2014/06/08
012_ペンローズ・タイリング(その2)
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数学月間SGK通信 [2014.06.08] No.012
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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前回のペンローズ・タイリングの作り方は如何でしたか.
今回は,前回と異なる方法でペンローズ・タイリングを作ってみましょう.
前回の記事の中で一か所誤りがありましたので訂正します.
シュヒトマンが発見した準結晶はMn-Al合金(Al4Mn)でした,Mg-Al合金ではありません.現在では,色々な合金で安定な準結晶が発見されています.東北大多元研の蔡研究室で,準結晶の単晶(Single Quasicrystal)の美しい5角12面体のSEM写真が見られます.
■正五角形のフラクタル構造
ペンローズ・タイリングは自己相似(フラクタル)なので,
正五角形のタイルと関係があります[正五角形は黄金比だらけの図形です].
もちろん正五角形のタイルでは隙間なく平面を張り詰めることはできません.
正五角形タイルを並べればギャップができますがかまいません.
正五角形タイルで,5回対称になるようなタイル張りを考えましょう.
Fig.1
次々と正五角形の中に正五角形の配列が繰り込まれる様子をFig.1に示します.
まず,正五角形の中に正五角形が6つ納まるような分割をします.
分割された小さい正五角形をもとの正五角形サイズに戻すには
1+Φ倍だけ拡大します[ただし,Φ=(1+√5)/2=1.618・・・].
随所に頂角36°の二等辺三角形のギャップができますが,
気にしないで進めましょう.もし,大きなギャップの中を正五角形で
埋めると,王冠型や星型のギャップが残ります.
このように正五角形の中に,次々と正五角形の繰り込み[分割]
と拡大が繰り返されると,
ギャップは随所に残りますが平面を埋め尽くします(Fig.2)
そして,これはフラクタル構造です.
Fig.2
■ペンローズ・タイリングを作る
正五角形の中には,Fig.3AやFig.3Bに示すような
黄色,青色に着色した図形が隠れています.
Fig.3Aにでてくる図形は前回のペンローズ・タイリングで使用しました.
今回のパターンは,Fig.3Bにでてくる2つの図形が関係があります.
Fig.2のパターンは,Fig.3Bの2つの図形を用いると,
Fig.4の赤い線のように隙間なくタイリングされていることに気付きます.
ここに現れる2種類のタイル(黄色と青色のタイル)には,
Fig.2のパターンが重なって見えているでしょう.
黄色のタイルと青色のタイルには,それぞれ独特な正五角形の模様が
あります.それを観察しましょう.
Fig.3A Fig.3B
Fig.4