色対称空間群(Belov:Белов)Б
-古典空間群(Fedorov: Федоров)Фの拡大として,あるいは,並進群Tの拡大として-
古典Fedorov群に対する色対称空間群は,結晶点群に対する色対称結晶群の関係と同じである.色対称概念の創始者に敬意を表して,我々はこれをBelov(Белов)群と呼ぶことにする.これらの3次元群においては,運動演算$$\phi _{i} \in Ф$$と反対称演算$$ш_{i} \in Ш$$に加えて,さらに,我々が結合された変換として定義した色運動に出会う.
$$б_{i}^{(p)}=ф_{i}1^{(p)}=1^{(p)}ф_{i}$$
あるいは,特別な場合に,
$$б_{i}^{(p)}=ф_{i}p_{i}=p_{i}ф_{i}$$
ここで,$$p_{i}$$は色恒等群$$1^{(p)}=\left\{ p_{1},p_{2}, \ldots ,p_{n} \right\} $$も含む色置換であり,幾何学的変換と両立する.従って,p.203に与えたФ-空間群とШ-空間群の演算目録は,色対称変換で補充される.
$$\begin{array}{@{\,} ccccc @{\, } }
1^{(p)} & 2^{(p)} & 3^{(p)} & 4^{(p)} & 6^{(p)} \\[0mm]
\overline{1}^{(p)} & m^{(p)} & \overline{3}^{(p)} & \overline{4}^{(p)} & \overline{6}^{(p)} \\[0mm]
\tau ^{(p)} & 2^{(p)}_{1} & 3^{(p)}_{1} & 4^{(p)}_{1} & 6^{(p)}_{1} \\[0mm]
& a^{(p)}_{} & 3^{(p)}_{2} & 4^{(p)}_{2} & 6^{(p)}_{2} \\[0mm]
& b^{(p)} & & 4^{(p)}_{3} & 6^{(p)}_{3} \\[0mm]
& c^{(p)} & & & 6^{(p)}_{4} \\[0mm]
& d^{(p)} & & & 6^{(p)}_{5} \\[0mm]
& n^{(p)} & & &
\end{array}$$
演算目録の拡大に伴って,色対称空間群は2様の解釈ができる:すなわち,Fedorov群$$Ф$$を,演算
$$1^{(p)},\overline{1}^{(p)},\tau ^{(p)};2^{(p)},2_{1}^{(p)},m^{(p)},a^{(p)},b^{(p)},c^{(p)},d^{(p)},n^{(p)};$$
$$ ;4^{(p)},\overline{4}^{(p)},4_{1}^{(p)},4_{2}^{(p)},4_{3}^{(p)}$$
の冪によって生成される巡回群により拡大したものと見るか,並進群$$T$$を有限結晶色付き群$$G1^{(p)},G^{(p)}$$(または,これらと同型な法による群$$G^{(p)}(\textrm{mod}G_{1}^{ \ast })$$)と,補助的に一次元並進の有限巡回置換(法による群)
$$\tau ^{(p)}(\textrm{mod}\tau )=\left\{ \tau ^{(p)},\left( \tau ^{(p)} \right) ^{2}, \ldots ,\left( \tau ^{(p)} \right) ^{p}=\tau \equiv 0(\textrm{mod}\tau ) \right\} $$;
によって拡大したものと見るかである;群$$T$$との積では,並進と色並進$$T_{\tau ^{(p) } }$$の3次元中心化群(трехмерную центрированную группу; threedimensional centered group)を定義する.ここの考察では,第二の方法をとることにし,Б-群で正規商(指数$$p=3,4,6,8,12,16,24,48$$のFedorov部分群)の存在する場合だけに限る.
この条件の下で,明らかに,1840の色中性(混合)のBelov群が,次の3つのカテゴリーに存在する:$$p<n, p=n, p>n$$ (参照p.242)
$$\mit\Phi 1^{(p)}=\mit\Phi \otimes 1^{(p)}$$ ($$\mit\Phi 1^{(p)}=TG1^{(p)}=TG \otimes 1^{(p)}$$)
(数$$1840=230 \times 8$$は,Fedorov群の数を,群$$1^{(p)}$$型の数に乗じ得られる.)これらのすべての群は,すでに学んだように,結晶離散体が,位相(色)変化するような如何なる性質も持つことを許さない.
