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2020年11月の記事一覧

一つ火

 
■時宗総本山,遊行寺の御滅灯(おめっとう),一ッ火(ひとつび)は,11月27日の夕刻から行われます.

遊行寺のウエブサイトによると:-----
「一ッ火」は遊行寺年中行事の中で最も荘厳な法要です。順に灯火が消えていき、やがて完全な暗闇に包まれた本堂に幽音の念仏が響きます。そして暗黒の世界にただ一つ灯される新たな灯明が、光り輝く念仏の世界を本堂内に映しだします。
この法要には、「一年間の悪業を懺悔し、来年の善行を志す」という意味合いもあります。
なお、本年、主役である「報土役ほうどやく」は、藤澤清孝ふじさわせいこう(鎌倉市材木座來迎寺住職かまくらしざいもくざらいこうじじゅうしょく).「後灯役」は、望月輝山もちづききざん(総本山内近司そうほんざんないごんす)が務めます。
本年度は、新型コロナウイルス感染症対策のため、参拝人数を制限させていただきます。-----

 

本堂内の火が次々に消され、最後にこの大光灯を報土役が消し、後灯を後灯役が消します。この漆黒の闇のなかで十八念仏が始まり、報土役・後灯役は、火打ち石で火を起こします。一度目は空中で火花を散らす「見せ火」で、二度目で「火口箱」に火花を打ち込みます。打ち込まれた火は、闇からしだいに灯明へと移され、再び弥陀と釈迦の光明に照らされた世界が戻ってくることを表現します。-----

時宗のこの伝統行事は,京都,東山の西連寺でも行われていることをウエブで見ました.


現在、外灯も整備され夜遅くまで街の灯りも消えることもなく、「暗闇」の怖さや心細さというものを経験することも少ない。漆黒の闇につつまれた堂内で、徐々に明るくなっていく様を目の当たりして光の有り難さを経験することでしょう。

■2016年11月27日は,夕方からの雨でどんどん寒くなりました.私は,母の一周忌の折に,ご住職からお聞きしたばかりの「一ッ火」に参加してみようと思い,藤沢,遊行寺に出かけました.遊行寺は,落語(鈴振り)でも,箱根駅伝の中継でも,有名で知っていましたが,私が遊行寺に行ったのはこのときが初めてです.「一ッ火」は,5時に始まり9時近くまで行われました.外の雨は氷雨のようになり寒い夜でした.
「一つ火」の最後に,大僧正直々に全員(何百人でしょうか,例年より少ないそうです)が,お札をいただきました.その行列の長いこと.大僧正は97才.すごい大声でのお話,さすがです.(この方が,当時,運転免許返上で話題になった方ですね).
「一っ火」というのは,本堂のロウソク(それぞれ或るものを象徴して配置され,20~30本位ある)の火を,複雑な手順(方法や役回りがいろいろ)に法り次々に消して行き真っ暗に...,そして静寂.十八念仏が始まり,火口箱に火花を打ち込み,灯明に移されます.再び弥陀と釈迦の光明に照らされた世界が戻ってきます.念仏は美しい合唱の音楽になって響ます.

■大きな百目蠟燭*)の炎は長く伸びて明るい.じっと見ていると,炎はピタッと動かない.それが突然瞬き始める.また,ピタッとまる.これが周期的に繰り返されます.この自励振動の機構**)に感嘆して見入ってしまいました.実に面白い.まるで活きているように間欠動作をします.
面白い現象です.ロウソクの炎の瞬きと,静止が何故繰り返されるのだろうか?どちらの状態も安定でないわけで,この移り変わりが起こる理由を考え込んでしまったのです.


注*)大きな和蠟燭です.100匁目あるかどうか知りません.明るく点燈し,嫌な臭いもしません.和ろうそくはハゼの実などから作るようです.ハゼの実や和ろうそくのことなどをどなたかお書きください.
 むかしの むかしの かざみの とりの
 ぼやけた とさかに はぜのは ひとつ
 はぜのは あかくて いりひいろ
 ちいさい あき ちいさい あき
 ちいさい あき みつけた



注**) 類似な現象として;
・近づけた2本のロウソクの瞬きの周期が揃う(協同する)という現象があります.以下に,協同現象のyoutube実験動画を引用します.
・蛍の明滅がそろってくる協同現象も知られています.
・私が昔係わったことのあるプラズマディスプレイ装置では,放電スポットが周期的に明滅する自励振動の現象がありました.

 

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