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米国の数学月間

★数学と生物学_MAM1999

MAM1999

数学強調月間 ( MAM )――4月, 1999

   「 Mathematics and Biology/ 数学と生物学 」

1999年4月,MAMの準備のために,数学連合政策会議( JPBM )はテキサス・インスツルメント社がこの年の行事「数学と生物学」に関する公式スポンサ−として名乗り出た事を公表したい.

MAMは,数学の重要性や多様性,日常生活との関連などの促進機会を数理科学業界に用意する.テキサス・インスツルメント社とJPBMは,数学の価値を諸君の同僚,生徒や社会に通知するためのMAMウエブサイトに掲載した,役立つMAM,1999年の材料と資源の0000をお薦めする.MAMウエブサイトのアドレスはhttp://mathforum.org/mam.である.

1999年のMAMテ−マは「数学と生物学」である.数学は医学,人間遺伝子,伝染病学や研究解析等さまざまな分野の本質的な要素である.生物学における数学の表現として同封した1999年MAMのポスタ−は正常な心臓の電気的活動を,それがあたかも一点が刺激されて広がる様に描写している.色は電気的信号が心臓を伝播して到達する時間を目だたせるのに使われている.長方形の領域は心室の壁の大きな板を表している.又すべての領域は解剖学的デ−タ−からとられた幾何学と繊維方位を使っている.数学なしでは,この3次元概念を見る他の方法はない.心臓研究に関する数学のもっと詳細な記事はMAMウエブサイト ( http://mathforum.org/mam/99/essay1.html )を見て下さい.

MAMはそれぞれ各位の生活と関連する数学について新しい方々と交信する素晴らしい機会を提供する.
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「テ−マ・エッセイ」
◇ 心臓における数学  Dr.James Paul Keener  ユタ大学
◇ 数学とDNA     Dr.De Witt Sumners  フロリダ州立大学
◇ 数学と社会生態学  Dr.Louis J.Gross   テネシ−大学
◇ 生物学がいかに数学に影響するか
            Dr.Louis J.Gross   テネシ−大学

Tani/Katase

★数学は全次元に_MAM2000

MAM2000

Mathematics Awareness Month ( MAM )――April,2000

     「 Mathematics Span All Dimensions/ 数学は全次元に 」

次元たどりの象徴図柄――MAM2000の電子ポスタ−にある「山羊の角」は,0次元空間から多次元空間への道標である.各分野に貢献した11名の業績を紹介する.山羊の角の先端(0 次元空間)から,1次元の地層コアサンプルやレ−シングカー地形(R.Tapia),E. A. Abbottの“平面国”やG.Pixerのアニメーションスタジオの2次元世界へ,バレ−振り付け,結晶幾何学(M.Senchal)の3次元から,重力レンズ(A.Petlers)の4次元,より高次元の宇宙論,超空間,Madeleine L'Engleの小説”時間のひだ”へと導かれる.

数学的な点,線,面,空間,高次元――
海上で,或いは顕微鏡試片に位置を定めるのは繊細な仕事である.位置は一つの直線上や一つの曲線上であれば,1数字で記述できる.1点が定まれば他の点はそれからの距離で特定できる.地図上の位置は2つの数字 緯度と経度を必要とする.地球表面からの高度或いは深度があれば3座標,緯度,経度と高度(正数)又は深度(負数)となる.調査や試料採取には位置決めがついてまわり,3つ,4つ或いはそれ以上の数字を必要とする.数学者がパタ−ンを求める時,コンピュ−タが大きな役割を演じる.2乃至3個の変数をもつ位置の集合をコンピュ−タ画面上に表示でき,これらを動かして見ると,位置デ−タの原簿では明らかでなかったパタ−ンが見えてくる.デ−タのこの様な処理は,探索的データ解析と呼ばれJ.Tukeyがその先駆者である.点とはその位置を示す特性に過ず,長さ,幅,高さ,厚み,容積を持たない.数学ではこれを0次元と呼ぶ.
線分は1次元の対象で,両端末が定まれば,線分上の各点を一つの記号で特定できる.1つの端末点を0,他端末点を1として,中間点は1/2と特定する.線分が絡まりあるいは平面と係わると記号は増えるが線分は1次元のままだ.1次元空間の好例は地質学者が採取する地中標本で,深く掘り下げて,各深度の地質を調べることができる.勿論 試掘点の緯度・経度を記録する二つの記号は必要である.この分野では,古代生態学のT.Webbが貢献している.円周は1次元で起点から0〜360でどの位置も現せる.
水平・垂直で構成される直方形は2次元空間の例で,直方形のどの位置も二つの記号で表現でき,基点を左下隅から右上隅に変えても,二つの記号である事は変わらない.複数の直方形の中から一つを選ぶ場合は,二つ以上の記号を要する.平面座標に並べられた直方形は2次元物の4次元集合となる.直方形の1点を軸に回転させると,もう一つの次元・回転角を加え,この種の回転は2次元コンピュ−タ画面にアニメ−ション等の応用をもたらす.
2次元物を平面上で回転させたと同じように,3次元物を空間で自在に回転させると3Dコンピュ−タ画像上に素晴らしいアニメ−ションを実現する.19世紀以来,時間が3次元空間に付加されて,4次元を構成すると考えられ,20世紀物理学で発展してきた.何処(3次元)で何時(1次元)と催し物を明示するのは,数学では4次元(abct)となる.時間以外にも4次元があり,これをどの様に表現するかが問題で現代物理学では10〜26次元の展開をしている.超紐理論のM.Kaku,宇宙学のJ.Weeks,M.L'Engleの“時間のひだ”は5次元世界の出来事を述べる小説,バレ−の振り付け師J.Strandbergやアニメ−タE.Catmull, T.DeRoseも多次元世界を駆使している.アニメやビデオ・ゲ−ム制作にも数学が必要となる.Tani/Katase

