不思議な数字6174

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数学月間SGK通信 [2015.05.05] No.062
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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ゴールデン・ウイークの最中です.
皆様,よい休日をお過ごしでしょうか.
今週は2つの本を紹介しようと思います.

■「数学を楽しむ」西山豊,現代数学社
6174の不思議はこの本のp.130に出ています.

数学はなんでも証明されているかというとそうでもないらしい.
6174の不思議さを理解するのはちょっと大変.私はまだわかりません.
でも,6174に関する不思議な命題が成立しているのは事実です.
 
6174の各桁の数字の並びを変えて,最も大きい数字を作ると7641,
最も小さい数字を作ると1467です.
最大数字と最小数字の差は 7641-1467=6174 になってしまいます.
6174という数字は不思議ですね.

いろいろな4ケタの数字で実験してみます.例えば,
2005なら
5200-0025=5175
7551-1557=5994
9954-4599=5355
5553-3555=1998
.....
このような操作をカプレカー操作というそうです.
(カブレカーはなんでこんな操作を思いついたのでしょうか不思議です)
頑張って,この先をもう少し繰り返して行くと,結局6174に到着します.
全部同じ数字の場合を除き,どのような4ケタの数かtら出発しても
6174に到達するそうです.不思議ですね.なぜなのだろうか?

西山さんはプログラムを作り,パソコンですべての4ケタの数が,
有限回のカプレカー操作で6174に達することを確かめ,系統図をつくりました.

そのほかの桁数の数字ではどうかというと,
3ケタでは存在するけれど,5ケタでは存在しないそうです.

事実は確かめられましたが,なぜこのようなことが起こるのか?
その仕組みをしりたい.数学の不思議さを感じる例です.

■美しい幾何学, 丸善
高木隆司監訳
Eli Maor and Eugen Jost

ルネサンスの時代は,数学とアートの活動は協力して行われ,
心の中で補い合うものと考えられていた(イーリーによるまえがきより).
オイゲンの数学的アートと数学者(数学史)イーリーの協同でできた本書は珍しい数学の本です.
説明には微積分などは出てきません.子供から大人まで数学アートを鑑賞しながら読み進むことができます.
テーマは系統的な幾何学とは異なります.初級の幾何学もあれば無限級数などもあります.
さらに意外なテーマが現れたり変化に富みます.
取り上げられたいくつかのテーマを見てみましょう.例えば,シュタイナーの円鎖.
これはアルベロスとかインドラの真珠などと呼ばれることもあります.
円の中に互いに接する円を詰め込んだ美しい図形です.円による反転操作もあります.
この図形は和算の算額にも登場しますが,それにも言及しているのは著者の専門が数学史だからでもあり,
本書の構成にもそれが現れています.本書の前半に,ピタゴラスから始まり,
素数,無限級数の収束,ユークリッドなどのテーマが現れます.
さらに続くのは,円周率,積み木による調和級数,自然対数の底,らせんや種々の曲線などです.
これらの説明も,数学アートの図が活きていて面白い本です.
本書の後半には,スノーフレーク曲線,シェルペンスキーの三角形などのフラクタル図形の特徴も,
美しく理解しやすい図による記述があります.