ポリカ波板6枚を切った.私は万華鏡材料のステンレス板も切れる強力な金切りバサミを持っているので,オーバースペックだがポリカ切断には切れ味的には問題はない.しかし,形状が波板という所にやっかいな問題がある.このハサミは切断した帯を側面後方に逃がすのだが,帯が通り抜けるスリット幅が5mm(5mm厚以上のステンレス板は切らないので当然)で,長さは10mmくらいある.波板はうねりの振幅が10mm,ピッチは32mm.もしハサミのスリット幅が10mmだったら,波板切断にも対応できる非常に便利な金切りバサミになるだろう.
世の中には,波板専用の切断ハサミというものも存在するが,たまにしかやらない作業に特殊な工具をそろえていては切りがない.
そこで次の問題を思いついた:ピッチ32mm,振幅10mmのsin曲線のグラフを,長さの10mmの筒の中を通り抜けさせるためには最小でいくらの筒の幅が必要だろうか(表紙図).答えはまだ考えていません.
さて,何か手段はないかと色々工夫するのだが大抵失敗する.辛抱強く少しずつ切り進むのが一番良かった.スリットを通過する場所を局所的に少し伸ばして波板のうねり振幅を薄くして切り進むと多少は効果がある.
結局、全体はうねっているのだが,気にせずに,スリットを通過する場所だけ平坦(局所的に)と見て少しずつ切り進んで行けば,いつかは全体を切断することができる.作業しながら,波板の表面は接平面を繋いで出来上がっている多様体だななどと考えていた.
放射光SPring8の建屋は円形である.廊下を歩くとき先を見れば廊下が円形に続いていることが良くわかる.しかし,自分の周りだけ見れば廊下は直線で出来ている.部屋も壁もドアーもそべて直線で出来ている.どこもカーブしていないのだが,全体としては廊下は円形になっているので不思議な気分になる.
地球だって自分の周囲の地面は平坦にしか見えないのに,地球全体の形は球形である.水平線を見渡せるような景色でも見ない限り地球が丸いことを実感しない.でも実際,小さな接平面を繋いでいくと球形の地球になってしまう.
閑話休題,ポリカ波板で何を作ったかといえば,ブドウ棚の雨除け屋根を作った.雨に濡れてシャインマスカットに黒とう病が発生したからだ.トップジンで消毒した.4年にもなるので元気に育ってほしい.