送電網事故

千葉県での広域停電は長期にわたり,大変な日々をお過ごしの方にお見舞い申します.送電網システムは,ケーブル・ネットワーク(ハードウエア),制御ソフトウエア,および行為者より構成されるが,完全に定義しきれない複雑系です.スマート・グリッドになったとはいえ複雑系には完全に制御しきれない要因が何処かにあるでしょう.台風により木立が揺れ,どこかで送電ケーブルが切れたとし,その場所が運悪く重要な結節点に属するなら,電力負荷が残りの送電線にかかり,あっという間に雪崩をうって広域なネットワークの事故に広がって行くことは良く知られています.複雑系はシステム全体として定義できるもので,システムの部分を切り出して定義できません.これは,どこかの事故がシステム全体に広がる可能性を意味します.引き金となる些細な事故はどこで起こるか予測できません.限界ぎりぎりで稼働している複雑系の社会インフラをもつ現代社会で複雑系の数学は重要です.

私は,大規模な送電網に頼らない社会に変えるべきだと思います.自然エネルギーによる発電は,地域で作りその地域で消費する(地域分散型の小規模な送電網)に適しています.そのような利点のあるソーラー発電なのに,森林を破壊しわざわざメガソーラーを作り,また大規模送電網で電気を運ぶのはナンセンスといわざるを得ません.もちろん原発自体が複雑系であり原発の稼働は論外です.