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米国の数学月間

遠近法の消失点とはどんな点か?

ディック・ターマスは、平坦なキャンバスではなく球面に描画する.回転球は左から右に回っている.約30秒後にカメラはズームインする.顔を近づけ,手で球以外のすべてを見えなくすると,あなたはこの空間に身を置くことになる.レストランの中にいるように感じるだろう.あなたの周りの背景が回転している.
http://www.mathaware.org/mam/2014/calendar/perspective.html
絵までの距離に依存するさらに基本的な錯覚が示される.遠くから見ると,歪んだ長方形の箱に見えるこの絵は,片方の目を閉じて開いている目が図中の目印の正面で指定された距離だけ離れて見ると,完全な立方体に見える.
消失点と視点の数学は芸術家がリアルな絵を描くのに役立つ.それは射影幾何の理論に密接な関係がある.2点透視図法の作図のデモも見られる.

Matt Parker★

◆Matt Parker

エジンバラ・フェスティバルでは切符完売のコメディ・ショーを持ち,ロンドン数学会の人気講師という権威ある肩書きも持つのは,マット・パーカーただ一人だろう. 

彼は,数学とコメディという彼の2つの情熱の混合に没頭している. 
オーストラリアの数学教師であったが,今はロンドンに住み,コメディと数学コミュニケータをしている.
 
彼は,数学への情熱を,著書,ラジオ,TVショー,新聞,学校訪問,ライヴ・コメディ・ショー,そして時折の街頭パフォーマンスで広めている.彼には,ロンドンのクイーン・メリー大学の数学フェローという公的契約もある.

http://www.standupmaths.com/
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◆マット・パーカーが鮮やかに演じる「27枚のカード・トリック」の背景には3進法がある.しかし,見ているとそんな背景は思いもつかず,楽しくも不思議である.
ビデオの後半で,マットがトリックの仕組みに3進法が使われていることを解説するので納得できる.この27枚のカードトリックはマーチン・ガードナーが1956年に発表したものだ.マットはこの発展として47枚カードのトリックを演じるが,7進法を使うものであってマットの発明である.
 Martin Gardner; Mathematics, Magic and Mystery(ドーバー,1956)

解説は⇒ 27枚のカード・トリック

27枚のカード・トリック★

27枚カードのトリックは次のように演技される:
 観客に任意のカード1枚(例えば,スペードA)を選ばせ,27以下の数字(例えば18)を選ばせる.演技者は,選んだカードが何んであるか知らない.選ばれたカードを含む27枚のカードは十分に混ぜられ,裏向きの束に積み上げられている.演技の最後には,27枚のカード束の上から18番目の位置に,選ばれたカードを移動しておく必要がある.つまり,スペードAの上に17枚のカードがあるようにしたい.
 この演技のプロセスに,3進法が利用されている.
3進法で17を表すと17=2x3^0+2x3^1+1x3^2で,221と表記される (ここでは,1の位から先に表記していて,慣れている表記と逆順なのに注意せよ).
演技者は,27枚のカードを,3つの山に,1枚づつ配り分けていく.選ばれたカードがどの山に入っているか聞いてから,出来上がった3つの山を,さりげなく重ね合わせる.
再度,同じ操作を繰り返し,結局全部で,操作が3セット繰り返されて,得られた3つの山を1つの束に重ね合わせると,不思議なことに求めるカードは,上から18番目に置かれている.
このトリックのミソは,3つの山を重ねる順番にある.重ねる機会は3回あるのだが,
各回,どの山を上(Top=0),中(Middle=1),下(Bottom=2) の何処に置いたら良いか?
さりげなく手際が良いので見分け難いが,マットの仕組み説明で良くわかる.18番目に置くには,17の3進法表記221を使い,求めたいカードの入っている山の位置を,1回目は底(Bottom),2回目は底(Bottom),3回目は中(Middle)になるように積み上げるのだ.もし,10番目の位置に置きたければ,
9=0x3^0+0x3^1+2x3^2 で,3進法表記では 001なので,1回目,2回目,3回目の積み上げでは,Top,Top,Middleの位置に置くようにすれば,求めるカードは10番目の位置になる.