色群(部分群$$1^{(p)}$$を含まない)の導出は,1969年にA.M.Zamorzaev(Заморзаев)の研究により初められた.彼は,3-,4-,6-色の空間群の数を数え上げ,対応する色格子を得た.真性色群(собственно цветные группы; true colored-symmetry groups)は2つのカテゴリーに分けられる:色並進を含まない群と色並進を含む群.その上,両場合とも,さらに共型群と非共型群に分かれる.
始めは,群のすべてのタイプの例を研究しよう.
図214に,4つの単斜(моноклинных; monoclinic) 4色群(色並進を含まない)の対称元の投影を載せた:1つは共型,3つは非共型である.これに加え,相当する単位胞中の一般点に置いた非対称図形(4面体)の同価系の投影も載せた:《+》と《-》の符号によって,図面に斜交した軸bに沿った4面体の座標を記す;軸$$a,c$$は図面内にあり,軸$$c$$は2回(単純またはらせん)軸の方向に一致させる.この2回軸は,図面で両側あるいは片側の矢羽で標される;軸$$a,b$$は$$c$$と直交する.
共型群$$P(2^{(2)}/m^{(2)})^{(4)}$$は,ベクトル基底$$\left\{ a,b,c \right\} $$によって定義される並進の不変部分群(инвариантнои подгруппы; invariant subgroup) $$P$$と色対称類(цветного класса; colored-symmetry class) $$\left( 2^{(2)}/m^{(2)} \right) ^{(4)}$$との半直積と見なすことが出来る.
$$P(2^{(2)}/m^{(2)})^{(4)}=P \oslash (2^{(2)}/m^{(2)})^{(4)}$$
言い換えるなら,$$P(2^{(2)}m^{(2)})^{(4)}$$は,群$$\left( 2^{(2)}/m^{(2)} \right) ^{(4)}$$の3次元周期の集合である.直交変換$$g^{(p)}$$(単位胞の左上隅をよぎる対称元に相当する)を並進$$\tau $$に乗じることで,これを確かめよう.積$$\tau g^{(p)}$$に関する定理の証明は,演算子に対する表現を持ち込まずに(ダイヤグラム法によって),単位胞の左上隅を原点に持つ青い4面体の運動を追いかけながら,純幾何学的な方法で行なおう.
積$$a \cdot 2^{(2)}=2^{(2) \bullet }$$を示そう.実際,色回転$$2^{(2)}$$の作用により,原点の青い4面体は,単位胞の左上隅の黄色に移動する;並進$$a$$の作用により,黄色の4面体は,単位胞の下部に平行移動する.最終的に,始めの上にある青い4面体は,単位胞の下にある黄色の4面体に移動する.これは,演算$$2^{(2) \ast }$$の作用と等価である.全く同様にして,次の積がわかる.(積の実行は,右から左へ次々に行う)
$$c \cdot m^{(2)}=m^{(2) \ast }$$, $$c \cdot \overline{1}^{(2)}=\overline{1}^{(2) \ast }$$, etc.
結果として,始めに選んだ単位胞の頂点を通る元の組から導いた全ての対称元の各集合は,群$$P(2^{(2)}/m^{(2)})^{(4)}$$を決定することになる.
