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コーシーの積分定理と留数

投稿日時: 2020/11/22 システム管理者

■コーシーの積分定理

閉曲線$$C$$および,その内部で$$f(z)$$が正則であれば,$$\displaystyle \int_{C}^{}f(z)dz=0$$

■ローラン展開と留数

関数$$G(s)$$に,極(分母が0となる特異点)がある場合,例えば,1つの極$$s_1$$の周りで,次のようにローラン展開ができます.$$s_1$$が$$n$$次の極とすると,
$$G(s)=\displaystyle \frac{a_{-n } }{\left( s-s_{1} \right) ^{n } }+\displaystyle \frac{a_{-\left( n-1 \right) } }{\left( s-s_{1} \right) ^{n-1 } }+ \cdots +\displaystyle \frac{a_{-2 } }{\left( s-s_{1} \right) ^{2 } }+\displaystyle \frac{a_{-1 } }{\left( s-s_{1} \right) }+a_{0}+a_{1}\left( s-s_{1} \right) + \cdots $$
この展開中の係数$$a_{-1}$$を留数と言います.

実は,$$G(s)$$を複素関数と見たとき,極$$s=s_1$$で,$$G(s)$$は正則ではありません.$$s=s_1$$を内部に含むような閉曲線$$C$$に沿って左回りに1周$$G(s)$$を積分すると
$$\displaystyle \int_{C}^{}G(s)ds=2\pi ia_{-1}$$  となります.これを留数の定理といいます.

さてこれらの証明は,難しくはありません.興味おありでしたら,親切な解説をしているyoutube動画がありますので,そちらをご覧ください.

関数をローラン展開すると,いろいろな次数の項がでて来ますが,閉曲線に沿って1周積分すると,なぜ-1次の項の係数(留数)だけが残るのか不思議ですね.youtube動画で証明を確認ください.たいへん都合の良い便利な性質です.

 

■いろいろな場面で,いろいろな積分をするのに,留数定理を使います.「道具としての数学」の代表でしょう.複素関数論は活躍しています.

話は変わりますが,ちょっと似た手法で,ラプラス逆変換をするときに,部分分数に展開します.以下の例題をご覧下さい.

複素関数$$G(s), s=x+iy$$を,ラプラス逆変換するときに,$$G(s)$$を部分分数に展開することが必要になります.