のゆらぎもある.これらの影響が大きいことがわかってきたのだが,
現実を説明できるシミュレーションのできるモデリングにはほど遠いこともあり,
IPCCの報告書は,いまだに温室効果一辺倒に偏向したものになっている.
地球は閉じた系ではなく,エネルギーの出入りがある開放系なので,理論的に取り扱うのはとても難しい.
その上,都市化や大規模工事や砂漠化により気候が変わるのを実感し,
温室効果も現象としては真実(温室効果ガスはCO2だけではないH2Oもあるが)なので,
CO2排出削減ですべて解決するがごとく説得され,政策やビジネスに利用されている.
もちろん人為的な要因排除は我々の責任ですべきではある.
しかし,この問題は人間には手の下せない自然的な要因が大勢を決めているので,
CO2排出量削減をしても解決はしない.地球温暖化を原発推進の免罪符にするのは誤りである.
原発はCO2を出さないので温室効果を低減できるという論理は,
原発で生じる熱の大半が冷却水を介して海水に捨てられ海水を直接熱汚染していることを見れば
破綻していることがわかる.
■参考ー温室効果について
私は地学を教えていた(37年前のこと)ことがあるのだが,その頃は,温室効果と石炭消費量と温暖化の話をしていた.
地球の兄弟星の金星(400℃を越える)は,限度を超えたCO2の増加と気温上昇の正のフィードバックが暴走した結果
H2Oがなくなり,現在の金星大気の98%はCO2である.H2Oがなくなる前の金星の原始大気のCO2は多くて一割と推定されている.
現在の地球の大気のCO2濃度はずっと小さいが,ハワイのマウナロア山腹で,継続観測のデータがあり,
320ppm(1960年)から370ppm(2000年)と増加しているのは事実だ.
しかし,CO2増加による気温の上昇は,せいぜい2℃程度と計算される.
地球外から到来する可視光が地表を温め,地表が宇宙に放射される赤外線を温室効果ガスが吸収するので
地球が保温される.仕組みがシンプルで見積もり易いのだが,これだけで現実を説明しようとするのは無理がある.
■地球温暖化のデータ解析は信頼できるか?
・採用したデータ自体の信頼性
経年のデータの測定条件が一定でない.恣意的なデータ採用が行なわれた.
・統計学の正しい運用
主成分分析に誤りがあったらしい.
・シミュレーションの信頼度
シミュレーションはパラメータが3つもあれば,どのような結果にも合わせられるので,
モデリングの理論的根拠が大切である.
・相関関係よりの因果関係を問う
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
数学月間SGK通信 [2015.08.11] No.076
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
とっとりサイエンスワールド2015が始まりました.
鳥取県と鳥取県数学教育会が主催です.8月2日が米子,コンベンションセンター,
8月9日が倉吉,未来中心,8月22日が鳥取,とりぎん文化会館で実施の予定です.
とっとりサイエンスワールドの開催時間は,各会場とも10:00~16:00です.
小さい子から大人まで,新しい人から顔なじみまで多くの市民の方々に定着した
楽しいイベントになっています.とっとりサイエンスワールドは今年で9年目です.
お近くの方,今年もお寄りください.
今年の万華鏡は次の3つを用意しています.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/29/16895829/img_0_m?1439204340
■米子
8月2日の米子,コンベンションセンターでは,全体で815人の入場者で盛況でした.
スタッフは,小・中・高の先生方および高校生ボランティアです.
万華鏡は,24人のクラスを5回実施し120人が自分の万華鏡を作りました.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/29/16895829/img_1_m?1439204340
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/29/16895829/img_2_m?1439204340
■倉吉
8月9日のとっとりサイエンスワールドin倉吉は未来中心で実施され,
小,中,高の先生方90人+高校生ボランティア40人のスタッフが働き,1024人の市民参加者がありました.
万華鏡のワークショップは110人分用意し,先生や高校生ボランティアの助けを得て
平均22人のクラスを5回順調にこなせました.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/11/16907511/img_0_m?1439205601
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/11/16907511/img_1_m?1439205601
■鳥取
次の開催地は,8月22日,鳥取のとりぎん文化会館です.
