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転換点とは

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数学月間SGK通信 [2018.04.17] No.215
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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内閣支持率が30%を切るところです.30%を切ると一気に崩壊に向かったり,
サンゴ礁の環境保全臨界量(自己組織化臨界)があったり,このような現象は良く知られています.
俗にいう,「泥船から逃げる」と「勝ち馬に乗る」のせめぎ合いのバランスです.
このような二者択一の転換点(tipping point)の数学モデルが,米国数学祭り
(4月19日のオンラインQ&Aで)取り上げられるようです.
文化や環境などのシステムの定常状態が急激に変わる点が転換点です.
復元しようとする力と変えようとする力のバランスで方向が決まります.
米国の国民行事,数学祭のニュース(2018年4月)の情報です.
ワシントンDCで,2019年開催されるNational Math Festivalまであと1年!
4月19日(木)午後2-3時(東部時間)に,以下のオンラインQ&Aがあります.
「何でも聞いてください:Tipping Point 転換点と惑星地球」,
Dr. Mary Lou Zeeman (Bowdoin College)
https://www.facebook.com/nationalmathfestival/

さて,4月は新年度でいろいろ行事があります.皆様の方でニュースがありましたらご連絡ください.
今年の数学月間懇話会(第14回)は,8月22日の開催で企画しています.以下は数学と離れ私の近況です.

◆4月14日は,合同大施餓鬼会に参加しました.法話は古河の一向寺の峯崎住職がされました.人生の意味についてです.
「人の存在は他者から与えられる」当たり前の事が当たり前でなくなるのを自明性の崩壊という.
今まで何とも思わなかったことが,幸せだったなと気づくのは,自明性の崩壊によりその存在に気づいたからだ.
ミラーニューロンとよばれる脳神経細胞は,他者の行動を見たり,声を聞いたりしたことを,
自分自身がまるで同じ体験をしているように感じるという.
「他者との関わりがあって自分が存在する」のです.仏となった死者からの視線については,
次回お話されるそうです.

◆4月16日は,市村清新技術財団の50周年記念式典がありました.
たくさんの懐かしいOBの方にお会いできました.今年の産業賞7件,学術賞7件の表彰がありました.
どれも興味深い技術成果ですが,例えば,学術賞の功績賞で,全身透明化による全細胞解析の実現,
上田泰己(東大)には,ギョッとしてしまいました.透明人間ならぬマウス一匹を透明化です.
死んでいるマウス(もちろん生きてはいません)を漬けておいて透明にする処理液の技術です.
この目的が部外者には始めは良くわからなかったのですが,透明化すると,
細胞1つ1つの積み重ねが解析でき,がんが細胞をどのように伝わるかなど病理現象の研究に役立つそうです.
観察は蛍光顕微鏡によるようで,横からシート状の励起光を照射し,
照射された断面からの蛍光を顕微鏡で観測します.断層の3D画像も容易です.
サンプルが透明でなければシート状の励起光照射ができませんからね.
私はこの観察の道具に用いたシート顕微鏡の方に興味があります.
昔,走査型軟X線分光顕微鏡STXMで,化学状態のマッピングをした(3D像も得た)ことを思い出しました.
ちょっと似ている所があります.