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結晶で見られる多面体(その2)

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数学月間SGK通信 [2014.10.21] No.034
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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◆黄鉄鉱の結晶粒の外形には,多面体がいろいろ現れることを,
028号で述べました.整理すると下図のようです.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/55/16194255/img_0?1413100917

さて,この図の中に正12面体や正20面体の外形が見られるようですが,
結晶(周期的な内部構造をもつ)では,5回対称軸は存在できず,
5回対称のある正12面体や正20面体は外形にも生じないはずです.
詳しく調べてみると,黄鉄鉱の正12面体のような5角12面体は,
(2,1,0)面で囲まれているようです.→◆ミラー指数
両者の多面体で二面角の比較をしてみましょう:
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黄鉄鉱    126.89° (2回軸を挟む二面角)
正12面体  116.57°
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黄鉄鉱の外形(5角12面体)は正12面体ではありません.

◆ミラー指数
ミラー指数とは面の傾きの表示です.
下図のブロックのサイズは,x,y,z各1単位
(x,y,zの各単位は等しくなくても良く,斜交軸でもかまいません)
例えば,(2,1,0)面の,x軸,y軸,z軸との切片は,1/2,1,∞です.
切片の逆数の比をとると,ミラー指数 2,1,0 が得られます.

結晶は単位ブロックが積み重さなった周期的な世界です.
周期的な世界(格子点が並んだデジタル世界)の格子点を載せた
面の傾きは有理数ですから,すべての結晶面のミラー指数は整数となります.
http://sgk2005.sakura.ne.jp/htdocs/?action=common_download_main&upload_id=88

周期的な世界に5回対称軸は存在できませんので
結晶(周期的な内部構造を持つ)は,正20面体の外形になることはできません.
(注)“準結晶”には5回対称がありますが,周期的な世界ではありません.
◆黄鉄鉱の6面体,5角12面体と準結晶(正12面体)
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/55/16194255/img_1?1413100917
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/55/16194255/img_2?1413100917
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/55/16194255/img_3?1413100917

◆柘榴石garnetも立方晶系の結晶構造ですので
外形もさいころのような対称性を示します.
菱形12面体~24面体(これらは正多面体や半正多面体ではありません)
の晶系の変化があります.
http://www.museum.tokushima-ec.ed.jp/bb/chigaku/minerals/img/2-32.jpg

写真はwebで拾った岩手県和賀仙人鉱山産の柘榴石結晶です
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/36/16196636/img_0?1413101685