非共型群に対しても,変換の相当する積は同様にして得られる:
$$a \cdot 2_{1}^{(2)}=2_{1}^{(2) \ast }, c \cdot m^{(2)}=m^{(2) \ast }, c \cdot \overline{1}^{(2)}=\overline{1}^{(2) \ast }$$; 群$$P\left( 2_{1}^{(2)}/m^{(2)} \right) ^{(4)}$$において
$$a \cdot 2^{(2)}=2^{(2) \ast }, c \cdot b^{(2)}=b^{(2) \ast }, c \cdot \overline{1}^{(2)}=\overline{1}^{(2) \ast }$$; 群$$P\left( 2^{(2)}/b^{(2)} \right) ^{(4)}$$において
$$a \cdot 2_{1}^{(2)}=2_{1}^{(2) \ast }, c \cdot b^{(2)}=b^{(2) \ast }, c \cdot \overline{1}^{(2)}=\overline{1}^{(2) \ast }$$; 群$$P\left( 2_{1}^{(2)}/b^{(2)} \right) ^{(4)}$$において
群$$P\left( 2_{1}^{(2)}/b^{(2)} \right) ^{(4)}$$に対して証明を行い,残りは読者の練習としよう.演算$$2_{1}^{(2)}$$の作用の下で,左上隅の青い黒い4面体は,上の黄色緑色の4面体の位置に移動し,並進$$a$$の作用で,それは,単位胞の下側へ移る.全く同じ,4面体の始めの状態から終わりの状態までの変換が,単位胞のパラメータbの底から1/4の所に置かれた,色螺旋回転$$2_{1}^{(2) \ast }$$で記述できる.従って,$$a \cdot 2_{1}^{(2)}=2_{1}^{(2) \ast }$$.同様に,演算の積$$c \cdot b^{(2)}$$では,青い黒い4面体が,映進面$$b$$の平面で反射した結果,1/2レベルの赤い青い4面体の位置に移動する;その後ベクトル$$c$$で右へ移動し,演算$$b^{(2) \ast }$$と等価となる.$$c \cdot \overline{1}^{(2)}=\overline{1}^{(2) \ast }$$となることもわかる.
結局,考察している非共型群の中で,変換の組
$$\left\{ 1,2_{1}^{(2)},\overline{1}^{(2)},m^{(2)} \right\} $$,$$\left\{ 1,2^{(2)},\overline{1}^{(2)},b^{(2)} \right\} $$,$$\left\{ 1,2_{1}^{(2)},\overline{1}^{(2)},b^{(2)} \right\} $$は,言葉本来の意味での点群をなしていないにもかかわらず,これらの変換の並進への積は,一般則を満たす.このために,非共型群Бнесも,並進群$$T$$を演算の組$$G^{(p)}(\textrm{mod}T)$$で拡大したものと見なすことが可能である.
$$Б=T \circ G^{(p)}(\textrm{mod}T)$$
これらはまた,空間群の国際記号のなかに再現されている.演算の組を,我々は,場合によっては,共型空間群の上位の点群に同型な法による群$$G^{(p)}(\textrm{mod}T)$$と呼んでも良い.(参照p.208,217他)
検討してきた例は,色置換を含まない各々のБелов群Бが,あるФедоров群Ф(共型あるいは非共型)に同型であることを示している:
$$Б_{сим}=T \oslash G^{(p)} \leftrightarrow T \oslash G=Ф_{сим}$$,$$Б_{нес}=T \circ G^{(p)}(\textrm{mod}T) \leftrightarrow T \circ G^{T}=Ф_{нес}$$
故に,$$Б$$群はそれに同型な(Федоров; Fedorov)群$$\mit\Phi $$と《点》群$$G^{(p)}$$または$$G^{(p)}(\textrm{mod}T)$$(あるいは,Б群と$$\mit\Phi $$群に共通な部分群$$Ф*=Б\cap Ф$$)を与えるなら,完全に決定される.
色置換$$\tau ^{(p)}$$を含むБелов群のカテゴリーに考察を移行しよう.置換とベクトル$$\tau ^{(3)},\tau ^{(4)},\tau ^{(6)}$$で生成される色置換の1次元の群(図215)を定義しよう.定義に従って,並進群で群演算となるのは,ベクトルの加法演算である.ベクトル$$\tau ^{(3)}$$の3つの和は,並進群$$T$$にある古典的並進ベクトル$$\tau $$を与える.
色巡回置換$$(\tau ^{(p)})^{p}=\tau $$の長さは,次の等式で決定される.