★数学と海洋_MAM2001

MAM2001

Mathematics Awareness Month ( MAM )――April, 2001

「 Mathematics and the Ocean/ 数学と海洋 」  Barry A.Cipra and Katherine Socha

? 惑星の海洋―――地球の最も驚くべき事実はそれが水をかぶっている事である.我々の惑星の表面を支配し,遥か内陸に住んでいたとしても人々の生活に影響する地球の海洋――地球を巡り大西洋・太平洋や多くの小さい海を含む水の巨大な広がり――は,永らく驚きと恐れの源であった.有史の初期以来,人類男女は海洋とその中における生活の挙動を理解する様に努めて来た.海洋の知識は完全からは遠いが着実に進歩している.その多くの部分は数学の新しい発達に負っている.
科学的な接近は数学的解析の必要性をもたらした.今日 海洋学は基本的な海洋過程を表現する数学の方程式を使い,それらの意味を理解する数学的な理論を必要とする.研究者は音波ブイ,船舶計器や衛星からの多くの錯綜したデ−タ−を組み立てる統計学とその過程を利用する.偏微分方程式が,岩の海や航行する船の表面波から地球の周りを流れる深い海流に対してまでの流体運動の力学を記述する.数値解析により,これらの方程式の精度の高い解が得られるようになり;動的なシステム理論と統計学が付加的な洞察を導いた.今日の海洋学者はガリレオやニュ−トンの最高の伝統を継いで正に数学者である.数学は近代海洋学にぴったりの言葉であると諸君は思うだろう.
? 数学で何をやるか?―――もっとも基本的なのは,いかなる海洋過程もすべて変化することである.計測値は時間と共に変化する.(例えば潮流は1日2回の干満で海岸が動く)或いは場所から場所へ変わる(例えば潜水艦が海に深く潜った時の圧力).しかし温度や塩分の様な多くの数値は場所と時間の両方で変化する.変化する過程の表現に即応的な数学の領域は微積分と微分方程式である.特に偏微分方程式(略してPDE)は,時間と空間で連続的に変化する量を表現する.海洋学のすべての分野はこれらの問題に重く係わっている.
? 物理海洋学の観点―――物理海洋学は,惑星規模の循環と気象,沿岸海洋学,赤道海洋学,内面波動と乱流,表面波,大気−海の相互作用等を含む多くの学問分野を持っている.これらの分野で研究される現象が,複雑な形で相互作用しているのだが,多くの海洋学者は一つだけを見ている.これらすべての分野の包括的な評価は,海洋百科事典の大変多くの内容に満ちている.ここでは近代物理海洋学の特性がわかるいくつかの例を示す.
−−惑星規模の循環と気象
−−内面波動と乱流
−−渦
? 流体の将来――今日 海洋学者や応用数学者になるにあたり,最も興奮することの一つは,技術的・理論的進歩が非常に速いことである.目覚ましい技術的改良は,初期の海洋学では想像もできなかった大量デ−タの収集と解析を可能にした.10年前に比較して,今や巨大で上質な計算力が利用でき,大規模海洋モデルの高分解能の数値解が得られるようになった.それらは,実際の海洋デ−タの財産と比べられる理論的な結果を,初めて導き出すのに十分である.将来の数値解析は,局地的海洋モデルの正確な予報ができるような高分解能なものに進歩するだろう.
? 海洋を夢みる―――海洋はいろいろな感懐を呼び起こしてきた.海の美しさは我々の想像的美術,音楽,詩や科学を描き上げ世紀を通して人間の意識に共鳴して来た.疑いなく人類は海の精の歌に魅惑され――数学を含む――すべての有用な資源を使い海洋と共に生き それを理解し その魅力に惹かれ続けるであろう.Tani/Katase

★数学と遺伝子_MAM2002

MAM2002

Mathematics Awareness Month ( MAM )――April, 2002

   「 Mathematics and the Genome/ 数学と遺伝子 」


数学連合政策会議 ( JOBM )は,今年のMAMは我々自身の遺伝子の理解への数学の貢献に焦点を当てると公表した.

