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数学が自然を記述する

物理の発展に先立ち,それが必要とする道具としての数学が,先回りして常に用意されていたという歴史観があります.
そのように言いたくなる事例は確かにたくさんあります.X線結晶学に先立ちすべての空間群が求められていたこともその例です.このような廻りあわせはドラマチックで面白いのですが,数学がすべてに先だってあるはずだと信じるのは妄想です.
ニュートンの微積分のように,現場が新しい数学の源泉であったことは多く,このような開拓場面に立ち会ったのは,
数学者ではなかった(物理学者,化学者,工学者,...様々,そして,新数学分野を開拓した後,彼らは数学者と呼ばれている).つまり,新しい数学の源泉の多くは,自然の現象の中にありました.

(注)ニュートンは,自分の研究に必要な道具としての数学(微積分)も開発しました
(ニュートンは謙虚にも自分は巨人の肩に乗っただけだといいました).
(注)ニュートンは,惑星の動きを理解するために新しい数学(微積分)を発明しなければなりませんでした.
このような19世紀は科学の発展局面で興味深い時期です.その後,偏微分方程式の理論が生まれ,
波の伝播,熱伝達を説明する最初の場の理論が構築されました.フーリエ,ラプラスのような数学者は、
この物理学を理解するために新しい数学を発明しました.
弦理論の現在は,このような興奮する局面にある.

自然(宇宙や現象)を数学は記述することができます.あたかも数学があって自然がそれに従って作られた
という反語的表現も実は同語反復です.数学が先にあってその通りに宇宙ができているわけではありませんが,
森羅万象の自然の中に数学も含まれるので,自然を記述する数学は存在するはずです.
人間も生命も自然の中に存在しますからやはり数学で記述されるはずです.
もし人間が宇宙に居なくてもそのような数学は存在すると私は思います.
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2004年5月のノーベル物理学賞を受賞したDavidGrossがモスクワを訪れ、弦理論と理論物理学の今後について講演し,
その時のインタビュー対談は,数学と物理学の協働テーマは啓蒙的で興味あるものです.

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20世紀の終わりに,新しいタイプの非常に緊密な協力(物理学者と数学者の間)が登場しました.
弦理論と場の量子論では,物理と数学が非常に密接に関連しています.

弦理論が非常にロシア的という理由は,物理学と一体となったロシアの数学者の伝統(オイラーに代表される)があるからです.
ゲルファンド,アーノルド,..など.

ハイゼンベルグが量子力学(行列力学とも呼ばれる)を発見したとき,彼は数学としての行列を知りませんでしたが,
今日では行列は大学の教養課程で教えられています.
弦理論の数学ツール経路積分も,時がたてば普及するでしょう.

1930年代に書かれた量子力学に関する最初の教科書を見ると,とてもひどいものです.教科書は時間とともに良くなります.
他の分野でもまったく同じことが起こっています.力学や電磁気学に関する最初の記事と教科書は非常に複雑でした.
アインシュタインが電磁気学を研究したとき,彼は苦労しました.今や学校で電磁気学を普通に習います.

私たちが自然や数学を発明していると言うのは間違っています.逆に,私たちは自然によって発明されました.
数学は,自然を理解し,その中で最適な生存を実現するためのツールとして,私たちが創造した言語から成長してきました.
だから数学は本質的に自然の一部であり,数学が自然を記述するのが得意です.

いつの日か,銀河の反対側にある別の文明とのつながりを確立するとしましょう.世界は1つしかないので,
宇宙人は私たちとほぼ同じ物理学を持つことに誰もが同意します.彼らは我々と同じ数学を持っているでしょうか?
一部の数学者はノーと言うでしょう.彼らは我々と全く異なる数学を発明する可能性はあります.
でもやはり,彼らの数学は私たちの数学と非常に似ていると思います.

■現代のコンピューターの数値計算能力は驚くべきもので,それらは理論物理学者の働く方法に強い影響を与えました.
多くの人はもはや微分方程式を解こうとはせず,単に数値的にシミュレートします.
例えば,スティーブン・ウルフラムはすべてを計算し尽くそうとします.

実際20〜30年前のデバイスの機能と比べると,今できることは驚くべきことのようですが,
コンピュータはまだそれほど賢くはありません.計算手法は幼児期に開発されたままです.
私たちが計算アルゴリズムについて話すときに使用または考えるすべてのコンピューターは古典的です.
量子コンピューターとコンピューティングのための量子力学システムを使用するプログラムを実装すれば,
従来のコンピューターよりも指数関数的に優れたパワーを得ることができることがすでに証明されています.

量子力学もパラドックスを背景に発生しました.一方では古典物理学であり,他方ではボーアの原子モデルであり,
このパラドックスは量子力学によって解決することができました.

弦理論の最も注目に値するアプリケーションの1つは宇宙論です.弦理論家は宇宙論者や天体物理学者と多くのことを話します.
宇宙論者たちは現在、ビッグバンとビッグバン自体の後の宇宙の発達の初期段階を理解しようとしています.
この分野では,私たちの関心のある領域が重なっています.
弦理論の他のアプリケーションもあります.特に,私たちが新しい数学を発見しているという事実.
この理論は科学の発展に不可欠なステップであり,量子力学と同じように多くの用途があります.
参考書:
リサ・ランドール,「ワープする宇宙―宇宙の隠された次元の謎を解き明かす」
バートン・ツバイバッハ,「弦理論の学生のための良い教科書」