■球面上のオイラーの定理
球表面の3角形メッシュに関して,オイラーの定理は T-E+V=2 です.
(ここで,3角形(面)の数 T,エッジの数 E,頂点の数 V)
球表面を3角形メッシュに分割したとき,すべての3角形のすべての角度の総和は,2πVになります(すべての頂点のまわりに2πがあるから).
球面3角形の面積(球面過剰)
球面3角形が半径1の球上にあり,例えば,頂点がx軸,y軸,z軸にあれば,各頂点の角度θ1,θ2,θ3は,それぞれ,π/2なので,内角の総和は,θ1+ θ2+ θ3=3π/2です.
もちろん,ユークリッド幾何学では,いつでも,θ1+ θ2+ θ3=πです.
一般に,内角がθ1,θ2,θ3の球面3角形の面積は,θ1+ θ2+ θ3-πで定義されます(この量は球面過剰とよばれます).
この例では,球面3角形の面積は球全表面の1/8で,球面3角形の球面過剰は3π/2-π=π/2ですので,全球表面は確かに4πになります.
■球面上のオイラーの定理のルジャンドルの証明
球面上の3角メッシュ全体で,次の面積の関係が成り立ちます.
(3角メッシュの角度総和)=(球面3角メッシュの面積総和)+πT
すなわち,2πV=4π+πT → V=2+T/2
他方,3角メッシュ全体でエッジの数を2重に数えると,→ 3T=2E
ゆえに,T-E+V=T-3T/2+(2+T/2)=2 となりオイラーの定理が証明された.
3角メッシュではなく,多角形の面からなる多面体についてもオイラーの定理は成立します.多面体の面の数F,エッジの数E,頂点の数Vとして,球表面でのオイラーの定理は
F-E+V=2
■多面体の不足角
多面体の頂点の不足角は,2πー(その頂点に集まる面の内角の和)
例えば,立方体の場合は,1つの頂点で,2πー3π/2=π/2ですから,立方体全体では4πとなります.これは,球と同じトポロジーの面上の任意の多面体で成り立ちます.
多面体全体の全不足角は,いつも4πであることの証明.
多角形F1,F2,・・・,Fkのk個の面で構成される多面体を考えましょう.これにオイラーの定理を適用し,エッジ数と頂点数を計算しましょう.
面FjはNj個のエッジとNjの頂点がある(Nj多角形)とします.
2E=N1+N2+・・・+Nk
V=E-F+2=(N1+N2+・・・+Nk)/2-k+2 → 2V=(n1+N2+・・・+Nk)-2k+4
多面体全体の全不足角Θは
Θ=2πV-[(N1-2)π+(N2-2)π+・・・・+(Nk-2)π]=
=π(2V-(N1+N2+・・・・+Nk)+2k)=4π
定理 任意の多面体全体の全不足角は4πである.
(参考)
Nrich Article by Alan Beardon,Published December 2000,February 2011.