円による反転鏡映

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数学月間SGK通信 [2014.12.02] No.040
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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先に,「007_インドラの網と反転円」で言及したことがありますが,
円による反転鏡映について,その性質や利用例を鑑賞しましょう.

◆円による反転鏡映の性質
下図に赤い円による反転鏡映の代表的な例を2つ示します.
・反転円をよぎる直線aを反転すると,反転円の中心を通る円Aになる.
・円bを反転すると,円Bになる.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/78/16304278/img_0_m?1417183249

この性質を知っていると,色々なことに利用できます.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/78/16304278/img_3_m?1417183249
例えば,このような図形はアルベロス(靴屋のナイフ)
といいますが,この中の幾何学世界の面白さなどです.

下図のアポロニウスの窓の中にある黄色の円とピンクの円は,
緑色の円を反転円として,それぞれ反転円内の黄色とピンクの円が
鏡映像になります.これらの鏡映像は平行な直線(黒)に挟まれた
領域内に入ります.
平行直線の左はアポロニウスの窓の外周円の反転鏡映,
平行直線の右はアポロニウスの窓内にある左側の大きな円(灰)の
反転鏡映像です.なぜなら,外周円も左側の大きな円(灰)も
反転円の中心を通っているので,鏡映像はどちらも直線になるからです.
アポロニウスの窓内にある初めの黄色い円もピンクの円も,外周円と
内部の左側の大きな円(灰色)に接しているので,
それらの反転鏡映像でもそのような状態が保たれています.

このようなことがわかると,以下のパップスの定理が導かれます.
アルベロスの中で,右側の大きなピンクの円の上に生じる
黄色の円(ω1),続いて生じる灰色の円(ω2),の系列を考えると,
「円ωnの中心と直径ABとの距離は円ωnの直径のn倍である」
(パップスの定理)ことがわかります
以下の図は,ω2の場合の例です.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/78/16304278/img_2_m?1417183249
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/78/16304278/img_1_m?1417183249