空間を充填できる多面体

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数学月間SGK通信 [2014.08.19] No.025
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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◆今回は,空間を隙間なく充填できる正多面体についての話です.
正6面体(角砂糖の形)が隙間なく積み重ねられ空間を充填する
ことはご存知でしょう.
◆それでは,正4面体,正8面体はどうでしょうか?
どちらもそれだけでは隙間なく空間を充填することはできません.
しかし,正8面体と正4面体を1:2の比率で混ぜると
周期的に空間を隙間なく充填できます.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/78/16052778/img_1?1408372931

http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/78/16052778/img_2?1408372931
このパズルは,osa工房,小梁さんが販売しています.
さて,幾何学的にこのようなうまい構造を思いつくのは
特殊なことなのですが,
自然界でこのような空間充填構造はたくさんあります.
結晶学では,ダイヤモンドがこのような構造であることは
古くから知られています.半導体で知られるシリコンも
ダイヤモンド型結晶構造です.
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他の例では,ペロブスカイトと言う鉱物があり,
常温超伝導などの多くの有用な材料がペロブスカイト型の結晶構造です.
正8面体が骨組みを作っています.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/78/16052778/img_4?1408372931

◆菱形12面体はこれだけで空間の充填ができる多面体です.
菱形12面体は,面心格子のウイグナー-ザイツ胞であるので
空間を充填できることは明らかです.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/62/16035662/img_3?1407801148

切頂正8面体は,体心格子のウイグナー-ザイツ胞であり
もちろんこの多面体も空間を充填できます.
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/545271/78/16052778/img_0?1408372931

面心格子の格子点に原子を配置した結晶構造は,銅やアルミニウムなど
多くの金属の結晶構造で知られています.
また,体心格子構造は,鉄,タングステン,セシウムなど
多くの結晶構造で知られています.

◆今回の話の眼目は,純粋に数学的に空間充填構造を導くのは
とても大変なことですが,結晶学などでは昔から知られていたということです.
自然科学の分野から数学への多くの貢献がなされてきました.
結晶点群や空間群なども化学や鉱物学で発展し数学に貢献した例です.