空間群の発見
群拡大理論による基礎づけ
群の一般化,特性の対称性
対称性.群
結晶空間
フェドロフ結晶空間群
■ 対称性と点群
何らかの集合があり,集合の要素(元)の間に2項演算が定義されていて,
群の条件(群の乗積表で説明)を満たすものを群という.
結晶空間の対称操作の集合の作る群を考えるとき,
結晶空間で1点の特異点(不動点)をもつ対称操作の組み合わせが作る群を結晶点群,
不動点はない結晶空間の対称操作の組み合わせが作る群を結晶空間群という.結晶空間では周期的な格子点をもつので,これらの格子点はすべて同値と見做すならば,結晶空間群は結晶点群に還元できる.
結晶空間群は,並進群を核とする準同型写像で結晶点群と同型になる.
無限に経過する時間を,時計の文字盤(12時間)の閉じ込めるようなもので,無限に繰り返す周期的な空間(結晶空間)を単位胞のなかに閉じ込める.
点群5 5回回転対称軸
点群3m 3回回転対称軸と鏡映面
群の乗積表(鏡映は図形に固着とする). 群の定義.部分群.
■ 結晶空間=周期的な空間.
単位胞(単位タイル)によりデジタル化された空間である.
2次元で演習:
2次元平面を並進だけでタイル張りできる平行凸多辺形タイルは,
平行4辺形(4種),平行6辺形(4種)である.
平面充填の出来る平行多辺形8種類
平行多辺形タイルの等価部分への分割
各平行多辺形を等価な部分に分割すると,図のように40種類の様式があり,これらを対称性の同じものをまとめ整理すると,共型平面群13種類(映進操作を含まないもの)が数え上げられる.点群(並進を含まないもの)としては10種である.ただし,上図の分割様式中に非共型平面群1種類,p2ggがすでに出現している.しかし,共型群(13種類)を求めて,それから,非共型群(4種類)を導くのが王道である.2次元空間群(平面群)は計17種類ある.
詳細は以下の項目参照;
■ 2次元結晶空間群のまとめ
2次元ブラベー格子.A.ブラベー(1850)
■ 3次元結晶空間群
A.M.シェンフリーズ(1853-1928,フランクフルト大,数学)
E.S.フェドロフ(1853-1919,ぺテルスブルグ大,鉱物学)
W.バーロー(1845-1895,ロンドンの実業家)
この3人は,1890-1895の間に互いに独立にそれぞれの仕事を完成させた.
3次元空間を充填するFedorov平行多面体
周期的な3次元空間を充填できる平行多面体は,フェドロフ平行多面体と言い5種類ある.2次元の場合と同様にそれぞれを等価な部分に分割して,対称性の異なるものだけ数え上げると,3次元結晶空間の場合は230種類があるが,そのうちの共型なもの73種類が得られる.さらにそれらから非共型なもの157種類の導出は2次元の場合と同様である.
結晶空間群の発見は,その20年後に実用化される運命であったX線結晶構造解析への準備となった.
1895,W.C.レントゲンがX線を発見.1912,M. vonラウエが結晶によるX線の回折を観測.1913以降,ブラッグ父子によりダイヤモンドなどの結晶構造解析が行われる.