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美術・図工 非ユークリッド幾何学(その1)

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数学月間SGK通信 [2014.05.27] No.009
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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◆双曲幾何のポアンカレ・モデルの世界
円盤の中に宇宙があります.
円盤のフチに近づくほど自分もどんどん小さくなるので,
歩いても歩いてもフチまで行けません.Fig.1をご覧ください.
円盤の中に描かれた円弧はすべて,フチと直交しています.
この円盤の世界では,これらは皆,直線なのです.

◆反転円による鏡像
円盤のフチと直交するこれらの円の一つ,例えば,
赤い円弧で分けられた円盤の世界は,左が大きく右が小さい
ように我々には見えます.しかし,円盤の世界(双曲幾何の世界)
に住むとどちらも同じ広さで無限に広い.
なぜかというと,赤い円で分けられた円盤内の世界は,
赤い円を反転円にすると,互いに鏡像になるからです.
(注)円による反転とは-------ーーー
反転円の半径をrとるると,互いに反転鏡像となるA,B2点の
反転円の中心からの距離をa,bとすると,a・b=r2 です.
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我々のユークリッド空間では,鏡像というと直線鏡によるものですが,
円盤内の双曲幾何の世界では,フチと直交する円弧(この世界では直線)
による反転で鏡像が作られます.

Fig.1は円版の世界をフチに直交する円弧(この世界の直線)で
分割した例です.鏡映が起こるたびに色が変化するように,
市松模様に塗り分けてみました.
こような分割の表記にはシュレーフリの記号が使われます.
Fig.1は[4,6]と表記しますが,これは,どの頂点も同じ状態で,
正4角形が6つ頂点に集まっているという意味です.
我々にはゆがんで見えるかもしれませんが,
円盤内の世界ではこれらは皆同じ正方形なのです.
Fig.1→https://scontent-a-sjc.xx.fbcdn.net/hphotos-frc3/t1.0-9/s640x640/1507832_578610068893584_59018908_n.jpg