■10回(5回)対称のタイルを周期的に並べる
10回(5回)対称は,周期的に並ぶことができません.周期的に並べることが可能な回転対称軸は,2回,3回,4回,6回対称に限られます.
10回(5回)対称タイルを周期的に配列したイスラームの繰り返しパターンを調べましょう.もちろん,5回対称軸が周期的に並んでいるはずはありませんので,自然に並べるのにうまい工夫があるはずです.このようなパターンはイスラームに特徴的で,ジャーミイのいろいろな所で見かけます.
10回(5回)対称は周期性と矛盾しますから,それぞれの10回(5回)対称が支配するのはタイルの内部だけです.
このタイルの描き方を習得するのにだいぶ工夫をしました.
作図手順の足跡として,赤色の作図補助線を残しておきましたから,
皆さんも工夫してこの図を描いてみてください.
まず,中心にある円の円周を10等分することから始めます.
円周の10等分は中心角が36°の作図で,前回に正五角形(中心角72°)の作図をやりましたから,それを応用して円周の10等分を作図してください.
この長方形のタイルが単位胞になり,これを並べることにより繰り返しパターンが作れます.
この繰り返しパターンの平面群はP2mmです.
10mmという対称性の高い部分(正10角形)があります.もし,そのような対称性が全域に作用するなら,繰り返し(周期性)ができるわけがありません.10mmという点群の作用はそれぞれの赤い円内の領域に限られるので,周期性と両立できるのです.このようなイスラーム・パターンは色々な所に見受けられます.
次に,この繰り返しパターンを3つの部品によるタイル貼りと解釈してみましょう.つまり,図に示したように正10角形タイルと,ピンクのタイルと黄緑色のタイルの3種類です.
今日は,この3種類のタイルで平面が隙間なくタイル貼りされていることを確認してください.
■応用例