こちらでは,万華鏡は160人分用意する予定です.
--------
万華鏡は合わせ鏡の仕組みから話を始めます.
平行な合わせ鏡により1つの物体が一直線上に無限に並んで見えます.
終わりというものがない.最後の映像があったとしてもこれが鏡に映れば
その先の映像が生まれてしまうからです.
次に,2枚の合わせ鏡が平行でなく角度θで傾いている場合を考えましょう.
生じる映像は一直線上でなく円周上に並びます.
そして,円周の向こう側ではきちんと重なって欲しい.
この条件から,360/θ=偶数で割り切れる という万華鏡の条件が生まれます.
今年の万華鏡は,鏡の交差角が作る3角形の1つの角度に 260/θ=偶数 という条件が
わざと成り立たなくしたものです.
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
数学月間SGK通信 [2015.08.04] No.075
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今回は,数学らしくないと思うかもしれません.立体異性体の話です.
これは,右手と左手のように互いに鏡像となる分子の立体構造が関係しています.
この記事は,日刊ベリタに掲載(7/30)したものです.
暑さ厳しい夏です.健康に悪い油やマーガリンの取り過ぎに注意しましょう.
米食品医薬品局(FDA)は16日,食用油などに含まれ,肥満や心臓病との関連が指摘される
トランス脂肪酸を,2018年6月までに食品添加物から全廃すると発表しました.
日本でもトランス脂肪酸の低減をうたっている企業が出始めました.
トランス脂肪酸は,マーガリンやクッキーを焼くのに使うショートニングオイルなどに
含まれているそうです.トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増やすと言われています.
また,アトピーなどにも悪影響がありそうです.
脂肪酸のシス型とトランス型の分子構造について簡単にまとめておきます.
以下のサイトが参考になります:
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_wakaru/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8
脂肪酸は,炭素原子が鎖状に並び,最後の炭素に=OとーOHが付いた分子です.
つまり, CーCーCー・・・・ーCOOH =は二重結合,-は一重結合
Hを省略せずに詳細に書くと
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/08/16882908/img_0_m?1438241054
この例は,背骨となっている炭素原子の鎖は,すべて一重結合でできているので,
すべての結合手がふさがっており飽和脂肪酸と呼ばれます.
不飽和脂肪酸と言うのは,炭素原子の鎖の何ヶ所かに二重結合のあるものです.
二重結合でつながれた両側の炭素は回転できませんから(裏返しにできない)
シス型(左図)とトランス型(右図)の構造の区別ができます.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/08/16882908/img_1_m?1438241054
天然にある不飽和脂肪酸は,ほとんどシス型です(わずかな例外はあります).
不飽和脂肪酸は酸化などで劣化しやすいし,大豆等の植物油の不飽和脂肪酸は常温で液体なので,
固体状にするため水素Hを付加してを飽和脂肪酸に変えることが工場で行われます.
このときトランス型の不飽和脂肪酸も生じ混ざるそうです.
(注)よく知られた不飽和脂肪酸の例
炭素の数18個で二重結合1個はオレイン酸,二重結合2個はリノール酸,
炭素の数22個で二重結合6個はドコサヘキサエン酸(DHA).
■なぜシス型脂肪酸は安全な栄養で,トランス型脂肪酸は害があるのか
シス型,トランス型のような立体構造に差異があるものを“立体異性体”といいます.
炭素原子からは4本の結合手(二重結合ならそのうちの2つを使う)が出ていて,
それぞれの手に結合する原子が入れ替わると立体的に異なる構造になります.
右手と左手のように互いに鏡像である異性体も,この立体異性体の仲間です.例えば,
味の素はグルタミン酸ですが,立体異性体の右型と左型があり,
左型には旨みがあるが右型にはありません.これはおそらく,
人間のアミノ酸が左型であることに関係ありそうです.
不飽和脂肪酸の場合も,天然にあるものがほとんどシス型であることが
シス型が相性の良い理由と思われます.
サリドマイドでは,立体異性体の一方が副作用のない薬であるのに,他方には催奇性があった.
まるでジギルとハイドだが,このような大きな性質の違いがある理由はわからない.