シュブニコフ群へ★

投稿日時: 2022/11/05 システム管理者

1945年のシュブニコフによる反対称概念の導入で起こる超幾何空間の新しい発展について述べる.
A.V.シュブニコフ(1887-1970)の反対称概念の導入は新しい結晶群の発展をもたらした.この分野はソビエト結晶学派の業績が著しい.2次元平面(単面)で,周期が1次元のもの(帯)と,周期が2次元のもの(面)を考察する.
これらの図形で,模様のモチーフ◥を,黒・白(赤)の2色に塗わけたSpeiserやWeberの図は,単面である2次元平面を,表裏のある層(厚みのある3次元図形)と解釈するきっかけになった.
◆周期が1次元の2次元平面(単面)を単面帯と呼ぶが,その対称群は$$G_{2,1}$$と表示され,7種類ある.7種類の単面帯群$$G_{2,1}$$の模様のモチーフを,2色(この図では黒・赤)に塗り分ける模様は17種類ある.
これは,$$G_{2,1}^{1}$$の型の群である.$$G_{2,1}$$の模様のモチーフに,1′(反恒等操作:位置を動かさずに色だけ変える)を施すと,モチーフは黒でもあり同時に赤でもある状態「灰色」(ただし,群の位数は倍になる)の中性群ができる.これは,$$G_{2,1}$$と同数だけ(7種類)できる.出発となった単面帯群(7種類)から,黒白両面帯群(17種類)と中性両面帯群(7種類)が導ける.

一般群の表記法で,下添え字$$r,t,s$$は,幾何空間の次元,保存される部分空間を表示する.上添え字$$l,p$$は,幾何空間とは異なる性質数,その性質の取り得る値(色数)を表示する.

$$G_{3}^{1,2}$$は,3次元の空間群に,超幾何的性質次元を1つ追加し,その値は2値をとる.これは,3次元より次元が1つ増えるが,増えた次元は空間次元とは異なる.追加された超幾何空間次元は2値しかとれないので,4次元空間群で,3次元空間を保存するものより狭い概念となる.このような特性次元を1つ付加したものは,空間次元を1つ上げた高次元の空間群への準備となった.

[演習]2次元の結晶点群(古典点群)$$G_{2,0}$$は10種であることを図で確認する.
2次元結晶黒白点群$$G^1_{2,0}$$の32種の内訳は,古典点群と中性点群と黒白点群である.