$$\left( \tau ^{(3)} \right) ^{3}=\tau ^{(3)}+\tau ^{(3)}+\tau ^{(3)}=3\tau ^{ \ast }=\tau \in T; \tau ^{(3)} \in T_{\tau ^{(3) } }$$
$$\left( \tau ^{(4)} \right) ^{4}=\tau ^{(4)}+\tau ^{(4)}+\tau ^{(4)}+\tau ^{(4)}=4\tau ^{ \ast }=\tau \in T; \tau ^{(4)} \in T_{\tau ^{(4) } }$$
$$\left( \tau ^{(6)} \right) ^{6}=\tau ^{(6)}+\tau ^{(6)}+\tau ^{(6)}+\tau ^{(6)}+\tau ^{(6)}+\tau ^{(6)}=6\tau ^{ \ast }=\tau \in T; \tau ^{(6)} \in T_{\tau ^{(6) } }$$
ここで,$$T_{\tau ^{(p) } }$$は置換および色置換を示し,記号$$T$$は,純粋並進の群である.添え字は,中心化色並進(центрирующий цветной перенос; centering colored translation)である.$$\tau ^{ \ast }$$はベクトル$$\tau ^{(p)}$$の長さに等しい古典ベクトルである.明らかに,群$$T_{\tau ^{ \ast } }$$と$$T_{\tau ^{(p) } }$$は同型であり,共通の(超構造superstructural сверхструктурную)部分群$$T$$を持つ:
$$T_{\tau ^{ \ast } } T_{\tau ^{(p) } }$$, $$T=T_{\tau ^{ \ast } } \cap T_{\tau ^{(p) } }$$
定式化された両命題は,3次元の場合も成立する.3次元並進格子のベクトル基底$$\left\{ T=a,b,c \right\} $$に,中心化色並進$$\tau ^{(p)}$$を加えるなら,次の3条件を満たすとき,色並進格子$$T_{\tau ^{(p) } }=\left\{ a,b,c,\tau ^{(p)} \right\} $$を得る.
1) 色巡回置換の長さを決定するベクトル$$P_{\tau ^{ \ast } }=\tau =\left( \tau ^{(p)} \right) ^{p}$$は,格子$$T=\left\{ a,b,c \right\} $$に属さなければならない.
2) 中心化ベクトル$$\tau ^{(p)}$$の方向は,両格子$$T=\left\{ a,b,c \right\} $$と$$T_{\tau ^{(p) } }=\left\{ a,b,c,\tau ^{(p)} \right\} $$が同一の計量系に属すように選ばれなければならない.
3) ベクトル変換$$\tau ^{(p)} \to -\tau ^{(p)}$$は,色ベクトルの符号が変わると,色巡回が逆になるので,禁じられている;逆色ベクトルを見いだす次の規則は正しい:$$(\tau ^{(p)})^{-1} \to -\tau ^{(-p)}$$,$$\tau ^{(p)} \cdot (-\tau ^{(-p)})=\tau ^{0}=1$$
最後の条件により,ベクトル$$\tau ^{(p)}$$の符号を変える対称心のある結晶群は,色格子を作ることが出来ない.変換$$T_{\tau ^{(p) } }=\left\{ a,b,c,\tau ^{(p)} \right\} $$は,対称心$$\overline{1}$$およびベクトル$$\tau ^{(p)}$$に垂直な軸$$2$$や平面$$m$$を含まない群$$G, G', G^{(p)}$$とのみ結合できる.基本として14のBravaisБравэ格子を採用し,それらを2-,3-,4-,6-色ベクトル$$\tau ^{(p)}$$で中心化すると(条件1-3は守る),最も高い空間対称$$Б_{сим}=T_{\tau ^{(p) } } \oslash G$$を持つ76の色格子が得られる.これらの格子は;3つの(triclinic триклинных)三斜:$$P_{\tau ^{(p) } }1$$;22の単斜(monoclinic моноклинных):$$6P_{\tau ^{(p) } }2, 6P_{\tau ^{(p) } }m, 5B_{\tau ^{(p) } }2, 5B_{\tau ^{(p) } }m$$; 30の(orthorhombic ромбических)斜方:$$9P_{\tau ^{(p) } }mm2, 6C_{\tau ^{(p) } }mm2, 6B_{\tau ^{(p) } }mm2, 3I_{\tau ^{(p) } }mm2, I_{\tau ^{(p) } }222, 5F_{\tau ^{(p) } }mm2$$; 10の(tetragonal тетрагональных)正方:$$6 P_{\tau ^{(p) } }4mm, 3 I_{\tau ^{(p) } }4mm, I_{\tau ^{(p) } }\overline{4}2m$$;5つの三方(trigonal тригональных):$$3 R_{\tau ^{(p) } }3m, 2 P_{\tau ^{(p) } }31m$$;5つの六方(hexagonal гексагональных):$$3 P_{\tau ^{(p) } }6mm, 2 P_{\tau ^{(p) } }\overline{6}m2$$;1つの立方(cubic кубическая):$$I_{\tau ^{(p) } }23, I_{\tau ^{(p) } }\overline{4}3m$$;格子(lattice решетка)になる.表19に,全格子に対する,3-,4-,6-色の元の上位の空間群の国際記号を導いてある.格子の(color index цветность)色指数pは,生成色置換の色指数$$p_{1}$$と$$p_{2}$$の積で決定される:$$p_{1} \times p_{2}>6$$に対しては,色置換(цветные переносы)は独立ではない.表中の頭文字で,単純基底\textrm{\textsl{p } }および
