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トランスサイエンスの時代に数学月間が必要

投稿日時: 2022/12/20 システム管理者

■2014/05/01--------------------------------------------------------------------------------------------

 数学月間SGK通信No002
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 数学月間SGK通信 [2014.05.03] No.002
 <<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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■お知らせ
数学月間とは
2014年数学月間懇話会(第10回)

 

■大規模データの解析困難さ!
 2012年の米国MAMのテーマは,<数学,統計学とデータの洪水>でした.
統計学は,品質管理,医療・創薬・臨床,経済金融,統計調査,データマイニングなどの分野に係わり,現在ますます必要性が増しています..
 大規模データ(データの洪水)といっても,被験者1人から大量(P個)の特性データを採集できるのだが,解析する特性数より被験者の数(N個)がはるかに少ない(N<<P)という状態で,推論を行うのはとても困難である.
これを「新NP 問題」という.
 つまり,大規模データがあっても,データがむしろ不足している状況で,このような状態に適用できる統計的推論の新手法が必要とされています.

■不確かさで満ち溢れた世界!
私達は,観測データからモデル(現象を起こす仕組み)を推定する.
このモデルが,全ての観測データをよく説明したとしても,このモデル(サイバー世界)が真実であるがどうか誰にもわからない.将来,このモデルで説明できないデータが観測される可能性は消せないのだから.
かように私達の世界は,不確かなことで満ち溢れています.

■■編集後記 
 私達は,yes/noのデジタル思考に毒されているので,数学や科学は,yes/noの答えを出せるはずと思い込んでいます.あるいは,判断できないと知りつつ「専門家の判断」と言って責任転嫁に利用するのは政治の常套手段です.
真実はあるのだが,yesでもnoでもないのが真実.それを,「yes/noに2値化」するのは科学ではない.まことに理不尽な要求です.このようなグレーゾーンを,自分に都合の良いように2値化するのは,似非科学.
これを報道する大手メディアの数学リテラシーの欠如を憂います.論理に忠実に,不確かなものは不確かと言うのが正しいのです.
例えば,安全/危険のデジタル区分は何処にありますか?
これは,数学や科学で答えを出せません.その判断は,国民がどのような価値を選択するかの問題です.
これは,科学を超えて判断する<トランス・サイエンス>の課題になります.
数学や科学の結果を恣意的に利用されて,科学の信用を落とすことが心配です.
数学月間が今ほど必要な時代はありません.

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数学月間の会(SGK)
sgktani@gmail.com
http://sgk2005.org/
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