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数学月間SGK通信 [2022.12.20] No.453
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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瞬間を測る時間の単位を見てきました.こんどは,原子核レベルの小さい距離を測る単位はどうでしょうか。
原子核とその構成粒子は非常に小さいため,フェムトメートル( fm )の単位を用います。1fm = 10^{-15}m
これは、ナノメートル nm(分子の典型的なサイズ) の 100万分の 1( 10^{-6} )です。
陽子または中性子のサイズは約 1 fm 程度、さらに小さく重い粒子があります。
素粒子の世界のエネルギーも小さすぎてジュールJでは測れません。
代わりに用いるエネルギーの単位は電子ボルト( eV ) です。
定義によると,1eVは,1つの電子が 1ボルトの電位差を通過するときに,電場で獲得するエネルギーです。
1eV は約 1.6×10^{-19} J です。
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注)電子の電荷は約 1.6×10^{-19}クーロンで,1アンペアの電流が1秒間で運ぶ電荷が1クーロンです.
1クーロン の電荷を1ボルト の電位差に逆らって動かすのに必要な仕事が1ジュール.
1ジュールは,1ニュートンの力で1メートル動かすときの仕事でもあります.
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電子ボルトeVは,原子や光のプロセスを記述するのに便利です。
たとえば,室温の気体分子は,約1/40eVの運動エネルギーを持ち,
可視光の光量子は,約 1eV のエネルギーを持っています。
原子核や素粒子の内部で起こる現象は,さらに大きなエネルギー変化を伴います.
メガ電子ボルト ( MeV ),ギガ電子ボルト ( GeV ),さらにはテラ電子ボルト ( TeV ) がここで使用されています。
例えば,陽子や中性子は,数十MeV の運動エネルギーで原子核内を移動します。
陽子の内部構造が顕著になる陽子-陽子衝突や電子-陽子衝突のエネルギーは数GeVです。
現在知られている最も重い粒子であるトップクォークを生成するには,約1TeVのエネルギーで陽子を押す必要があります。
距離スケールとエネルギースケールの間に対応関係を確立できます。
波長 L の光子のエネルギーの計算は: E =c h/L
ここで,cは光速,hはプランク定数(約 h=6.62 10^{-34} J・s です。
光子だけでなく,スケール Lで物質を研究するときに, 対応するエネルギーの推定に適用できます。
「微視的」単位では,1GeVは約1.2fmフェムトメートルのサイズに相当します。
アインシュタインの有名な式 E_{0} = mc^{2} によると,質量と静止エネルギーは密接に関連しています。
素粒子の世界では,この関係は最も直接的な方法で現れます.十分なエネルギーを持つ粒子が衝突すると,
新しい重い粒子が生まれ,静止している重い粒子が崩壊すると,質量差が結果の粒子の運動エネルギーに移行します。
このため,粒子の質量も一般に電子ボルトで表せます (より正確には,電子ボルトを光速の2乗で割った値)。
1 eV はわずか 1.78×10^{-36}kg の質量に相当します。
これらの単位で, 電子の重さは 0.511 MeV, 陽子の重さは 0.938 GeV です。
多くのさらに重い粒子が発見されています。これまでの記録保持者は, 質量が約170 GeV のトップ クォークです。
質量がゼロでない既知の粒子の中で最も軽いニュートリノは, 数十meV (ミリ電子ボルト) しかありません。
引用:https://old.elementy.ru/posters/collider,加速器(Ускоритель;Accelerator)