$$0$$と$$1$$だけが並んでいる語を考えます.そのような$$n$$桁の語を$$n$$-bit語と呼びます.
Q:連続して$$1$$を含まない$$n$$-bit語はいくつあるでしょうか?
A:
(1) $$n=1$$のとき,そのような語は,$$0, 1,$$ですから,計2個あります.
これを$$a(1)=2$$と書きます.
(2) $$n=2$$のとき,そのような語は,$$00, 01, 10$$で,$$a(2)=3$$個です.
$$11$$は$$1$$が連続するので条件に合いません.
(3) $$n=3$$のとき,そのような語は,
$$n=2$$のときの語の末尾に$$0$$を付加した,$$000, 010, 100$$の$$a(2)$$個と,
$$n=2$$のときの末尾に$$1$$を付加したものと言いたいところですが,
$$1$$の連続を避けるために,$$n=1$$のときの語に$$01$$を付加し,$$001, 101$$の$$a(1)$$個です.これらは,互いに背反するので,この両ケースを合わせて,$$a(3)=a(2)+a(1)=5$$ となります.
■連続した1のない語の数の数列$$a(n)$$は,このような手順(一般の$$n$$で成立)で作れ,$$a(1)=2, a(2)=3, a(3)=5,・・・・・$$と続き,
結局,$$a(n)=a(n-1)+a(n-2)$$が得られます.
これはフィボナッチ数列の再帰的な定義そのものです.
フィボナッチ数列$$F(n)$$は,$$1,1,2,3,5,・・・・・$$ですから,この問題の$$a(n)$$は
3項目から始まるフィボナッチ数列です.$$a(n)=F(n+2)$$
Q:それでは,連続した$$111$$を含まない$$n$$-bit語の数はいくつでしょうか?
A:
これも同様な議論で,$$a(n)=a(n-1)+a(n-2)+a(n-3)$$ となることが証明できます.
Q:$$n$$個のコインを順番に投げて,連続して表がでない確率を求めよ.
A:連続して表の出ないに相当する語の数は$$a(n)=F(n+2)$$でした.
$$n$$個のコインを順番に投げて実現する状態数は$$2^n$$ですから,求める確率は$$F(n+2)/2^n$$となります.
練習問題
Q:
1ドル札と2ドル札のみを使い,$$n$$(整数)ドルを払う方法の数$$B(n)$$を求めましょう.(同じ種類の札は区別しませんが,札の出る順番は区別します)
A:
1.$$n=$$1のとき:2ドル札は0枚で,1ドル札1枚出すしか方法はありません:
方法$${1}$$のみで,方法の数は$$B(1)=1$$
2.n=2のとき:2ドル札0枚なら{1,1},2ドル札1枚なら{2}で,
方法の数は B(2)=2
3.n=3のとき:2ドル札0枚なら{1,1,1},2ドル札1枚なら{2,1},{1,2}で,
方法の数は B(3)=3
4.n=4のとき:2ドル札0枚なら{1,1,1,1},2ドル札1枚なら{2,1,1},{1,2,1},{1,1,2},2ドル札2枚なら{2,2}で,
方法の数は B(4)=5
(注意)同じ種類の札は区別しませんが,違う種類の札が出る順番は区別しています)
これらの結果を考察すると,
B(n)はB(n-1)の方法に1ドル追加したものと,B(n-2)の方法に2ドル追加するものとの和になる.
2ドル追加の方法に{1,1}を追加する方法があると思う人がいるかもしれないが,追加する2つの1のうちの始めの1は,B(n-1)個の方法に繰り込まれ,すでに存在し,それに1を追加することは,すでに前者の項に含まれている.ゆえに.
B(n)=B(n-1)+B(n-2)
かくして,この方法でnドル支払う方法の数の再帰的な定義が得られました.
これはフィボナッチ数列
1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, ・・・・・
の定義と同じです.
(注)この記事は,Fibonacci and Lucas Numbers with Applications, Thomas Koshy, Wiley, Ch.4 を参考にしました.