ネットワーク・パターンの対称性

有限図形の対称性を考えるとき,対称操作の不動点となる1点(特異点と呼ぶ)があります.例えば,正6角形の対称性を考えるとき,正6角形の中心がこの特異点で,この点を通過する回転対称軸が6回回転対称軸です.

次に,このような特異点(不動点)は存在しないが,並進によって等価な点に移動するので,実質的な不動点とみなせる場合を考えます.このような図形に対しては,並進軸が特異な直線です.図形としては,棒,片面帯,両面帯をとりあげましょう.

1つの点1と並進ベクトルaが与えられたら,図のように,A1と同価な点がaの間隔で一列に無限に並んでいる点系が得られます.この並進軸は特異な直線と一致しています.

次の図は,平行でない並進軸が2本ある図形で,並進ベクトルにより1列に並んだ(1次元の)点系がbの方向に次々と繰り返し並び2次元の配列が得られます.3次元への拡張も同様で,平面上に乗らない3つの並進ベクトルで点を配置した無限数の点よりなる系です.点の形の対称性は∞です(点は位置だけを示し形や大きさは意味はありません).1つの点を並進で広げたものなのですべての点は同価です.

格子点は$$na+mb$$,($$a$$,$$b$$を生成元とする加法群の要素)