人ゲノムの配列の解読がまじかに迫り,我々のすべての遺伝子,あるいは染色体中にあるもののカタログができると,科学者はもちろん我々すべてが,基本的な医学的,生物学的問題に対する非常に大きな洞察の鍵を手に入れたと感じるだろう.不幸にして,我々がこれらのプロジェクトからの新しいデ−タの洪水につぶされているとしても,新しいデ−タの蓄積を解釈したり使ったりする問題が起きて,将来実現するであろう生命科学の方法に挑戦することになろう.数学はこのデ−タを扱ったり理解したりするのに中心的な貢献をして,将来の解析に大変大きな役割を演ずるであろう.

ゲノム配列解析のデ−タ収集が自動化されて来たので,大きくて速い効率的なコンピュ−タ・アルゴリズムが,実験者が順序解読した断片から遺伝子を再構築したり,おびただしい順序データ中の遺伝子の位置づけを行うのに利用された.遺伝子の静的な図は殆ど手中にあり,蛋白質の動的システムや遺伝子が作るRNAの研究や,深遠で複雑なシステムが如何に制御されているかの研究に移行している.機械学習の動的システム手法と統計学の両方が,ゲノムの制御システムの巧みな処理を解明するのに使われている.統計学における挑戦的な課題が,実験から導かれるであろう情報を最適化するような実験を計画するために使われてきた.これらの技術は,腫瘍の型の分子的サインの識別や,診療所で癌治療の処方箋に使われている.マイクロアレイ技術は,何千という可能性のある遺伝子生成物を同時に測定し,ゲノムのダイナミックスのスナップショットをとることができる.大きな生命分子のコンピュ−タ・モデルは今や製薬工業における製薬発見の中心となっている.

MAMポスタ−は今日の遺伝子科学の数学的観点を強調している.今年のMAMプログラムは人ゲノムを理解し,数理科学の医学・生物学における役割を探究するために科学者,教育者や政策決定者に資源を用意するであろう.

数学は,人ゲノムプロジェクトの多量なデ−タベ−スの管理と解析を可能にする.数量的解析,統計学やモデル化が,我々各自の独自性を決定する遺伝子情報の青写真であるDNAの地図づくりと配列決定で重要な役割を演じている.研究者は,数学と生物学の融合が,病気の診断,処置や予防を,個別に特定して行い,非常に成功するようになる分子医学の新しい時代の到来を予言する.
「 遺伝子学の背景 」
我々の身体のあらゆる細胞の中に,23対の染色体として,遺伝的情報のセットが含まれる.DNAから最初に作られた長い鎖である染色体は,我々の細胞にあるコイル状の長い糸のような分子である.各染色体は次々に糸の上にあるビ−ズの様に見える遺伝子を持っている.- - - - 
Tani/Katase

★数学と芸術_MAM2003

MAM2003

Mathematics Awareness Month ( MAM )――April, 2003

   「 MATHEMATICS AND ART/ 数学と芸術 」


数学と芸術のかかわりは,何千年も前に遡る.古代ギリシャ人,ローマ人は,数学を彫刻や建物の審美的設計に利用した.15世紀に,レオナルドダビンチは,”私を数学者でないとは言わせない”と書いている.16世紀に,デューラーは描画に遠近法を導入し数学を用いた.18,19世紀には,ゴチック大聖堂,バラ窓,モザイク,タイル張りのデザインに,数学は積極的に取り入れられた.20世紀では,幾何学的形態は,キュービストや多くの抽象表現芸術家にとって基本であった.この十年では,作品の基礎にトポロジーを用いる彫刻家がいくつかの賞を得ている.数学と芸術の密接な連携は,オランダの芸術家M.C.エッシャーの作品中に見られる.数学概念のうちで,彼の作品に現われたものは;無限,メビウスの帯,モザイク細工(平面分割),変形,反射,プラトン立体,らせん,対称性,双曲平面などである.
MAM2003のポスターは,エッシャー流のコンピュータが描く,双曲平面のポアンカレ・モデル平面分割で,Douglas-Dunhamによる. Tani/Katase