多色群の応用★

投稿日時: 2022/11/05 システム管理者

黒白群や多色群の応用を見てみよう.Feなどの磁性原子は磁気モーメントを持つ.原子の位置は空間の座標で指定されるが,原子の磁気モーメントはスピンで決まり,原子の座標とは独立の空間次元となる.各原子の磁気モーメント(軸性ベクトル量で極性ベクトルではないが)を赤い矢印で表現している.この例の6回対称のFe原子配置で考えられる磁気モーメントの6種類の配置が図示されている.ここには,古典群,反対称(黒白)群,3色群,6色群が登場する.

右図はFe2O3の結晶構造.この構造中のFe原子(磁気モーメントをもつ)だけを取り出して,その磁気モーメントの配置を図示したものが左図.
構造Aと構造Bは,全体として磁気モーメントが打ち消しあう反強磁性相.構造Cは全体として磁気モーメントが残る強磁性相.

右図は反強磁性の構造例だが,左図は強誘電体の構造例で,この図に示した小さな矢印は空間内の原子のわずかな変位を示し,磁性体の場合の磁気モーメントとは状況が異なることに注意.