多面体の見える万華鏡
reciprocalという言葉があります.経済などでは,互恵的とか対等とかいう意味で使われます.
結晶学では,結晶格子crystal latticeに対して,逆格子のことをreciprocal latticeといいます.
両者の関係は,多面体でいうと,面を頂点に,頂点を面に変換した多面体
(これを双対dualな多面体という)の関係と同じです.
例えば,シリコンの結晶格子は面心格子で,ディリクレ胞を描くと菱形12面体(左図)です.シリコンの逆格子は体心格子で,ディリクレ胞を描くと[6,6,4]半正多面体[いわゆるケルビン立体](右図)です.
結晶格子中のデリクレ胞と逆格子中のデリクレ胞は,このように互いに双対です.格子latticeに対して逆格子reciprocal latticeとはうまく名付けたものです.
もちろん,対称性はどちらも同じ,正6面体(角砂糖)と同じ対称性です.菱形12面体と[6,6,4]半正多面体(ケルビン立体)の形が見える万華鏡を作りました.この万華鏡は,左から覗くと菱形12面体が,右から覗くとケルビン立体が観察され,両者の対称性は同じであることを理解するのに役立ちます.
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(注)用語(ディリクレ胞,格子,逆格子,面心格子,体心格子,半正多面体)は,説明なしに用いたので,別の機会に補足説明をいたします.
参考 「美しい幾何学」 今,試し読みができるようです.
p.44~ 45 万華鏡で作る多面体
p.60~ 62 ディリクレ胞,格子