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2014/06/24 016_数学月間お知らせ

投稿日時: 2022/12/23 システム管理者

2014/06/24
016_数学月間お知らせ

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数学月間SGK通信 [2014.06.24] No.016
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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■plusマガジンの記事について
2号に分けてplusマガジンの翻訳を掲載してみました.如何でしたでしょうか.
全体,海外のマガジンは冗長と思います.でも,わかり易く親切な所もあります.
今回の14&15号に掲載した論文がplusマガジンにでた頃,
翻訳配布について問い合わせたことがあります.
全文をこのまま翻訳するなら良いと言う返事でした.

■数学は「事のなりたちの本質を見極める」
次のようなジョークがあります..................
天文学者、物理学者、そして数学者がスコットランドを走る列車に乗っている。
天文学者は窓の外を眺め、一頭の黒い羊が牧場に立っているのを見て、
「なんと奇妙な。スコットランドの羊はみんな黒いのか」と言った。
すると物理学者はそれに答えて「だから君たち天文学者はいいかげんだと馬鹿にされるんだ。
正しくは『スコットランドには黒い羊が少なくとも一頭いる』だろう」と言う。
しかし最後に数学者は「だから君たち物理学者はいいかげんだと馬鹿にされるんだ。
正しくは『スコットランドに少なくとも一頭、少なくとも片側が黒く見える羊がいる』だ」と言った。
.........
なるほどと感心するジョークではあります.
おそらく,私たち一般に近いのは物理学者(工学者)の感覚でしょう.
数学とは,厳密で正確だという所を強調したのがこのジョークの趣旨です.
なるほど,そのようなつき合い難い性格の数学者も多いことでしょう.
しかし,重箱の隅を突っつくような厳密さが数学ではありません.
事(あるいは現象)の成り立ちを支配する本質はなにかを追求するところにあります.
事を飾っているあらゆる装飾を取り去り,事の因果関係だけを顕にする.
こうして得た本質は,無駄の一切ない抽象的な命題となります.
別の言い方をすれば,数学の練習問題には色々な解き方があって,
論理が正解ならばどれでも正しいわけですが,
一番美しい解き方は,回り道がなく本質にズバリと迫るものです.
(補助線一本で謎がすべて氷解するというのがその例です)
これは,数学に限ったことではない.求められているのは何かを
的確に判断し,話をそらさずに誠実に対応することにつながります.

■複雑系は不確かな世界.確率の2値化は我々の意思で!
社会の色々な現象は非常に複雑で多くの因果関係が絡み合っています.
一人の人間でも望む理想とその行動とが首尾一貫していないようですし,
その集合としての社会の動きはとても危うい.
論理を重要視しない社会に正義や公正はありません.
専門家が科学的に結論を出せると思うのは大きな間違いです.
学識経験者などという定義のわからないものもありますし,
複雑系は不確かな世界で,yes/noの答えを望んでも存在しないものですから.
数学(統計)で得られるのは確率までで,これをyes/noの2値化をするのは
国民の一人一人で,科学で決定できない「トランス・サイエンス」の領域になります.

■統計学は恣意的に利用されることが多い.
統計学自体は数学的に正しいのですが,集めたデータに問題があることが多いようです.
選択肢の論理がおかしいものや答えようもないアンケートから,
いったいどのような結論が引き出されるでしょうか?
結論に合うような都合の良いデータの母集団を恣意的に用いたりもします.
このような利用のされ方をすると,統計学や数学の信用を落とすことになります.
私たちは,処理された数値やグラフを見ても,その欠点を見抜くことは困難です.

■■お知らせ
7月22日?8月22日は数学月間です.
この期間は,数学の基礎定数 π(22/7=3.142..) とe(22/8=2.7..) に因んでいます.
(予告)......
講演1は,私たちが知っておくべき統計学の話です.
講演2は,変わった表題ですが,スパゲティを砕くと破片の分布はポアソン分布
クラッカーを砕くと破片の分布はべき乗則に従うという実験の話です.
講演3で私は今年の米国MAMの話題をとり上げます.

■数学月間懇話会(第10回)
日時●7月22日,14:00-17:10
プログラム●
1.人口の集合関数としての「民力指数」
松原望(東京大学名誉教授,聖学院大学)
2.スパゲッテイを巡る旅,
中西達夫(株・モーション)
3.数学月間の狙と効用,今年の米国MAM
片瀬豊,谷克彦(日本数学協会)
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会場●東京大学(駒場)数理科学研究科棟,002号室
最寄り駅●京王井の頭線「駒場東大前」
参加費●無料
問合せ先●日本数学協会,数学月間の会(SGK)
sgktani@gmail.com,谷克彦(SGK世話人)
開場13:30,直接会場においでください.ご参加お待ちしています.
17:30より構内で各自払いの懇親会も予定しています.