$$R=\left\{ a,b,c \right\} , B=\left\{ a,b,\displaystyle \frac{(a+c)}{2} \right\} , C=\left\{ a,\displaystyle \frac{(a+b)}{2},c \right\} , $$
$$, I=\left\{ a,b,\displaystyle \frac{(a+b+c)}{2} \right\} , F=\left\{ a,\displaystyle \frac{(a+b)}{2},\displaystyle \frac{(a+c)}{2} \right\} $$
の古典Bravais格子$$T \subset T_{\tau ^{(p) } }$$を標す.(Главная ось principal axis)主軸は菱面格子以外は$$c$$軸に沿って,菱面格子(ромбоэдрическая решетка trigonal lattice)ではベクトル$$a+b+c$$に沿ってとる.下添字は,群$$T_{\tau ^{(p) } }$$に移行したとき,基底ベクトルのうちどれが色ベクトルで置き換えられるかを標している.
記号$$T_{\tau ^{(p) } }G$$G中で,上位の群$$G$$をその部分群(同一の計量系に属す)で換え,全ての群$$G$$をそれと同型な反対称群$$G'$$と色群$$G^{(p)}$$で換えると,全ての次の型の共型群$$Б=T_{\tau ^{(p) } } \oslash G, Б=T_{\tau ^{(p) } } \oslash G', Б=T_{\tau ^{(p_{1}) } } \oslash G^{(p_{2})}$$が作れる.群$$G, G', G^{(p)}$$を対応する法による群で置き換えると,型$$Б=T_{\tau ^{(p) } } \circ G^{T}, Б=T_{\tau ^{(p) } } \circ G^{T'}, Б=T_{\tau ^{(p_{1}) } } \circ G^{(p_{2})}(\textrm{mod}T)$$の非共型群が得られる.ここにあげた全部の群の他に,色並進を含まないような群がまだ存在することに留意しよう:共型$$Б=T \oslash G^{(p)}$$と非共型$$Б=T \circ G^{(p)}(\textrm{mod}T)$$である.
同型定理は,色並進(цветных переносов colored translations)のあるBelov群に対し,次のような3項記号:
$$Б-\left| \displaystyle \frac{T_{\tau ^{ \ast } } }{T_{\tau ^{(p) } } } \right| G$$ あるいは $$T_{\tau ^{(p) } }G-\left| \displaystyle \frac{\left\{ a,b,c,\tau ^{ \ast } \right\} }{\left\{ a,b,c,\tau ^{(p)} \right\} } \right| G$$
および,$$G$$を$$G^{(p)},G^{T},G^{(p)}(\textrm{mod}T)$$で置き換えた同様な記号表現を提供する.
これらの記号によると,容易に,Б群の対称元を作ることができるし,他の必要な情報を見つけることも出来る.一例として,図216に,次の3項記号で定義される色並進を含む2つの群の投影を示す:
$$P_{a^{(3) } }1-\left| \displaystyle \frac{\left\{ 3a,b,c,a \right\} }{\left\{ 3a,b,c,a^{(3)} \right\} } \right| 1$$ および $$P_{c^{(3) } }2-\left| \displaystyle \frac{\left\{ a,b,3c,c \right\} }{\left\{ a,b,3c,c^{(3)} \right\} } \right| 2$$
空間群$$Б=T_{\tau ^{(p_{1}) } } \cdot G^{(p_{2})}$$の色特性は,生成元の色特性$$p_{1}$$と$$p_{2}$$の積あるいは最小公倍数であることを,もう一度強調しておく.ある条件を実行するときに,$$p$$-色群は,$$p=3,4,6,8,12,16,24,28,48$$の全ての数に対して存在するから,考察中の群の類の生成元$$p=3,4,6$$の色特性による制限は必ずしも必要ではない.例えば,結晶点群が,同時に$$\tau ^{(3)},\tau ^{(4)},\tau ^{(5)}$$を許すなら,この群は,$$\tau ^{(p)}$$も許す$$p$$は任意の有限数).これは,$$p>6$$のときに色格子と群を導くための道を開いている.
