結晶空間群で数学と物理を学ぼう(全4回) 谷 克彦

第2回:結晶点群

■第2回:結晶点群(2017.09.26)  

有限図形の対称性は,1点を不動にするような対称操作の組み合わせが作る点群で記述します.私たちの興味は周期的空間(結晶空間)ですから,周期性と両立する対称操作が作る点群は,“結晶点群”に限定されます.2次元結晶空間で許される対称操作は,(位数2)鏡映m,2回軸2:(位数3)3回軸:(位数4)4回軸:(位数6)6回軸だけです.

(注)対称心は3次元以上で存在.5回軸は2次元,3次元では周期性と両立しません.

結晶点群は,2次元では10種類,3次元では32種類,4次元では227種類あります.

3次元の正多面体,半正多面体の対称性を鑑賞し,点群の表記法の例を学びました.

互いに双対な多面体の対称性は同じ.切頂などで正多面体から導いた半正多面体でも対称性は変わりません.結晶格子とその逆格子は,互いに双対で,結晶格子空間に作られるデリクレ胞と,その逆格子空間に作られるデリクレ胞(第1ブリルアン帯)は,互いに双対な多面体になります.

対称性の高・低に関しては,各点群に属する部分群の系列を示しました.群の拡大で必要となる,正規部分群,剰余類展開などを,結晶点群を題材にして具体的に説明しました.直積や半直積による点群の分解は,特に重要な項目です.

万華鏡の対称性は,鏡映のみを生成元として生まれる群ですが,群を生成できる万華鏡の3枚鏡の組み合わせは3通りで.これらの鏡の組み合わせでは,不動点は存在しないので,並進を伴い壁紙模様ができます.

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