章の要点をまとめるにあたり,色群の導出-古典群の正規(不変)拡大-は,以下に帰着することを記憶しておこう.
1) 生成群内に正規商$$G^{ \ast } \vartriangleleft G \leftrightarrow G^{(p)}$$を探す.
2) 商群$$G/G^{ \ast }$$の具体的な色実現を,それに同型な群$$G^{(p) \ast }$$あるいは法による群$$G^{(p) \ast }(\textrm{mod}G_{1}^{ \ast })$$の型に作ること
3) 生成群$$G^{ \ast }$$を$$G^{(p) \ast }$$あるいは$$G^{(p) \ast }(\textrm{mod}G_{1}^{ \ast })$$に《乗じる》.
このような道筋で,$$p=3,4,6$$の場合に,巡回商群によって,817のBelov群$$Б^{(p)}$$が得られる.群$$2/m, 222, mm2$$と同型な色群によって実現される非巡回商群は,形$$Б(^{2}Б^{2})$$で標される1843の4色Belov群を生じる;これらの各々の群は2重(двукртной two-fold)の反対称群と見なせる.群$$622, 6mm, \overline{6}m2, \overline{3}m$$に同型な非巡回色群は,群$$32, \overline{3}m$$に同型な非巡回色商群は,3-色群と反対称群の積の形$$Б(^{3}Б^{2})$$で標される278の6-色Belov群を生じる.
Belov群を数え上げる際に重要なのは,2つの群$$Б_{1}$$と$$Б_{2}$$が同一と見なされるのは,結晶学的に同一,つまり,これらの群に同型なFedorov群$$Ф_{1}$$と$$Ф_{2}$$が,(собственным двидением)固有運動$$S$$(必要なら,相似変換と結び付けられる)により互いに変換$$Б_{2}=SБ_{1}S^{-1}$$され,同型$$Ф_{1} \leftrightarrow Ф_{2}$$の幾何学的変換に結合した色置換群は,ユニタリー色再規格化(единой перенормировкой цветов)で互いに変換されることである.
全く同様な方法で,結晶学的色数$$p=8,12,16,24,48$$の3次元Belov群を,拡大により得ることが出来る.実際,古典群の規約表現(неприводимых представлений)の表を用い,不変商$$G^{ \ast } \vartriangleleft G$$を見出し,色生成群$$G^{(p) \ast }$$と$$G^{(p) \ast }(\textrm{mod}G_{1}^{ \ast })$$を作ることが出来る.巡回色置換群による群$$Б^{(p)}$$は,Ф群の1次元複素表現(одномерными комплексными представлениями)と関係がある;群$$Б(^{2}Б^{2})$$の形は,2つの1次元交流表現(одномерных знакопеременных представлений)の直和に関係がある;群$$Б(^{3}Б^{2})$$の形は,交流表現(знакопеременных представлений)を用い,1次元複素表現の正則継続(по регулярному продолжению)により作られる.(次節にある対応する研究文献参照)表現手法は,KoptsikとKuzhukeev(1972)により,2942の3,4,6色Belov群を導くときに用いられた.(参照レジメ)
3次元Belov群の内に,2-および1-次元色空間群は,部分群として見出すことが出来る. 15の2-次元巡回色群(двумерных цветныхциклических групп)は,(винтовые оси)らせん軸31,32,41,42,43,61,65,62,64と(плоскости скольэящего отражения)映進面dおよび,並進群Rを含むFedorov群の平面への一般化された投影により,最初に得られた(BelovとTarkhova, 1956).これらの群の単位胞内で,これらの対称元に結ばれた図形は,3,4,6の階層(уровнях)に分布している;これらの階層に対し色を割付け,平面上への投影のときに階層の色を保存する.ここで引用した研究[Belov,Tarkhova(1956)]は,多色対称の概念の発展の端緒であった.次節の図234に,15のBelovの2次元色群の図解として色モザイクを掲載する.